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72.頭痛は突然やってきた
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うっすらと意識が戻ってくる
目を開けた先にはエリちゃんが心配そうな顔で私を見下ろしていた
「お加減はいかがですか!?」
私は、エリちゃんの膝枕に頭を預けて目を覚ました
頭………痛い………
でも、さっきよりは随分楽になった気がする
体を起こそうと横向きになると、エリちゃんは、私を支えてソファーに座らせてくれた
「ありがとう。だいぶ良くなったよ」
割れるような痛みは収まったものの、まだズキズキする痛みはのこっている
テーブルには、見た事のある小瓶が蓋のあいた状態で置いてあった
私はその小瓶を手に取る
青く透き通るガラス瓶
繊細な宝石のようなカッティングが施されている蓋が着いている
あおいお姉様は、私が体調を崩すと、この魔法薬をくれた
懐かしい……
王宮に連れていかれてから、いつの間にか会えなくなってしまったお姉様
どこにいるんだろ……
私が物思いにふけっていると
勢いよく部屋の扉が開いた
バンッ!!
「「倒れたんだって!!?!?!」」
大きい声出さないでぇぇ~
頭が……頭に響くから……
私が頭を抱えているのを見ると、
金髪で瓜二つの顔を持つ青年が2人
私の元に駆け寄って、その碧い瞳で私を見つめる
「「大丈夫?」」
キラキラオーラが眩しい……
でも、今のルゥ君からは想像出来ない
聞いた通り、幼い頃は余程の環境だったんだろう
「ルイ様、ルカ様、あまり大きなお声を出されてはみさき様のお体に触ります」
扉の前には音もなく、3人目の訪問者である白髪の青年が立っていた
ロイさんは、落ち着いた言葉で2人をなだめ、そのまま私に歩み寄ると、跪いてご挨拶の姿勢を見せた
「この度は、カイリ様、トキ様両殿下が外せない案件の調査でおいでになれません。その関係で、ルイ様、ルカ様両殿下とご一緒に、お加減を見に参りました次第です。何かあれば直ぐに報告せよ。との言付けを承っておりますが、何か気がかりなことはございますでしょうか?」
難しい。言葉が難しい。事務連絡が過剰包装されてる
「あの……」
私は力なくロイさんに告げた
「普通に話してくれるとありがたいのですが……」
「失礼いたしました。」
ロイさんは、うっかり。といった表情でこちらを見上げた
「フェン様からそのように伺っていたのですが、つい、癖で……」
「では、改めまして、体調はいかがでしょうか?何か気になることなどございますか?」
「頭がちょっと痛くて、あと………体が重いです……」
私は現状を正直に報告した
割れるような頭痛は、ユミさんが出してくれたであろう魔法薬で少し良くなった気がする
でも……
体が重い
というか、多分ちょっと自由に動けない
はっ!もしかして!私。太った??
そーゆー事?!
「関係がないとも言えませんね……」
ロイさんは眉をしかめて独り言のように呟いた
わわわわ私、やっぱり、太ってます?ロイさんの見た目にも分かります?
私の考えが明後日の方に向かいそうなところをルイくんが引き戻してくれた
「何慌ててるの?みさきの体が重たく感じてるのは、きっと、魔力の穢れが溜まりすぎてるんだと思うよ」
「そうだね。僕もそう思う」
えりちゃんが私の隣の席を空けると
二人は私の両サイドに座って、それぞれ片手ずつ手を握った
「みさきが頭痛いの、僕達がちょっと気にならなくしてあげるよ?」
「幻術の応用だから、治せるわけじゃないんだけど、ずっと痛いの嫌でしょ?」
「う、うん」
私は2人に任せることにした
すると、二人は目を閉じて、手元に意識を集中した
手元が、ほんのり暖かくなる
すると、ズキズキしてた痛みが引いていった
「ありがとう」
私は二人にお礼を言った
頭はスッキリしたけど、体は重いままだ
「少し、ご報告しておきましょう」
ロイさんが空に鳥を描く
あ。これは伝書鳩的な感じで送られていくやつだ。きっとカイリ殿下かトキ殿下に
いや、きっと二人に。だ
「あの!報告されなくて大丈夫です。そんなに重要なことでは……。」
クリスタルで浄化された穢れが、私の中に溜まっていくのは、そういうシステムになってるから仕方ないことだと思うし、報告したところで、そんな重要なことでもないと思いたい
それより何より、カイリ殿下と、トキ殿下に会う心の準備ができていない
冷静になって思い返してしまった今、なんか恥ずかしくて……
あぁあぁ。そういえば頭痛の原因これじゃないの?
報告したら、きっと二人はここに来る……
どんな顔して会ったら……
いや。会えないっっ!!
「みさき?兄上に助けてもらいなよ」
「みさきを浄化できるのは兄上達だけなんだよ?」
あ。そういば、私の体、浄化する場所がなくなってしまったんだった。
このまま溜まり過ぎると、どうなるのかは分からない
うーーん………。
そうこう思ってる間に、ロイさんの鳥はどこかに羽ばたいて行ってしまった
目を開けた先にはエリちゃんが心配そうな顔で私を見下ろしていた
「お加減はいかがですか!?」
私は、エリちゃんの膝枕に頭を預けて目を覚ました
頭………痛い………
でも、さっきよりは随分楽になった気がする
体を起こそうと横向きになると、エリちゃんは、私を支えてソファーに座らせてくれた
「ありがとう。だいぶ良くなったよ」
割れるような痛みは収まったものの、まだズキズキする痛みはのこっている
テーブルには、見た事のある小瓶が蓋のあいた状態で置いてあった
私はその小瓶を手に取る
青く透き通るガラス瓶
繊細な宝石のようなカッティングが施されている蓋が着いている
あおいお姉様は、私が体調を崩すと、この魔法薬をくれた
懐かしい……
王宮に連れていかれてから、いつの間にか会えなくなってしまったお姉様
どこにいるんだろ……
私が物思いにふけっていると
勢いよく部屋の扉が開いた
バンッ!!
「「倒れたんだって!!?!?!」」
大きい声出さないでぇぇ~
頭が……頭に響くから……
私が頭を抱えているのを見ると、
金髪で瓜二つの顔を持つ青年が2人
私の元に駆け寄って、その碧い瞳で私を見つめる
「「大丈夫?」」
キラキラオーラが眩しい……
でも、今のルゥ君からは想像出来ない
聞いた通り、幼い頃は余程の環境だったんだろう
「ルイ様、ルカ様、あまり大きなお声を出されてはみさき様のお体に触ります」
扉の前には音もなく、3人目の訪問者である白髪の青年が立っていた
ロイさんは、落ち着いた言葉で2人をなだめ、そのまま私に歩み寄ると、跪いてご挨拶の姿勢を見せた
「この度は、カイリ様、トキ様両殿下が外せない案件の調査でおいでになれません。その関係で、ルイ様、ルカ様両殿下とご一緒に、お加減を見に参りました次第です。何かあれば直ぐに報告せよ。との言付けを承っておりますが、何か気がかりなことはございますでしょうか?」
難しい。言葉が難しい。事務連絡が過剰包装されてる
「あの……」
私は力なくロイさんに告げた
「普通に話してくれるとありがたいのですが……」
「失礼いたしました。」
ロイさんは、うっかり。といった表情でこちらを見上げた
「フェン様からそのように伺っていたのですが、つい、癖で……」
「では、改めまして、体調はいかがでしょうか?何か気になることなどございますか?」
「頭がちょっと痛くて、あと………体が重いです……」
私は現状を正直に報告した
割れるような頭痛は、ユミさんが出してくれたであろう魔法薬で少し良くなった気がする
でも……
体が重い
というか、多分ちょっと自由に動けない
はっ!もしかして!私。太った??
そーゆー事?!
「関係がないとも言えませんね……」
ロイさんは眉をしかめて独り言のように呟いた
わわわわ私、やっぱり、太ってます?ロイさんの見た目にも分かります?
私の考えが明後日の方に向かいそうなところをルイくんが引き戻してくれた
「何慌ててるの?みさきの体が重たく感じてるのは、きっと、魔力の穢れが溜まりすぎてるんだと思うよ」
「そうだね。僕もそう思う」
えりちゃんが私の隣の席を空けると
二人は私の両サイドに座って、それぞれ片手ずつ手を握った
「みさきが頭痛いの、僕達がちょっと気にならなくしてあげるよ?」
「幻術の応用だから、治せるわけじゃないんだけど、ずっと痛いの嫌でしょ?」
「う、うん」
私は2人に任せることにした
すると、二人は目を閉じて、手元に意識を集中した
手元が、ほんのり暖かくなる
すると、ズキズキしてた痛みが引いていった
「ありがとう」
私は二人にお礼を言った
頭はスッキリしたけど、体は重いままだ
「少し、ご報告しておきましょう」
ロイさんが空に鳥を描く
あ。これは伝書鳩的な感じで送られていくやつだ。きっとカイリ殿下かトキ殿下に
いや、きっと二人に。だ
「あの!報告されなくて大丈夫です。そんなに重要なことでは……。」
クリスタルで浄化された穢れが、私の中に溜まっていくのは、そういうシステムになってるから仕方ないことだと思うし、報告したところで、そんな重要なことでもないと思いたい
それより何より、カイリ殿下と、トキ殿下に会う心の準備ができていない
冷静になって思い返してしまった今、なんか恥ずかしくて……
あぁあぁ。そういえば頭痛の原因これじゃないの?
報告したら、きっと二人はここに来る……
どんな顔して会ったら……
いや。会えないっっ!!
「みさき?兄上に助けてもらいなよ」
「みさきを浄化できるのは兄上達だけなんだよ?」
あ。そういば、私の体、浄化する場所がなくなってしまったんだった。
このまま溜まり過ぎると、どうなるのかは分からない
うーーん………。
そうこう思ってる間に、ロイさんの鳥はどこかに羽ばたいて行ってしまった
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