114 / 137
114.それは始まり
しおりを挟む
最近夢にお姉様が出てくる
……気がする
きちんと覚えてないけど、目が覚めると『あおいお姉様はどこにいるんだろう?』っと言う気持ちになる
窓際の薔薇の蕾を眺めて
「ねぇ。どこにいると思う?」
「どこかないるかなぁ?」
と、問いかけるけど、もちろん返事は無い
一時咲きかけたと思った蕾はなんだか元気がないような気がする
天気が悪いからかなぁ……
外はどんより曇り空
「はぁ…。」
色々とため息しか出ない
コンコン
ドアをノックする音を聞いたけど、居留守を使ってみた
今は誰にも会いたくない
窓際のソファーに横たわりながら、ぼーっとドアを眺め続ける
声をかける気配も無い
立ち去った足音もしない
というか、この部屋に近づいてくる足音もしなかった
誰だろ……
エリちゃんもユミさんも、きっとドアの外から声をかけてくれる
カイリ殿下やトキ殿下は、そのまま入ってくる気がする
誰?
え……誰っ!!?!
ちょっと怖くなってきた
この教会の結界は特殊だから、そもそも簡単に外部の人が入ってこれる訳では無い
でも、じゃあ、誰?!
ドアの外を確かめる勇気を持てず、そのまま奥の寝室へドタバタと駆け込んで鍵をかけた
返事しとけばよかった
でも、返事したら誰が入ってきたの?
…………。
考えれば考えるほど、勝手に恐怖心は増して行った
体が震え始める
怖いと思ったらその思念に覆われてしまう
体にまとわりつく恐怖の念が振り払えない
トキ殿下と満月の泉に行った時もそうだった
あの時は、トキ殿下に触れている安心感に救われた
でも今は、トキ殿下はここには居ない……
私はベッドの上で枕を抱きしめながら、小さく丸くなる
すると、サイドテーブルに置かれたピンクの小瓶が目に入った
トキ殿下が作ってくれる魔法薬は、私の魔力の乱れを整えてくれる
体調や気持ちの浮き沈みも大体魔力の乱れが原因だ
自分でコントロール出来ないものを、薬の力を借りて整える
今、まさに、その時かもしれない!
私はピンクの小瓶に手にとり、蓋を開けると、中の液体を飲み込む
魔法薬はまとわりつく恐怖心から私を解放してくれた
ちょっとフワフワする
大体いつもそうだ
魔法に対する耐性が弱いからなのか、癒されすぎて気持ちよくなってしまうからなのか
そのまま眠気のまどろみがやってくる
このウトウトとした気持ちよさに抗うすべを私は知らない
私は何もかも忘れて、枕を抱きしめたまま、眠気のまどろみを堪能しながら眠りに落ちていった
……気がする
きちんと覚えてないけど、目が覚めると『あおいお姉様はどこにいるんだろう?』っと言う気持ちになる
窓際の薔薇の蕾を眺めて
「ねぇ。どこにいると思う?」
「どこかないるかなぁ?」
と、問いかけるけど、もちろん返事は無い
一時咲きかけたと思った蕾はなんだか元気がないような気がする
天気が悪いからかなぁ……
外はどんより曇り空
「はぁ…。」
色々とため息しか出ない
コンコン
ドアをノックする音を聞いたけど、居留守を使ってみた
今は誰にも会いたくない
窓際のソファーに横たわりながら、ぼーっとドアを眺め続ける
声をかける気配も無い
立ち去った足音もしない
というか、この部屋に近づいてくる足音もしなかった
誰だろ……
エリちゃんもユミさんも、きっとドアの外から声をかけてくれる
カイリ殿下やトキ殿下は、そのまま入ってくる気がする
誰?
え……誰っ!!?!
ちょっと怖くなってきた
この教会の結界は特殊だから、そもそも簡単に外部の人が入ってこれる訳では無い
でも、じゃあ、誰?!
ドアの外を確かめる勇気を持てず、そのまま奥の寝室へドタバタと駆け込んで鍵をかけた
返事しとけばよかった
でも、返事したら誰が入ってきたの?
…………。
考えれば考えるほど、勝手に恐怖心は増して行った
体が震え始める
怖いと思ったらその思念に覆われてしまう
体にまとわりつく恐怖の念が振り払えない
トキ殿下と満月の泉に行った時もそうだった
あの時は、トキ殿下に触れている安心感に救われた
でも今は、トキ殿下はここには居ない……
私はベッドの上で枕を抱きしめながら、小さく丸くなる
すると、サイドテーブルに置かれたピンクの小瓶が目に入った
トキ殿下が作ってくれる魔法薬は、私の魔力の乱れを整えてくれる
体調や気持ちの浮き沈みも大体魔力の乱れが原因だ
自分でコントロール出来ないものを、薬の力を借りて整える
今、まさに、その時かもしれない!
私はピンクの小瓶に手にとり、蓋を開けると、中の液体を飲み込む
魔法薬はまとわりつく恐怖心から私を解放してくれた
ちょっとフワフワする
大体いつもそうだ
魔法に対する耐性が弱いからなのか、癒されすぎて気持ちよくなってしまうからなのか
そのまま眠気のまどろみがやってくる
このウトウトとした気持ちよさに抗うすべを私は知らない
私は何もかも忘れて、枕を抱きしめたまま、眠気のまどろみを堪能しながら眠りに落ちていった
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星井柚乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
【完結】薔薇の花をあなたに贈ります
彩華(あやはな)
恋愛
レティシアは階段から落ちた。
目を覚ますと、何かがおかしかった。それは婚約者である殿下を覚えていなかったのだ。
ロベルトは、レティシアとの婚約解消になり、聖女ミランダとの婚約することになる。
たが、それに違和感を抱くようになる。
ロベルト殿下視点がおもになります。
前作を多少引きずってはいますが、今回は暗くはないです!!
11話完結です。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。
辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる