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番外編 初めての朝のお勤め1
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リュートは、初めての発情を迎え落ち着いた後に、宦官長よりアーディルの朝の支度を明日からするようにと言われる。
その前の晩にリュートは、ハミルに弱音を吐いた。
「あ、あのようなことを朝からするなど、私にはできそうにもない…。」
「朝じゃなければいいの?」
「いや…そういう訳じゃないんだけど…。いや、でも、それもあるかも。」
「まあ、毎朝、必ずご所望って訳じゃないからあんまり緊張しなくていいんじゃない?それよりも明日寝坊したら大変だよ。早く寝よっ!」
「う、うん…。」
そう言われてリュートは寝台に横たわったが、まんじりともしない夜を過ごしたのであった。
翌朝、アーディルの起床時間よりもだいぶ早く起きたリュートは、眠っているハミルを置いて、アーディルの寝室に繋がる扉の前でじっと待つことにした。そこに朝の食事の準備をしに側仕え達がやって来る。
曲がりなりにもアーディルの番に下手な干渉をする者はほとんどおらず、皆、冷たい目でリュートを見やるだけだったが最後に入ってきた宦官と思わしき若い側仕えがリュートの耳元で囁く。
「お前、随分張り切っているな。咥えたくてうずうずしてるのか。」
アーディルが宦官やそうでない側仕えらを意図しなくても魅了していることをリュートは知っていた。最上級のアルファのオーラを纏っているからだけではない。その魅力的な顔貌と鍛え抜かれた優艶な肉体と騎士としての実力、聡明な頭脳を持っているからだ。ただの嫉妬だろうと取り合うことはしない。
その様に腹を立てた若い宦官は、さらにリュートを侮辱する言葉を吐く。
「さすが、男の王族だったくせして体で命乞いしただけあるな。」
その言葉に、リュートは顔を赤くした。恥ずかしいのではない、怒りで。どれだけ父王や兄上たちと共にありたかったか。オメガでさえなければ、王族の矜持を保ったまま生を終えることができたはずなのに。
「私は、故国の民や女の王族の命を守れたことに誇りを持っています。」
いつもならこのような物言いをする者など無視をするが、一言言い返さなければ気が済まなかった。
「何を偉そうに。お前など王弟殿下のお情けに縋っただけの性奴隷ではないか。」
リュートは、目を見開いて相手を見た。1番身分の低いリュートは、普段、目を合わせないよう伏し目がちにしているため、相手は少し驚いたようだった。
碧の澄んだ瞳を間近に見た若い宦官は、息を呑む。そして、朝日に照らされて輝く金の髪と眩しいほどの白い肌に気付く。
「お前…。」
若い宦官がリュートの髪に手を伸ばそうとする。
その時、アーディルの寝室の扉が内側から開いた。寝衣のままのアーディルが不機嫌そうに現れた。
側仕え達が一斉に跪いたが、リュートは虚をつかれて、立ったままであった。
若い宦官は、リュートを咎めるように跪いたままリュートの裾を引く。
アーディルがその様子を目の端に捉えると、その宦官の腹を思いっ切り蹴り上げた。
若い宦官は、吹っ飛んだ後、床に叩き付けられて気を失う。
「来い。」
アーディルは、驚いて硬直しているリュートの手首を掴み部屋に入れた。
「お前は、俺の世話をするためにいたのではないのか?」
「まだ殿下の起きる時間ではなかったので、扉の外でお待ちしておりました。」
「なのに、起床前に扉の前でごちゃごちゃ話してたのか。」
「えっ!」
「聞こえていないと思ったのか。残念だったな。」
あんな小声でのやり取りなのに、なぜ殿下に聞こえたのだろうか。最上級のアルファの身体能力は計り知れない。だとしたら、殿下の聴力は、かなり優れているのかもしれない。
その前の晩にリュートは、ハミルに弱音を吐いた。
「あ、あのようなことを朝からするなど、私にはできそうにもない…。」
「朝じゃなければいいの?」
「いや…そういう訳じゃないんだけど…。いや、でも、それもあるかも。」
「まあ、毎朝、必ずご所望って訳じゃないからあんまり緊張しなくていいんじゃない?それよりも明日寝坊したら大変だよ。早く寝よっ!」
「う、うん…。」
そう言われてリュートは寝台に横たわったが、まんじりともしない夜を過ごしたのであった。
翌朝、アーディルの起床時間よりもだいぶ早く起きたリュートは、眠っているハミルを置いて、アーディルの寝室に繋がる扉の前でじっと待つことにした。そこに朝の食事の準備をしに側仕え達がやって来る。
曲がりなりにもアーディルの番に下手な干渉をする者はほとんどおらず、皆、冷たい目でリュートを見やるだけだったが最後に入ってきた宦官と思わしき若い側仕えがリュートの耳元で囁く。
「お前、随分張り切っているな。咥えたくてうずうずしてるのか。」
アーディルが宦官やそうでない側仕えらを意図しなくても魅了していることをリュートは知っていた。最上級のアルファのオーラを纏っているからだけではない。その魅力的な顔貌と鍛え抜かれた優艶な肉体と騎士としての実力、聡明な頭脳を持っているからだ。ただの嫉妬だろうと取り合うことはしない。
その様に腹を立てた若い宦官は、さらにリュートを侮辱する言葉を吐く。
「さすが、男の王族だったくせして体で命乞いしただけあるな。」
その言葉に、リュートは顔を赤くした。恥ずかしいのではない、怒りで。どれだけ父王や兄上たちと共にありたかったか。オメガでさえなければ、王族の矜持を保ったまま生を終えることができたはずなのに。
「私は、故国の民や女の王族の命を守れたことに誇りを持っています。」
いつもならこのような物言いをする者など無視をするが、一言言い返さなければ気が済まなかった。
「何を偉そうに。お前など王弟殿下のお情けに縋っただけの性奴隷ではないか。」
リュートは、目を見開いて相手を見た。1番身分の低いリュートは、普段、目を合わせないよう伏し目がちにしているため、相手は少し驚いたようだった。
碧の澄んだ瞳を間近に見た若い宦官は、息を呑む。そして、朝日に照らされて輝く金の髪と眩しいほどの白い肌に気付く。
「お前…。」
若い宦官がリュートの髪に手を伸ばそうとする。
その時、アーディルの寝室の扉が内側から開いた。寝衣のままのアーディルが不機嫌そうに現れた。
側仕え達が一斉に跪いたが、リュートは虚をつかれて、立ったままであった。
若い宦官は、リュートを咎めるように跪いたままリュートの裾を引く。
アーディルがその様子を目の端に捉えると、その宦官の腹を思いっ切り蹴り上げた。
若い宦官は、吹っ飛んだ後、床に叩き付けられて気を失う。
「来い。」
アーディルは、驚いて硬直しているリュートの手首を掴み部屋に入れた。
「お前は、俺の世話をするためにいたのではないのか?」
「まだ殿下の起きる時間ではなかったので、扉の外でお待ちしておりました。」
「なのに、起床前に扉の前でごちゃごちゃ話してたのか。」
「えっ!」
「聞こえていないと思ったのか。残念だったな。」
あんな小声でのやり取りなのに、なぜ殿下に聞こえたのだろうか。最上級のアルファの身体能力は計り知れない。だとしたら、殿下の聴力は、かなり優れているのかもしれない。
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