9 / 37
1章 1年春〜夏
閑話 亮一も囲まれる
しおりを挟む
ここの所俺は一人で食堂に行くようにしていたが、今日はクラスの何人かも行きたいということで、一緒に行くことにした。
『葉山くんがいると、αがいっぱいいても怖くない』らしい。
身長160センチ前後の奴が多数のΩ同級生の中で俺は飛び抜けて背が高いし肩幅もあるから、頼もしく見えるだけだと思うが。
けど、俺と一緒に食堂行ったら、こうなってしまうのだ。
食堂に行くとこの間のαの先輩方と違う先輩達が俺を呼び止める。
「亮一くん、ハルちゃんは一緒じゃないの?」
「はい。」
「そうなんだ。」
残念そうにしながらも、
「ビュッフェ形式にしたからこっちおいでよ。」
と俺を誘う。
ハルが食堂に一度現れてから、いつまた来てもいいように、αの方々は食堂の机をくっつけて、さまざまな料理を運んで好きなものを好きなだけ食べられるようにしてくれていたり、先に何種類かの食事と席を用意いてくれていて、すぐに食べられるようにしてくれている。
まあ、いつも不発に終わるんだけど、『ハルのお友達』の俺はそのおこぼれに毎回あずかっているというわけだ。
「クラスメイトも一緒でいいですか?」
「いいよ、いいよ。」
同級生たちはびっくりしていたが、かっこいい先輩方に山岸は早くもポーッとなっている。
単純なやつ。
クラスメイトはさすがにαに囲まれて食べるのは落ち着かないらしく、Ω同士でくっついてのんびり食べている。
先輩方はそんな彼らと下手に関わらずそっと見守ってあげている感じだ。
なのに、何で俺だけ囲まれてるんだよ。
肉を中心に山盛りに好きなものを乗せた皿を持って席に座ると怒涛の質問タイム。
はいはい。またあの質問ですかね。
「ハルの好きなもの?甘い物ですよ。え?それは知ってる?ご飯系で?あいつ、あんま食わないんでよく知らないです。」
「じゃあさ、何プレゼントしたら、喜ぶかな?」
俺がそんなの知るかよ。というか、
「よく知らない人からいきなりプレゼントもらったりしたら、ビビるんじゃないですか?」
「いや、僕だっていきなり車とかマンションあげたりしないよ。財布とかそういう小物だよ。」
「いや、財布とか十分ビビります。」
「うーん。大概な子は喜ぶんだけどなー。奥ゆかしいんだね。」
いや、あんた達の世界が特殊だと思いますよ。って、車とかマンションって何!?
俺は質問されている合間にもバクバク食べる。
あーここの食堂まじうまい。
「何々?ハルくんの友達がいるの?」
ん?人増えた?
「ねえ、ハルくんのお友達、ハルくんって放課後どこにいるの?」
「いつも寮の中かその周辺にいますよ。」
と答えると、口々にハルのことを話始めた。
「えー俺達が近づけない場所に隠れてるのか。」
「なんか引っ込んじゃって可愛いよなー。」
「レアキャラ感がますます、するな。」
「でもこの間体育の授業で体育館にいるとこ見たぞ。体育着姿は、眼福!」
「まじかー羨ましい。」
「あー俺も見たことある。必死でボール取ろうとしてんだけど、うまく取れなくて顔真っ赤になってて、可愛かったぞ。」
「見てー。」
はあ、何だって俺は囲まれながらハルの話を聞かされなきゃいけないんだ。
俺は目の前の皿を空にし、スクッと立って再び皿に料理を盛り付けて一目散にΩ専用席に逃げた。
クラスメイトを置いて来たけど、大丈夫だろう。多分俺の見た目がΩっぽくないからどいつもこいつも俺には遠慮がないが、可愛らしい見た目のあいつらなら丁重に扱ってくれているはずだ。
俺は、αと関わらずに生活するつもりがハルというめちゃくちゃ可愛い友達のお陰で図らずもαに囲まれてしまう。
あとで、ハルのあのふわふわの髪の毛をモフモフしてやるー!
ふん、αのヤローはΩに触ったら行けない規則だからな。Ω同士の特権行使してやるぞ!
『葉山くんがいると、αがいっぱいいても怖くない』らしい。
身長160センチ前後の奴が多数のΩ同級生の中で俺は飛び抜けて背が高いし肩幅もあるから、頼もしく見えるだけだと思うが。
けど、俺と一緒に食堂行ったら、こうなってしまうのだ。
食堂に行くとこの間のαの先輩方と違う先輩達が俺を呼び止める。
「亮一くん、ハルちゃんは一緒じゃないの?」
「はい。」
「そうなんだ。」
残念そうにしながらも、
「ビュッフェ形式にしたからこっちおいでよ。」
と俺を誘う。
ハルが食堂に一度現れてから、いつまた来てもいいように、αの方々は食堂の机をくっつけて、さまざまな料理を運んで好きなものを好きなだけ食べられるようにしてくれていたり、先に何種類かの食事と席を用意いてくれていて、すぐに食べられるようにしてくれている。
まあ、いつも不発に終わるんだけど、『ハルのお友達』の俺はそのおこぼれに毎回あずかっているというわけだ。
「クラスメイトも一緒でいいですか?」
「いいよ、いいよ。」
同級生たちはびっくりしていたが、かっこいい先輩方に山岸は早くもポーッとなっている。
単純なやつ。
クラスメイトはさすがにαに囲まれて食べるのは落ち着かないらしく、Ω同士でくっついてのんびり食べている。
先輩方はそんな彼らと下手に関わらずそっと見守ってあげている感じだ。
なのに、何で俺だけ囲まれてるんだよ。
肉を中心に山盛りに好きなものを乗せた皿を持って席に座ると怒涛の質問タイム。
はいはい。またあの質問ですかね。
「ハルの好きなもの?甘い物ですよ。え?それは知ってる?ご飯系で?あいつ、あんま食わないんでよく知らないです。」
「じゃあさ、何プレゼントしたら、喜ぶかな?」
俺がそんなの知るかよ。というか、
「よく知らない人からいきなりプレゼントもらったりしたら、ビビるんじゃないですか?」
「いや、僕だっていきなり車とかマンションあげたりしないよ。財布とかそういう小物だよ。」
「いや、財布とか十分ビビります。」
「うーん。大概な子は喜ぶんだけどなー。奥ゆかしいんだね。」
いや、あんた達の世界が特殊だと思いますよ。って、車とかマンションって何!?
俺は質問されている合間にもバクバク食べる。
あーここの食堂まじうまい。
「何々?ハルくんの友達がいるの?」
ん?人増えた?
「ねえ、ハルくんのお友達、ハルくんって放課後どこにいるの?」
「いつも寮の中かその周辺にいますよ。」
と答えると、口々にハルのことを話始めた。
「えー俺達が近づけない場所に隠れてるのか。」
「なんか引っ込んじゃって可愛いよなー。」
「レアキャラ感がますます、するな。」
「でもこの間体育の授業で体育館にいるとこ見たぞ。体育着姿は、眼福!」
「まじかー羨ましい。」
「あー俺も見たことある。必死でボール取ろうとしてんだけど、うまく取れなくて顔真っ赤になってて、可愛かったぞ。」
「見てー。」
はあ、何だって俺は囲まれながらハルの話を聞かされなきゃいけないんだ。
俺は目の前の皿を空にし、スクッと立って再び皿に料理を盛り付けて一目散にΩ専用席に逃げた。
クラスメイトを置いて来たけど、大丈夫だろう。多分俺の見た目がΩっぽくないからどいつもこいつも俺には遠慮がないが、可愛らしい見た目のあいつらなら丁重に扱ってくれているはずだ。
俺は、αと関わらずに生活するつもりがハルというめちゃくちゃ可愛い友達のお陰で図らずもαに囲まれてしまう。
あとで、ハルのあのふわふわの髪の毛をモフモフしてやるー!
ふん、αのヤローはΩに触ったら行けない規則だからな。Ω同士の特権行使してやるぞ!
13
お気に入りに追加
229
あなたにおすすめの小説
変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話
ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。
βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。
そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。
イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。
3部構成のうち、1部まで公開予定です。
イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。
最新はTwitterに掲載しています。
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
噛痕に思う
阿沙🌷
BL
αのイオに執着されているβのキバは最近、思うことがある。じゃれ合っているとイオが噛み付いてくるのだ。痛む傷跡にどことなく関係もギクシャクしてくる。そんななか、彼の悪癖の理由を知って――。
✿オメガバースもの掌編二本作。
(『ride』は2021年3月28日に追加します)
孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる