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初閲覧会3
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「次、安曇家三男、前へ!」
「はっ!」
「立ちて面を上げよ。」
「はっ、拝謁させていただき、ありがたき幸せです。」
すっと立った安曇家の三男の背は185センチは、あるとも思われる長身で、男らしい精悍な顔立ちをしていた。少し笑みを浮かべた唇は色気を帯びていて、女王を捉える瞳は山吹色をしており、濡れそぼっているようにも見える。
体の線をあまり表さない服を着ているにも関わらず、体格が良いのが見て取れる。室候補は、候補中は髪を長くしておくことが義務づけられているがよく手入れされているのが分かり、薄群青色が艶々と光っていた。
それに何より、初めて女王を見ても、目をそらさず堂々としていた。
「私は、馬がけが得意です。それに笛の演奏も。ですので、昼間は陛下を遠くまで散歩にお連れすることができますし、夜は私の笛の音で癒しましょう。」
そして、にこりと紗々羅に笑いかける。
「ですが、茶を入れるのは得意ではありません。どうも茶葉を入れすぎてしまうようで…もったいないと何度侍従に叱られたことか…。陛下にお茶をお入れする機会があっても必ず辞退しろときつく言われました。」
「ふふっ。」
つい紗々羅は笑ってしまった。
このような場で失敗談を話す男は彼ぐらいだ。
「わたくしは、まずい茶など飲んだことがない。試しにそなたの茶をいつか飲んでみたいな。」
「そ、そのようにおしゃっていただけるとは!!そのようにおしゃっていただける陛下の傍にいたら、私は幸せになれそうです。」
久遠は顔を顰めた。皆、陛下を幸せにすると述べているというのに、自分勝手なと…。
「ふふふ、そなたは、わたくしと一緒だと幸せになれるのか。」
「はい!…で、ですがもちろん陛下も幸せだと嬉しいです。」
「分かった。そなたの名前は?」
「風雅と申します。」
「そうか。皆と宴席を楽しむが良い。」
閲覧会の後に用意されている宴席に促して、謁見は終了となる。
風雅は頭を垂れ、一歩下がったのち、女王の前を後にした。
「はっ!」
「立ちて面を上げよ。」
「はっ、拝謁させていただき、ありがたき幸せです。」
すっと立った安曇家の三男の背は185センチは、あるとも思われる長身で、男らしい精悍な顔立ちをしていた。少し笑みを浮かべた唇は色気を帯びていて、女王を捉える瞳は山吹色をしており、濡れそぼっているようにも見える。
体の線をあまり表さない服を着ているにも関わらず、体格が良いのが見て取れる。室候補は、候補中は髪を長くしておくことが義務づけられているがよく手入れされているのが分かり、薄群青色が艶々と光っていた。
それに何より、初めて女王を見ても、目をそらさず堂々としていた。
「私は、馬がけが得意です。それに笛の演奏も。ですので、昼間は陛下を遠くまで散歩にお連れすることができますし、夜は私の笛の音で癒しましょう。」
そして、にこりと紗々羅に笑いかける。
「ですが、茶を入れるのは得意ではありません。どうも茶葉を入れすぎてしまうようで…もったいないと何度侍従に叱られたことか…。陛下にお茶をお入れする機会があっても必ず辞退しろときつく言われました。」
「ふふっ。」
つい紗々羅は笑ってしまった。
このような場で失敗談を話す男は彼ぐらいだ。
「わたくしは、まずい茶など飲んだことがない。試しにそなたの茶をいつか飲んでみたいな。」
「そ、そのようにおしゃっていただけるとは!!そのようにおしゃっていただける陛下の傍にいたら、私は幸せになれそうです。」
久遠は顔を顰めた。皆、陛下を幸せにすると述べているというのに、自分勝手なと…。
「ふふふ、そなたは、わたくしと一緒だと幸せになれるのか。」
「はい!…で、ですがもちろん陛下も幸せだと嬉しいです。」
「分かった。そなたの名前は?」
「風雅と申します。」
「そうか。皆と宴席を楽しむが良い。」
閲覧会の後に用意されている宴席に促して、謁見は終了となる。
風雅は頭を垂れ、一歩下がったのち、女王の前を後にした。
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