俺の彼女が可愛すぎるんですけど

嬉しいけどさ

私の口調が男っぽいのは、別に男になりたかったわけじゃない。
私には兄貴が三人いて、私は末っ子で。
母親は、私が二歳の時に亡くなった。
それからは、私を育てたのは父と三人の兄達で、そんな生活の中で口調も態度も男みたいになってしまった。

「陽凪ひなきは俺たちが立派に育ててやるって母さんに誓ったんだ！」

うん。おお兄ちゃん。
兄貴達のおかげで、私は立派に育ったよ。

「変な野郎が近づかないように、にいちゃん達が守ってやるからな！」

うん。ちゅう兄ちゃん。
兄貴達のおかげで、私は清く正しく育ったよ。

「良いか、陽凪。好きな男が出来たら、ちゃんと紹介するんだぞ！」

うん。しょう兄ちゃん。
分かってるよ。

「初めまして。一ヶ月前からお付き合いしてる、𣜿葉ゆずりは尚一なおかずです」

ね！
ナオカズをちゃんと紹介したよ。

「……陽凪の兄です」

「……同じく、陽凪の兄です」

「……右に同じく」

うわッ！
ナオカズも兄貴達も、めっちゃ緊張してるんですけどッ！
めっちゃ面白い光景なんですけどッ！

「絶対ヒナキさんを幸せにしますッ！大切にしますッ！絶対泣かせたりしませんッ！俺は、ヒナキさんしか愛せませんッ！」

ちょっと、ちょっと。
そこまでテンパる？
まだ付き合い始めて一ヶ月だよ？

「ありがとう、尚一君！君になら陽凪を託せるッ！」

はい？
なんじゃこりゃ。
何みんなして、盛り上がってる？

「ねー。ねー。とりあえず、ピザ食べよーよ。冷めちゃうよ」

私一人、何故か冷静な一日だった。