僕と貴方と君と

五嶋樒榴

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好きな人に誘われました。

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約束の待ち合わせ場所に到着すると、優星は先に到着していた美峰に軽く手を振った。

「待ちました?」

笑顔で優星が尋ねる。

「少し。どこに行く?」

食事をする場所は聞いていなかったので、美峰が聞くと優星は少し困った顔をした。
美峰はどうしたのかと優星の顔を見つめる。

「あの、良かったら、これからうちに来てもらえませんか?」

優星の言葉に美峰は驚く。

「え?」

どう答えて良いか美峰は分からなかった。

「実は、年の離れた弟がいるんです。俺達ふたりで暮らしてるんですけど、柊木さんの話をしたら、会いたいってずっとうるさくって」

家で自分の話をしてくれていると知り、美峰は照れくさいが嬉しかった。

「突然こんな事言って迷惑ですよね?」

困った顔のまま優星は言う。
その顔を美峰は見ながら首を振った。

「迷惑とかじゃないけど、僕こそこんな時間にお邪魔して良いの?って、弟さんいくつ?」

焦って美峰は言う。本当は優星の家に行きたい。

「弟はこの4月から小学2年生なんです。母親が違うから年が離れてるんですけどね」

優星の弟が、予想以上に小さくて美峰は驚く。

「小学2年生?こんな遅くまで1人なの?ダメじゃん!早く帰ってあげなきゃ!」

美峰が慌てると優星はクスリと笑った。

「俺が仕事から帰るまでは、弟の祖父母が一緒に留守番してくれてます。父が亡くなった後、弟を引き取るって話もあったんですが、弟がどうしても俺と離れないと言ってくれて、俺も弟を手放せなくて。だからせめて、弟が大きくなるまでお世話はしたいって面倒を見てくれているんです」

優星の複雑な家庭環境を聞きながら、とにかく美峰は優星の家に向かうことにした。
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