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女子社員達はヒソヒソと妙子を見て何かを言い合っていたが、流石に女性社員達の嫉妬混じりの視線にはもう慣れていた。
「しっかしバッサリいったなぁ。せっかく長くて綺麗な黒髪だったのに。俺、何気に気に入ってたんだぜ」
課長が会議が始まる前に、会議室で妙子に話しかけた。
「でも長いと抜けやすいし、排水溝の掃除も大変なんですよ」
確かにバスルームの排水溝の掃除はこまめにしないと、絡んだ髪のせいで掃除が大変だったのは嘘ではないが、本当は遼一のためとは流石に恥ずかしくて言えなかった。
「まぁ、垢抜けたのが人妻になってからで良かったよな。独身だったら今頃わんさか口説かれまくってたぞ。あ、そっちでも良かったか」
ニヒヒと課長は笑う。
「そんなことないですよー。私なんて……主人と出会えたから変わろうって思えたんです。だから、独身だったら今でも地味なままですよ」
遼一を思い浮かべながら妙子は言うと課長はクスクス笑う。
「はいはい、ご馳走さん。でもな、俺が独身だったら、やっぱり前のお前でも口説いてたよ。だから生島の目は狂ってなかったってことだ」
内面をちゃんと見てくれていた人が、ここにもいたんだと知って妙子は嬉しくなる。
「でも旦那のために綺麗になるのは、旦那だって嬉しいはずだからな。俺も妻に言ってみるかな」
課長が言うように、本当に遼一も嬉しいと思ってくれてるのだろうかと妙子は考えた。
今朝手を繋いでくれたことも、妙子が変わってきたことが遼一も嬉しいと思ったからだったのかと期待してしまった。
少しずつでも遼一に好きになってもらいたい。
女性として。
女性だとしても、少しでも良いから愛して欲しいと思った。
「しっかしバッサリいったなぁ。せっかく長くて綺麗な黒髪だったのに。俺、何気に気に入ってたんだぜ」
課長が会議が始まる前に、会議室で妙子に話しかけた。
「でも長いと抜けやすいし、排水溝の掃除も大変なんですよ」
確かにバスルームの排水溝の掃除はこまめにしないと、絡んだ髪のせいで掃除が大変だったのは嘘ではないが、本当は遼一のためとは流石に恥ずかしくて言えなかった。
「まぁ、垢抜けたのが人妻になってからで良かったよな。独身だったら今頃わんさか口説かれまくってたぞ。あ、そっちでも良かったか」
ニヒヒと課長は笑う。
「そんなことないですよー。私なんて……主人と出会えたから変わろうって思えたんです。だから、独身だったら今でも地味なままですよ」
遼一を思い浮かべながら妙子は言うと課長はクスクス笑う。
「はいはい、ご馳走さん。でもな、俺が独身だったら、やっぱり前のお前でも口説いてたよ。だから生島の目は狂ってなかったってことだ」
内面をちゃんと見てくれていた人が、ここにもいたんだと知って妙子は嬉しくなる。
「でも旦那のために綺麗になるのは、旦那だって嬉しいはずだからな。俺も妻に言ってみるかな」
課長が言うように、本当に遼一も嬉しいと思ってくれてるのだろうかと妙子は考えた。
今朝手を繋いでくれたことも、妙子が変わってきたことが遼一も嬉しいと思ったからだったのかと期待してしまった。
少しずつでも遼一に好きになってもらいたい。
女性として。
女性だとしても、少しでも良いから愛して欲しいと思った。
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