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68.夢は過去の暗示
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耳を傾けてはいけない
心を開いてはいけない
息を殺してじっと耐える
それしか出来ない
それしか……
嫌だ
苦しい……
いや………
くるし……い
助け…
『おい!大丈夫か?』
はっ!!
私を揺すりながらカイリ殿下が私の名前を呼ぶ
『みさき!!??』
目を開くと、カイリ殿下は心配そうな眼差しで、私をじっと見つめている
パクパクと口を動かすけど、声が出ない
なんなら呼吸も上手く出来ない
「………ハッ………ッ………」
どうしよう……苦しい、けど、声が出ない……
カイリ殿下は私を起き上がらせてくれる
自身はベッドの背にもたれ、私はなされるがままに、殿下の肩に頭を預けた
「大丈夫だ」
殿下は私の背中に手を回し、頭を優しく撫でる
強ばった体から力が抜けない
ぎゅっと握りしめた手を開くことが出来ない
何故か全身にぎゅっと力が入って、何かを拒むように体は強ばる
目を閉じると、ヌルッとした不快な感触が襲ってくる
嫌だ、いやだ、イヤ…ダ
何かを拒絶する感情が身体中に広がる
殿下の肩に顔をもたれたまま、首を左右にイヤイヤと降った
自分でも何が嫌なのか、何を拒絶しているのかわからない
感情のコントロールがきかなくて怖い
何かを私の体は拒絶している
「いや……イヤッ………んーーー!んーーー!」
私はカイリ殿下にしがみつきながら、自分の中からあふれる感情と戦って、ちょっとしたパニックを起こしている
殿下は、その声を聞いて、体を離そうとするけど、私が力強くしがみついて離れないので、何かがおかしいと悟ったらしい
「大丈夫だ。少し落ち着け」
「私の目を見れるか?」
そう言って、私の目線を誘導した
口にギュッと力が入って、呼吸がまだ整わないまま、私は言われた通りカイリ殿下の目を見つめた
綺麗な赤い瞳は、私の心の奥底を見つめるように、真っ直ぐに私を見ている
私は力を抜けずに、爪が食い込む程に手を握ったまま歯を噛み締めていた
「少し力を抜けるか?」
私は自分の体をコントロールできることが出来なくて、フルフルと顔を横に振った
「仕方がない……」
と言って私の首筋をなぞる
殿下の暖かい手の温もりが、私の冷たい体を溶かしていく
見つめている先のカイリ殿下の表情は、優しくて、私の目の前にはカイリ殿下が居るという安心感に包まれる
殿下は私の顎を片手でうわむきに固定すると、ぎゅっと結んだ唇を親指で優しくなぞる
私は少しずつ呼吸ができるようになり
見つめている赤い瞳が徐々に近ずいてくると、私は自然と目を閉じた
チュッ チュッと軽く触れるだけのキスをすると、少し口を離し、また唇を重ねる
少しづつ私の体の強ばりが溶けていく
カイリ殿下は私に甘やかな口ずけを送りながら、私の手を取り、ギュッと握った手を開かせようと手首から指を滑らせた
殿下の指にからめとられるように、私は指を開く
指と指が規則正しく絡み合う
そのまま軽く手を握ると、触れている肌からカイリ殿下の暖かい体温を感じる
殿下の腕に包まれて、強ばっていた体が次第に解けていく
「ハァ………………ぁ………ん……」
ギュッと結ばれていた唇がほどけると、少しづつ口付けは深くなる
そのまま舌先から送られてくる甘美な魔力に脳が溶ける
今まで全身をおおっていた嫌悪感の塊がカイリ殿下の甘やかな魔力に変わっていく
「ぁ………ぅ……んっ…………」
もっと欲しい………
この甘さに包まれたい
自分の中のよく分からない不快感から逃げるように、カイリ殿下の魔力を求める
私の体の強ばりが溶けたのを見て、カイリ殿下は唇を離した
「……ん……っ……もっ……と……」
私は殿下の甘やかな魔力をねだった
殿下は少し驚いた表情を見せたけど、そのまま優しく微笑むと、
「そうか」
っと言って、また優しく私に口付けた
キスで送られる魔力にトロトロになりながら、私は再び眠りについた
心を開いてはいけない
息を殺してじっと耐える
それしか出来ない
それしか……
嫌だ
苦しい……
いや………
くるし……い
助け…
『おい!大丈夫か?』
はっ!!
私を揺すりながらカイリ殿下が私の名前を呼ぶ
『みさき!!??』
目を開くと、カイリ殿下は心配そうな眼差しで、私をじっと見つめている
パクパクと口を動かすけど、声が出ない
なんなら呼吸も上手く出来ない
「………ハッ………ッ………」
どうしよう……苦しい、けど、声が出ない……
カイリ殿下は私を起き上がらせてくれる
自身はベッドの背にもたれ、私はなされるがままに、殿下の肩に頭を預けた
「大丈夫だ」
殿下は私の背中に手を回し、頭を優しく撫でる
強ばった体から力が抜けない
ぎゅっと握りしめた手を開くことが出来ない
何故か全身にぎゅっと力が入って、何かを拒むように体は強ばる
目を閉じると、ヌルッとした不快な感触が襲ってくる
嫌だ、いやだ、イヤ…ダ
何かを拒絶する感情が身体中に広がる
殿下の肩に顔をもたれたまま、首を左右にイヤイヤと降った
自分でも何が嫌なのか、何を拒絶しているのかわからない
感情のコントロールがきかなくて怖い
何かを私の体は拒絶している
「いや……イヤッ………んーーー!んーーー!」
私はカイリ殿下にしがみつきながら、自分の中からあふれる感情と戦って、ちょっとしたパニックを起こしている
殿下は、その声を聞いて、体を離そうとするけど、私が力強くしがみついて離れないので、何かがおかしいと悟ったらしい
「大丈夫だ。少し落ち着け」
「私の目を見れるか?」
そう言って、私の目線を誘導した
口にギュッと力が入って、呼吸がまだ整わないまま、私は言われた通りカイリ殿下の目を見つめた
綺麗な赤い瞳は、私の心の奥底を見つめるように、真っ直ぐに私を見ている
私は力を抜けずに、爪が食い込む程に手を握ったまま歯を噛み締めていた
「少し力を抜けるか?」
私は自分の体をコントロールできることが出来なくて、フルフルと顔を横に振った
「仕方がない……」
と言って私の首筋をなぞる
殿下の暖かい手の温もりが、私の冷たい体を溶かしていく
見つめている先のカイリ殿下の表情は、優しくて、私の目の前にはカイリ殿下が居るという安心感に包まれる
殿下は私の顎を片手でうわむきに固定すると、ぎゅっと結んだ唇を親指で優しくなぞる
私は少しずつ呼吸ができるようになり
見つめている赤い瞳が徐々に近ずいてくると、私は自然と目を閉じた
チュッ チュッと軽く触れるだけのキスをすると、少し口を離し、また唇を重ねる
少しづつ私の体の強ばりが溶けていく
カイリ殿下は私に甘やかな口ずけを送りながら、私の手を取り、ギュッと握った手を開かせようと手首から指を滑らせた
殿下の指にからめとられるように、私は指を開く
指と指が規則正しく絡み合う
そのまま軽く手を握ると、触れている肌からカイリ殿下の暖かい体温を感じる
殿下の腕に包まれて、強ばっていた体が次第に解けていく
「ハァ………………ぁ………ん……」
ギュッと結ばれていた唇がほどけると、少しづつ口付けは深くなる
そのまま舌先から送られてくる甘美な魔力に脳が溶ける
今まで全身をおおっていた嫌悪感の塊がカイリ殿下の甘やかな魔力に変わっていく
「ぁ………ぅ……んっ…………」
もっと欲しい………
この甘さに包まれたい
自分の中のよく分からない不快感から逃げるように、カイリ殿下の魔力を求める
私の体の強ばりが溶けたのを見て、カイリ殿下は唇を離した
「……ん……っ……もっ……と……」
私は殿下の甘やかな魔力をねだった
殿下は少し驚いた表情を見せたけど、そのまま優しく微笑むと、
「そうか」
っと言って、また優しく私に口付けた
キスで送られる魔力にトロトロになりながら、私は再び眠りについた
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