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93.トキの想い
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パタン
みさきを休ませた部屋を出ると、先程の礼拝堂へ戻る
礼拝堂では顔色の悪いシスターにラディアが付き添っていた
「ルイ、ルカ。」
2人の名を呼ぶと、クリスタルを集めていた手を止め、こちらに駆け寄ってくる
「兄上!みさきは?!」
「大丈夫なの?!」
ルゥ達は不安そうな表情でみさきの体を気づかう
「カイリがついているから大丈夫だ。それより……」
砕けたクリスタルに目線をやった
「クリスタルがみさきに影響するんだったら、全て回収した方が良いと思って」
「今、回収してるんだけど」
「そうか。それなら、このままお願いできるかい?」
2人にはクリスタルの回収を任せた
回収しているクリスタルを1つ手に取ると、無機質な冷たさが肌に沁みる
まるで牢獄だ
クリスタルという冷たい牢獄の中で
自由はなく、1人で、ただただ、人の負の感情を浴び続け、他人の幸せのために自分を犠牲にする
1人は寂しい
夜にみさきが涙を流していたのを思い出した
寂しかったのだろうか、悲しかったのだろうか、不安だったのだろうか……
そばに自分がいる事で、少しでもその気持ちが和らぐと良い……
自分にはカイリがいた
牢に監禁されても、自分で幽閉生活を送ると言っても、なんやかんや言ってカイリはいつもそばにいた
どこにいてもカイリが居るという安心感に救われた
なら、自分から甘えることの出来ない不器用な彼女の心は誰が救ってあげられるのだろう
我慢して、我慢して、我慢して……
その辛い気持ちを誰と共有し、誰に癒してもらうのだろうか
もう少し心を許して、気兼ねなく甘えられる存在になれたら…
そんなことを思いながらクリスタルを見つめた
「ラディア。何かあったら知らせてくれるかい?」
指で鳥を描き、1対の鳥のうちの1羽をラディアに向けて送った
ラディアは、シスターに付き添い、話を聞いているようだ
鳥がラディアの肩に止まる
「承知致しました。」
礼拝堂の空気は、先程までの重々しいものではなく、清らかな空気が漂っている
ここも、移転が望ましいかもしれないな
「ルゥ。後は任せる」
「「はーい。」」
さてと、
懐から透明なガラス玉を取り出すと、手のひらの上で転がす
想像と創造
すると、ガラス玉は姿を変え、ピンクの小瓶が姿を現した
その小瓶に魔法薬を生成する
体の不調は取り除けても、心の不調は魔法では治らない
人の心は人が救うのだ
みさきを想いながら、中身の入った小瓶を片手に彼女の元へ向かった
ガチャ
ドアを開けると、みさきは目を覚ましていた
「どぅ?具合は?」
声に反応はするが、ぼーっと天井を見つめたまま動かない
(あまり良くはなさそうかな……)
「大丈夫?」
そう言って、みさきの頬をスルッとなでる
その手を受け入れる表情が見て取れ、少し安心した
(ん~自分じゃ飲めない……かな?)
体が自由にならないのかもしれない
ピンクの小瓶を取り出して、中の魔法薬を口に含むと、みさきの唇に親指をかける
拒むことなく口を開ける姿を見つめ
そのまま口移しで魔法薬をみさきに飲ませた
みさきは和らいだ表情でこちらを見つめている
これなら大丈夫かな
みさきの背中に手を添え、半身を起き上がらせると、なされるがまま体を預けてくれる姿が愛らしい
(少しは懐いてくれた……かな?)
背中にトントンとリズムを取る
ルゥ達も体調を崩して眠れない時、こうすると次第におちついて眠っていたっけ
懐かしい記憶を辿りながら、みさきを腕の中で寝かしつける
すると、カイリが立ち上がり
「このままラディアに送らせよう」
と言った
「そうだね」
対の鳥を通してラディアを呼ぶ
しばらくすると
「お呼びでしょうか」
跪いて礼をとり、ラディアは指示を待った
腕の中で眠っているみさきをラディアに託す
「転移で連れて帰れるかい?」
「はい。みさき様を送り届けるだけであれば問題ありません」
「聖堂にはユミが居る。今日のことを話して考えを聞きたい」
カイリがラディアに指示を出す
「かしこまりました。」
ラディアはそのまま、みさきを抱き上げて立ち上がり、片手で器用に魔法陣を描いた
「では、失礼致します」
足元に浮かんだ魔法陣が広がり、ラディアとみさきを包んでいく
光とともに2人はこの場から消え去った
みさきを休ませた部屋を出ると、先程の礼拝堂へ戻る
礼拝堂では顔色の悪いシスターにラディアが付き添っていた
「ルイ、ルカ。」
2人の名を呼ぶと、クリスタルを集めていた手を止め、こちらに駆け寄ってくる
「兄上!みさきは?!」
「大丈夫なの?!」
ルゥ達は不安そうな表情でみさきの体を気づかう
「カイリがついているから大丈夫だ。それより……」
砕けたクリスタルに目線をやった
「クリスタルがみさきに影響するんだったら、全て回収した方が良いと思って」
「今、回収してるんだけど」
「そうか。それなら、このままお願いできるかい?」
2人にはクリスタルの回収を任せた
回収しているクリスタルを1つ手に取ると、無機質な冷たさが肌に沁みる
まるで牢獄だ
クリスタルという冷たい牢獄の中で
自由はなく、1人で、ただただ、人の負の感情を浴び続け、他人の幸せのために自分を犠牲にする
1人は寂しい
夜にみさきが涙を流していたのを思い出した
寂しかったのだろうか、悲しかったのだろうか、不安だったのだろうか……
そばに自分がいる事で、少しでもその気持ちが和らぐと良い……
自分にはカイリがいた
牢に監禁されても、自分で幽閉生活を送ると言っても、なんやかんや言ってカイリはいつもそばにいた
どこにいてもカイリが居るという安心感に救われた
なら、自分から甘えることの出来ない不器用な彼女の心は誰が救ってあげられるのだろう
我慢して、我慢して、我慢して……
その辛い気持ちを誰と共有し、誰に癒してもらうのだろうか
もう少し心を許して、気兼ねなく甘えられる存在になれたら…
そんなことを思いながらクリスタルを見つめた
「ラディア。何かあったら知らせてくれるかい?」
指で鳥を描き、1対の鳥のうちの1羽をラディアに向けて送った
ラディアは、シスターに付き添い、話を聞いているようだ
鳥がラディアの肩に止まる
「承知致しました。」
礼拝堂の空気は、先程までの重々しいものではなく、清らかな空気が漂っている
ここも、移転が望ましいかもしれないな
「ルゥ。後は任せる」
「「はーい。」」
さてと、
懐から透明なガラス玉を取り出すと、手のひらの上で転がす
想像と創造
すると、ガラス玉は姿を変え、ピンクの小瓶が姿を現した
その小瓶に魔法薬を生成する
体の不調は取り除けても、心の不調は魔法では治らない
人の心は人が救うのだ
みさきを想いながら、中身の入った小瓶を片手に彼女の元へ向かった
ガチャ
ドアを開けると、みさきは目を覚ましていた
「どぅ?具合は?」
声に反応はするが、ぼーっと天井を見つめたまま動かない
(あまり良くはなさそうかな……)
「大丈夫?」
そう言って、みさきの頬をスルッとなでる
その手を受け入れる表情が見て取れ、少し安心した
(ん~自分じゃ飲めない……かな?)
体が自由にならないのかもしれない
ピンクの小瓶を取り出して、中の魔法薬を口に含むと、みさきの唇に親指をかける
拒むことなく口を開ける姿を見つめ
そのまま口移しで魔法薬をみさきに飲ませた
みさきは和らいだ表情でこちらを見つめている
これなら大丈夫かな
みさきの背中に手を添え、半身を起き上がらせると、なされるがまま体を預けてくれる姿が愛らしい
(少しは懐いてくれた……かな?)
背中にトントンとリズムを取る
ルゥ達も体調を崩して眠れない時、こうすると次第におちついて眠っていたっけ
懐かしい記憶を辿りながら、みさきを腕の中で寝かしつける
すると、カイリが立ち上がり
「このままラディアに送らせよう」
と言った
「そうだね」
対の鳥を通してラディアを呼ぶ
しばらくすると
「お呼びでしょうか」
跪いて礼をとり、ラディアは指示を待った
腕の中で眠っているみさきをラディアに託す
「転移で連れて帰れるかい?」
「はい。みさき様を送り届けるだけであれば問題ありません」
「聖堂にはユミが居る。今日のことを話して考えを聞きたい」
カイリがラディアに指示を出す
「かしこまりました。」
ラディアはそのまま、みさきを抱き上げて立ち上がり、片手で器用に魔法陣を描いた
「では、失礼致します」
足元に浮かんだ魔法陣が広がり、ラディアとみさきを包んでいく
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