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105.薔薇の蕾

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「ところでみさき様?」
さっきまで妄想を熱弁していたライラさんが、私に新しいトークテーマを届けた

「私がお贈りした薔薇に変化があったと、トキ様が仰っていましたわ」

そうだ。薔薇の報告をする目的をすっかり忘れていた

「そうなんです。朝起きたら、今までは先まで閉じていた蕾が、花びらの先がほころんできたんです!」

「まぁ!どんな花が咲くのか、楽しみですわね」

ライラさんは目をキラキラさせて語る

「お贈りした薔薇は、前にもお話した通り、与える魔力によって色が変わりますのよ。みさき様の魔力で輝く花が咲くと思いますわ」

まだ長い道のりな気がしてならない

「あ。あと、光をかざすと、花びらがキラキラ光って見えることがあります。」

「まぁっ!やはり、光の魔力のお力かもしれませんわ!!みさき様の魔力で薔薇が七色に輝く日も近いですわね」

ここのお庭にも、沢山の色の薔薇が咲いている
色とりどりの綺麗なお花
それも、魔力による色付けなのかな?それとも……

「ここに咲いてる薔薇も魔力で色が変わるんですか?」

「いいえ。この後宮で育てているものや、街に咲く薔薇は品種の研究によるものですわ。強い魔力や魔法の力によって変化することもありますけれど」

「あと、その土地の力が影響する場合もありますわね。」

「そういえば……宮廷にしか咲かないと言われているブルーローズがあると言われているんですが……。」

と言いかけて、ライラさんは考え込んだ

「カイリ様もフェン様も、見たことがないと仰っていて、どこに咲いているのかは誰も知らないようです」


「不思議なお話ね?」
「誰も知らないのに、宮廷に咲くというお話はどこから出てきたのかしら?」

アルバさんとメリナさんは頬に手を当てながら、首を傾げている


ブルーローズ……
私どこかで見た気が……するような……しないような……

記憶を探れども、何も思い当たる節はなかった

「みさきさん?何か思い悩まれていらして?」
「あ!いえ。そういう訳ではないです!」
私がうなりながら記憶をたどっている姿を見て、メリナさんが声をかけてくれた

「お悩みがあるのなら、遠慮なく相談して欲しいわ。そのために私たちがいるんですもの」
アルバさんも気遣って声をかけてくれた

前にカイリ殿下が、後宮は空気が良いと言っていた
確かに。ここは、穏やかに暖かい魔力で満ちている
きっと、皆さんの心の温かさが生み出す空気なんだと思う

私は、入れていただいたローズティーを手に取り、優雅な香りの中で癒されながら、おしゃべりを楽しんだ
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