僕と貴方と君と

五嶋樒榴

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お泊まりはドキドキなんです。

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美峰は大学時代から一人暮らしを始めて、今の会社に就職して今住んでいるマンションに引っ越してきた。
美峰はもう実家にも帰るつもりはない。
兄夫婦が両親の面倒を見てくれるし、両親が結婚をしない美峰にプレッシャーを与えてくるのも正直気が重かった。
盆と正月だけは顔を出すが、滞在時間は少なかった。
仕事に向かう前にLINが入ってきたので美峰は内容に目を通す。

【美峰くんおはよう。にーちゃんからかりてラインしてます。土曜日たのしみです。ぼく美峰くんといっぱい遊びたいです。お風呂もいっしょにはいりたいです。いっしょのお布団で寝たいです。土曜日はおとまりしてください】

明星が打ったLINを見て、それだけで美峰はほっこりする。


 可愛いなぁ。
 理解できる漢字はちゃんと変換してる。
 スマホなんて使い慣れないのに一生懸命打ってくれたんだ。


ジーンとしながら何度もLINを読んでハッとした。
“お風呂もいっしょにはいりたいです。いっしょのお布団で寝たいです。土曜日はおとまりしてください”
と言う文章に目が釘付けになった。


 え?
 お風呂?
 お泊り?
 え?
 ええ?


急に優星が浮かんで美峰は真っ赤になった。
次にまたすぐLINが入った。

【すみません。俺も今読んで驚きました。お泊りなんて迷惑ですよね!気にしないでください。来るの嫌にならないでください】

心配して慌てて優星がLINをしてくれたんだと美峰は思った。

【大丈夫だよ。明星君にそこまで気に入ってもらえて正直嬉しいし。次の日葉山君の家から出勤しても僕は良いし】

素直な気持ちを美峰はLINした。
優星ともっと長くいたいと思った。
いつかこうして会えなくなる日が来るなら、せめて一緒にいられる時は少しでも長く一緒にいようと思った。

【本当に?ありがとうございます!横で明星も喜んでます】

【美峰くんありがとう!がっこういってきます!】

スマホを奪い合って、やりとりしてるふたりが目に浮かんで美峰はプッと笑ってしまった。
こんな風に幸せな気持ちになるなら、自分の気持ちは封印して、優星と明星と一緒にいられる間は楽しく過ごしたいと思った。


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