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葛藤
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無駄な権力争いを生まないよう、女王が、誰の子を身ごもったか分からないように、次の月の物が来るまでに、何人かの室と夜を過ごさなければならない決まりがあった。
ただ、それは体を重ねる行為のみのことで、それ以外であれば、誰とどう過ごしても良い。
しかし、どの室とも平等に過ごすようにするべきというのが歴代女王の考えであり暗黙の掟であった。
それは、1人前の男性が、ただただ女王を支えるためだけに後宮に入ってくれることに女王として応える義務があると考えているからである。
しかし、紗々羅は、生まれて初めての淡い恋心に自分を抑えるのが非常に難しかった。
初夜の日以来、毎夜、風雅と過ごしていた。せめてと、晩餐を風雅以外の室と取っても早く風雅に会いたくて、どうしても心ここにあらずとなってしまう。
「ごちそうさま。啓輝、また明日。」
そう立ち上がり啓輝の居室から紗々羅は出ようとする。
「陛下、もう行かれてしまうのですか。食後の茶と菓子もご用意しております。」
「ありがとう。でも政務が立て込んでいて、この後も自室で少し処理しなくてはならない。またの機会にする。」
「それは、お疲れ様です。何かお手伝いすることがあれば…。」
「それは追々お願いしよう。」
そう言い残し、紗々羅は自分が過ごしている殿に戻っていった。
足早に紗々羅は、戻りすぐに焦ったようにハルカに聞く。
「風雅は来ているか?」
「はい、陛下のご指示どおり早めに門を通りましてございます。」
「分かった。」
紗々羅は、来ていたドレスのまま白い扉を開ける。
「風雅!」
呼ぶといつものように長椅子から立ち上がり、紗々羅の元に優雅に歩み寄る。
紗々羅は想いが余って、抱きつく。背の差があり、そのまま抱きつくと紗々羅の頭は風雅の胸の辺りまでしかない。
その体を風雅は少し持ち上げて、紗々羅のおでこに唇を落とす。
「晩餐だったのに、お早かったですね。」
「デザートは、抜きにしたから。」
「この頃、いつもそうでしたので、今日は菓子を持ってきましたよ。」
「ふふ、気が利くな。そこの白の葡萄酒と一緒に食べよう。その前に着替えてくるから。」
笑顔で紗々羅は一度自室に戻って行った。
風雅は、そんな紗々羅が愛しくてたまらなかった。女王陛下が明らかに自分に想いを寄せてくれている。
その事実に日に日に高揚してしまう。一方で、それでも彼女を独占することは許されないと自分を言い聞かせていた。でも、一緒に過ごすこの夜だけは、紗々羅のことだけを考えていたいと思うのだった。
また別の日、晩餐から風雅と過ごすときは、すでにそこから二人の間には甘ったるい空気が流れている。風雅と一緒に取る食事だけは二人きりにしてもらっているので、いつも給仕しているハルカを赤面させることはなかったが…。
「今日はどのように過ごしていたのだ。」
「一日中、紗々羅様のことを想っていたよ。」
「わ、わたくしは、真剣に聞いている。」
「私も真剣に答えたんだが…。あとは、そうだな、後宮の外の宮殿の図書館に行ってきたよ。紗々羅様が事前に許可を出してくれていたからすんなり行けた。」
「それは、良かった。蔵書の数に感動しただろう。」
「ああ、これからどんな本を読めば良いか迷ってしまって、眺めるだけになってしまったけどね。」
「図書館監理官に今度は相談するといい。」
「次は、そうしよう。」
「けど…あんまり頻繁に行って欲しくないなんて言ったら風雅はあきれるだろうか…。」
「どういうこと?」
「後宮の外の女官達がそなたのことを憧れの目で見ている。そなたのことを噂しているのを聞いてしまったのだ。」
「悪い噂ではないといいけど…。」
「そなたは、稀に見る美しい顔立ちで、それだけでなく鍛え上げられた体を持っており、色気もあるそうだ。それで…女なら一度はその…抱かれてみたいと…。」
「ふー、そのような下品な噂を女王にお聞かせするなど…。」
「あ、いや、わたくしも悪いのだ。図書館にそなたが向かうと聞いて執務室を抜けて、女官に紛れてそなたが歩いて向かうのをこっそり見に行ったのだ。わたくしの目がないそなたはどんな感じか興味を持ってしまって。」
「なんと!!」
「あきれるであろう?」
すると風雅は、席を立って紗々羅を抱きしめる。
「可愛いお方だ。」
「食事中だぞ。」
「そのような可愛いことをされては、我慢できません。」
さらにきつく抱きしめる。
「紗々羅様、大丈夫だよ。私の心の中は、あなたで既にいっぱいです。誰が何を言っても紗々羅様しか目に入らない。」
ベガの間に移動し、風雅の傍にいるだけで、紗々羅の体は熱くなってくる。彼は、紗々羅を心地よくするのに熱心で、今まで女性の体を知らなかったのに、どんどん巧みになってくるのだった。
「んくっ、そ、そこばかり…。」
「お好きでしょう?」
風雅は紗々羅の足の間から顔を上げて妖艶な笑みを浮かべる。その男の色気を存分に帯びた笑みを見るだけで紗々羅は、イッてしまいそうになるぐらいだった。
「そなたが欲しい…。」
「んっ…紗々羅様…。」
風雅はたまらなくなり、十分に滾った自身のモノを紗々羅の秘部へ埋め込んだ。
思わず風雅は、声を漏らす。
「あああぁっ、紗々羅様の中は熱くて気持ち良い…。」
「んくっ…!恥ずかしいことを言うな。」
「恥ずかしがる紗々羅様も可愛いです。」
低音で紗々羅の耳元で囁く。
「ふぁっ…動いてっ!」
「はい、仰せのままに。」
「あ…んぅっ、はっ…ああんっ…」
風雅の動きに紗々羅の嬌声は止むことがない。それに煽られるように風雅の動きも激しくなる。
「ああ、紗々羅様っ!!」
どれぐらい経ったか、紗々羅がとっくにイッた後に風雅も白濁した液を中に放った。
ただ、それは体を重ねる行為のみのことで、それ以外であれば、誰とどう過ごしても良い。
しかし、どの室とも平等に過ごすようにするべきというのが歴代女王の考えであり暗黙の掟であった。
それは、1人前の男性が、ただただ女王を支えるためだけに後宮に入ってくれることに女王として応える義務があると考えているからである。
しかし、紗々羅は、生まれて初めての淡い恋心に自分を抑えるのが非常に難しかった。
初夜の日以来、毎夜、風雅と過ごしていた。せめてと、晩餐を風雅以外の室と取っても早く風雅に会いたくて、どうしても心ここにあらずとなってしまう。
「ごちそうさま。啓輝、また明日。」
そう立ち上がり啓輝の居室から紗々羅は出ようとする。
「陛下、もう行かれてしまうのですか。食後の茶と菓子もご用意しております。」
「ありがとう。でも政務が立て込んでいて、この後も自室で少し処理しなくてはならない。またの機会にする。」
「それは、お疲れ様です。何かお手伝いすることがあれば…。」
「それは追々お願いしよう。」
そう言い残し、紗々羅は自分が過ごしている殿に戻っていった。
足早に紗々羅は、戻りすぐに焦ったようにハルカに聞く。
「風雅は来ているか?」
「はい、陛下のご指示どおり早めに門を通りましてございます。」
「分かった。」
紗々羅は、来ていたドレスのまま白い扉を開ける。
「風雅!」
呼ぶといつものように長椅子から立ち上がり、紗々羅の元に優雅に歩み寄る。
紗々羅は想いが余って、抱きつく。背の差があり、そのまま抱きつくと紗々羅の頭は風雅の胸の辺りまでしかない。
その体を風雅は少し持ち上げて、紗々羅のおでこに唇を落とす。
「晩餐だったのに、お早かったですね。」
「デザートは、抜きにしたから。」
「この頃、いつもそうでしたので、今日は菓子を持ってきましたよ。」
「ふふ、気が利くな。そこの白の葡萄酒と一緒に食べよう。その前に着替えてくるから。」
笑顔で紗々羅は一度自室に戻って行った。
風雅は、そんな紗々羅が愛しくてたまらなかった。女王陛下が明らかに自分に想いを寄せてくれている。
その事実に日に日に高揚してしまう。一方で、それでも彼女を独占することは許されないと自分を言い聞かせていた。でも、一緒に過ごすこの夜だけは、紗々羅のことだけを考えていたいと思うのだった。
また別の日、晩餐から風雅と過ごすときは、すでにそこから二人の間には甘ったるい空気が流れている。風雅と一緒に取る食事だけは二人きりにしてもらっているので、いつも給仕しているハルカを赤面させることはなかったが…。
「今日はどのように過ごしていたのだ。」
「一日中、紗々羅様のことを想っていたよ。」
「わ、わたくしは、真剣に聞いている。」
「私も真剣に答えたんだが…。あとは、そうだな、後宮の外の宮殿の図書館に行ってきたよ。紗々羅様が事前に許可を出してくれていたからすんなり行けた。」
「それは、良かった。蔵書の数に感動しただろう。」
「ああ、これからどんな本を読めば良いか迷ってしまって、眺めるだけになってしまったけどね。」
「図書館監理官に今度は相談するといい。」
「次は、そうしよう。」
「けど…あんまり頻繁に行って欲しくないなんて言ったら風雅はあきれるだろうか…。」
「どういうこと?」
「後宮の外の女官達がそなたのことを憧れの目で見ている。そなたのことを噂しているのを聞いてしまったのだ。」
「悪い噂ではないといいけど…。」
「そなたは、稀に見る美しい顔立ちで、それだけでなく鍛え上げられた体を持っており、色気もあるそうだ。それで…女なら一度はその…抱かれてみたいと…。」
「ふー、そのような下品な噂を女王にお聞かせするなど…。」
「あ、いや、わたくしも悪いのだ。図書館にそなたが向かうと聞いて執務室を抜けて、女官に紛れてそなたが歩いて向かうのをこっそり見に行ったのだ。わたくしの目がないそなたはどんな感じか興味を持ってしまって。」
「なんと!!」
「あきれるであろう?」
すると風雅は、席を立って紗々羅を抱きしめる。
「可愛いお方だ。」
「食事中だぞ。」
「そのような可愛いことをされては、我慢できません。」
さらにきつく抱きしめる。
「紗々羅様、大丈夫だよ。私の心の中は、あなたで既にいっぱいです。誰が何を言っても紗々羅様しか目に入らない。」
ベガの間に移動し、風雅の傍にいるだけで、紗々羅の体は熱くなってくる。彼は、紗々羅を心地よくするのに熱心で、今まで女性の体を知らなかったのに、どんどん巧みになってくるのだった。
「んくっ、そ、そこばかり…。」
「お好きでしょう?」
風雅は紗々羅の足の間から顔を上げて妖艶な笑みを浮かべる。その男の色気を存分に帯びた笑みを見るだけで紗々羅は、イッてしまいそうになるぐらいだった。
「そなたが欲しい…。」
「んっ…紗々羅様…。」
風雅はたまらなくなり、十分に滾った自身のモノを紗々羅の秘部へ埋め込んだ。
思わず風雅は、声を漏らす。
「あああぁっ、紗々羅様の中は熱くて気持ち良い…。」
「んくっ…!恥ずかしいことを言うな。」
「恥ずかしがる紗々羅様も可愛いです。」
低音で紗々羅の耳元で囁く。
「ふぁっ…動いてっ!」
「はい、仰せのままに。」
「あ…んぅっ、はっ…ああんっ…」
風雅の動きに紗々羅の嬌声は止むことがない。それに煽られるように風雅の動きも激しくなる。
「ああ、紗々羅様っ!!」
どれぐらい経ったか、紗々羅がとっくにイッた後に風雅も白濁した液を中に放った。
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