僕と貴方と君と

五嶋樒榴

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お泊まりはドキドキなんです。

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近所のスーパーに美峰と明星は買い物にやって来た。
話し合いの結果、今夜はとんかつと具沢山のお味噌汁にすることになった。

「とんかつ用の豚肉と、お味噌汁に大根とにんじんと油揚げ、ネギはまだあるって言ってたね」

スマホのメモに入れて来た買い物リストを美峰は確認する。

「キャベツもだよー。キャベツ、キャベツ」

楽しそうに明星が野菜売り場に向かう。

「待ってよ、明星君!」

カートを押しながら明星の後を追う。
カゴの中に、半分に切ったキャベツと、半分に切った大根、袋に入ったにんじんを入れた。
明星が一緒になってカートを押してくれる。美峰が微笑むと、明星も嬉しそうに笑って、油揚げもカゴに入れた。
明星がお菓子売り場で立ち止まった。

「おやつはまだいっぱいあるからお菓子は今日はダメだよ」

優しく美峰が言うと、明星はうんと頷いた。

「美峰君!明日の朝食べるパンも買って行こう。牛乳はあるって言ってたよ」

必要な物を全てカゴに入れ、パンコーナーで美峰は明星にパンを選ばせる。

「あ!パン粉!お家にあるかな?」

美峰が尋ねると、明星は分からないと返事をした。
美峰は優星に電話をかける。

『パン粉ないです!気がついてくれて助かりました!一緒に買って来てください』

やっぱり忘れていたと美峰は思って明星を見つめた。

「明星君がパンの話をしてくれたから良かったよ。ありがとう」

美峰の言葉に明星は真っ赤な顔で嬉しがる。美峰の役に立てたのが明星は嬉しかった。
会計を済ませて、軽い方の袋を明星が持つ。

「美峰君と買い物楽しかった!僕、美峰君と毎日こうして会えたら良いな」

素直に表現してくれる明星が美峰には眩しかった。
自分はもう素直になれない。
素直になるのが怖かった。
素直になって優星に嫌われるのが怖くてたまらなかった。
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