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48.女子会と恋バナはセットです
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目の前にはアフタヌーンティースタンドに飾られた可愛い焼き菓子が用意され、ティーカップには薔薇の香りが漂うハーブティーが注がれる
そして、アルバさんがトークの舵をとった
「みさきさん?あれからカイリ君とは仲良くなったかしら?」
「えっ!!?」
「あらあら。その感じだとまだまだって感じかしら?」
メリナさんが私の表情から全てを悟ったかのように話を転がす
この2人のトークの阿吽の呼吸感半端ない
「トキ君にはお会いして?」
「あ。はい。昨日会いました」
「トキ君もとてもお優しい方よ。怖がらないであげてね?」
なんかそれ、カイリ殿下の時も聞いたような……
「私達はね、みさきさんとお友達になりたくてこのお茶会にご招待したのよ?」
「カイリ君が心配していたわ。ずっとお家から出ないで誰とも触れ合うことがないって」
(お友達……。そう言えば、私には友達と呼べる人がいない。元の世界でも、友達はいなかったなぁ……)
「私達にはなんでも相談して欲しいわ」
「この後宮には身分の上下なんてないのよ?ね?ラディアちゃん」
「はい。この後宮ではカイリ殿下とトキ殿下がルールです。国の法律やルールはこの後宮では重要視されません。私も普段でしたらこのテーブルに着くことは許されませんが、今はこうして皆様と席を並べさせて頂いております」
そういえば、引きこも…いやいや、自主的に幽閉されてるトキ殿下は1歩も牢から出ない。みたいな様子だったけど、ここには来るのかな?
「トキ殿下っていらっしゃるんですか?」
私はみんなに聞いてみた
「ええ。いらっしゃるわよ。カイリ君と一緒に」
「トキ様には薔薇の品種改良のアドバイスを頂いていたりしますわ」
品種改良にも詳しいって、まじでトキ殿下何者なの?
私にはまだまだ知らないことがいっぱいだ……
「はぁ………私、なんだか悔しいわ」
アルバさんが片手を頬に当てて、悩ましげに私を見つめながら話す
「カイリ君とトキ君にみさきさんを二人じめされるのが」
(ん?)
「そうね。私達もまだ仲良くなってないのに、二人のものになってしまったら、全然お会い出来ないかもしれないわ」
(んん??)
「わたくしも、もっとみさき様とお近付きになりたいですわ!!」
「んんん???」
どーゆーこと?
「あらあら。もしかしてカイリ君、まだプロポーズのひとつもしていないってこと?」
「トキ君は会ったばかりだから仕方がないけど……」
「ぷ?ぷろぽーずぅぅ???」
誰に?
「あれ?違ったの?カイリくんからは毎日会いに行ってるって聞いたから、私てっきり二人の婚約者なのかと……」
「いえいえいえいえ!!!そんなことないですって!!!!」
私は全力で否定した
そもそも後宮に住んでらっしゃる皆様の方がご婚約される身なのでは……?あれ。違うのかな?確かに前聞いた感じだと、なんか様子が違った気もする……
「ねぇ。みさきさん。カイリくんのことはどう思われてるの?好き?嫌い?」
「そうね。まず、みさきさんの気持ちが大切だわ」
そう言って、4人は私を見つめる
「キライ……では……ないです……」
顔が熱い!言葉にするって怖い!!
モジモジと顔を赤らめていると
「ウフフ……。カイリくんがなかなか手を出せないのもわかる気がするわ」
「そうね。フフフフ……。こんなに可愛らしい反応されたら、大切にしちゃうわよね」
2人はニコニコしながら扇を口元に当てて、私を見つめている
すると、ライラさんが
「もしかして、みさき様は人にお甘えになるのが苦手でいらっしゃるのでしょうか?」
という、なんとも図星かつ、議題にあげて欲しくない話題をふった
「……………。」
私は答えにつまる
「まぁ!そうなのね。幼い頃に苦労なさったのかしら?我慢は良くないわ。遠慮なく言ってと言っても無理かもしれないけれど、私たちには甘えていいのよ?」
「そうだわ。トキ君に甘え方を教わるといいわ。彼は甘えさせるのがお上手よ」
すると、ライラさんが目を輝かせて言った
「そうですわね!!トキ様のおかげでルイ様とルカ様も、随分と甘え上手になったとカイリ様も仰っていましたわ!!」
なんかそれは、ライラさんの意訳が多分にふくまれているかと……でも……
「ルイ君とルカ君って、前からあんな感じじゃなかったんですか?」
カイリ殿下にあんなにデレデレなのに、元は違ったのかな?
「ええ。2人とも幼い頃はお持ちの魔力のせいなのか、誰にも頼れず、お二人の世界で生きていたそうよ」
(へぇ~ルゥ君達もなんか色々あったのかなぁ。でも、まじで意外だ)
「トキ君ならみさきさんも、きっと甘え上手にしてくれるわよ」
「そうね。あ。でも、カイリ君は案外ヤキモチ焼きさんだから、きちんとカイリ君にも甘えられるようにならなくてはダメよ?」
「みさき様!!!わたくし、今、インスピレーションが降りてきましたの!書けそうですわ!新作の小説がっ!!!!」
アルバさんとメリナさんはトキ殿下に甘え御指南プランを説き進め、ライラさんは、次なる小説のストーリーがひらめき、ラディアさんは、その様子をとても穏やかに眺めている
平和だな……
「そうだわ。みさき様、お送り致しました薔薇の様子はいかがですか?」
そういえば、お礼を言うのを忘れていた
「あ!ありがとうございました!お茶も美味しかったです!」
「お花なんですが……蕾をつけているんですが、咲く気配がないんです……」
なにか特殊な育て方があるのかなぁ
毎日話しかけるとか?
もしあるとしたら聞いておきたい
「そうなのですね……。あの薔薇は魔力に反応して咲きますの。お水をあげるようにみさき様の魔力を注ぐと、その魔力に反応して花を咲かせますわ。」
「魔力の性質によって、花の色が変わりますのよ。お楽しみいただけると思ったのですが……。」
なんだか申し訳ない……
私、魔力が使えませんの……
シクシク……
「すみません。私魔力が使えなくて……。」
「あら。そうでいらしたの?でも、使えなくても、お花に話しかけるだけでも、その言霊にも魔力は宿りますわ。魔力は心で作られるものですもの。お花に心を傾けてくださいまし」
やっぱり話しかける系なんです?
おはよう。今日もキレイね。みたいに話しかける系なんです?
「みさき様のおそばに置いてくだされば、きっと美しい花を咲かせますわ」
「わかりました……」
今日から毎日、お花に話しかけるというノルマが課せられた
このお庭のお花のように綺麗に咲いてくれるのかな
「お庭のお花を見てきてもいいですか?」
私はお庭の見学を願い出た
「ええ。ご自由にご覧になって」
「ここのお花はライラちゃんが研究なさっているお花が沢山咲いているのよ」
メリナさんとアルバさんは、扇を置いて優雅にティーカップを手に取った
私はお庭を見学させてもらうことにした
そして、アルバさんがトークの舵をとった
「みさきさん?あれからカイリ君とは仲良くなったかしら?」
「えっ!!?」
「あらあら。その感じだとまだまだって感じかしら?」
メリナさんが私の表情から全てを悟ったかのように話を転がす
この2人のトークの阿吽の呼吸感半端ない
「トキ君にはお会いして?」
「あ。はい。昨日会いました」
「トキ君もとてもお優しい方よ。怖がらないであげてね?」
なんかそれ、カイリ殿下の時も聞いたような……
「私達はね、みさきさんとお友達になりたくてこのお茶会にご招待したのよ?」
「カイリ君が心配していたわ。ずっとお家から出ないで誰とも触れ合うことがないって」
(お友達……。そう言えば、私には友達と呼べる人がいない。元の世界でも、友達はいなかったなぁ……)
「私達にはなんでも相談して欲しいわ」
「この後宮には身分の上下なんてないのよ?ね?ラディアちゃん」
「はい。この後宮ではカイリ殿下とトキ殿下がルールです。国の法律やルールはこの後宮では重要視されません。私も普段でしたらこのテーブルに着くことは許されませんが、今はこうして皆様と席を並べさせて頂いております」
そういえば、引きこも…いやいや、自主的に幽閉されてるトキ殿下は1歩も牢から出ない。みたいな様子だったけど、ここには来るのかな?
「トキ殿下っていらっしゃるんですか?」
私はみんなに聞いてみた
「ええ。いらっしゃるわよ。カイリ君と一緒に」
「トキ様には薔薇の品種改良のアドバイスを頂いていたりしますわ」
品種改良にも詳しいって、まじでトキ殿下何者なの?
私にはまだまだ知らないことがいっぱいだ……
「はぁ………私、なんだか悔しいわ」
アルバさんが片手を頬に当てて、悩ましげに私を見つめながら話す
「カイリ君とトキ君にみさきさんを二人じめされるのが」
(ん?)
「そうね。私達もまだ仲良くなってないのに、二人のものになってしまったら、全然お会い出来ないかもしれないわ」
(んん??)
「わたくしも、もっとみさき様とお近付きになりたいですわ!!」
「んんん???」
どーゆーこと?
「あらあら。もしかしてカイリ君、まだプロポーズのひとつもしていないってこと?」
「トキ君は会ったばかりだから仕方がないけど……」
「ぷ?ぷろぽーずぅぅ???」
誰に?
「あれ?違ったの?カイリくんからは毎日会いに行ってるって聞いたから、私てっきり二人の婚約者なのかと……」
「いえいえいえいえ!!!そんなことないですって!!!!」
私は全力で否定した
そもそも後宮に住んでらっしゃる皆様の方がご婚約される身なのでは……?あれ。違うのかな?確かに前聞いた感じだと、なんか様子が違った気もする……
「ねぇ。みさきさん。カイリくんのことはどう思われてるの?好き?嫌い?」
「そうね。まず、みさきさんの気持ちが大切だわ」
そう言って、4人は私を見つめる
「キライ……では……ないです……」
顔が熱い!言葉にするって怖い!!
モジモジと顔を赤らめていると
「ウフフ……。カイリくんがなかなか手を出せないのもわかる気がするわ」
「そうね。フフフフ……。こんなに可愛らしい反応されたら、大切にしちゃうわよね」
2人はニコニコしながら扇を口元に当てて、私を見つめている
すると、ライラさんが
「もしかして、みさき様は人にお甘えになるのが苦手でいらっしゃるのでしょうか?」
という、なんとも図星かつ、議題にあげて欲しくない話題をふった
「……………。」
私は答えにつまる
「まぁ!そうなのね。幼い頃に苦労なさったのかしら?我慢は良くないわ。遠慮なく言ってと言っても無理かもしれないけれど、私たちには甘えていいのよ?」
「そうだわ。トキ君に甘え方を教わるといいわ。彼は甘えさせるのがお上手よ」
すると、ライラさんが目を輝かせて言った
「そうですわね!!トキ様のおかげでルイ様とルカ様も、随分と甘え上手になったとカイリ様も仰っていましたわ!!」
なんかそれは、ライラさんの意訳が多分にふくまれているかと……でも……
「ルイ君とルカ君って、前からあんな感じじゃなかったんですか?」
カイリ殿下にあんなにデレデレなのに、元は違ったのかな?
「ええ。2人とも幼い頃はお持ちの魔力のせいなのか、誰にも頼れず、お二人の世界で生きていたそうよ」
(へぇ~ルゥ君達もなんか色々あったのかなぁ。でも、まじで意外だ)
「トキ君ならみさきさんも、きっと甘え上手にしてくれるわよ」
「そうね。あ。でも、カイリ君は案外ヤキモチ焼きさんだから、きちんとカイリ君にも甘えられるようにならなくてはダメよ?」
「みさき様!!!わたくし、今、インスピレーションが降りてきましたの!書けそうですわ!新作の小説がっ!!!!」
アルバさんとメリナさんはトキ殿下に甘え御指南プランを説き進め、ライラさんは、次なる小説のストーリーがひらめき、ラディアさんは、その様子をとても穏やかに眺めている
平和だな……
「そうだわ。みさき様、お送り致しました薔薇の様子はいかがですか?」
そういえば、お礼を言うのを忘れていた
「あ!ありがとうございました!お茶も美味しかったです!」
「お花なんですが……蕾をつけているんですが、咲く気配がないんです……」
なにか特殊な育て方があるのかなぁ
毎日話しかけるとか?
もしあるとしたら聞いておきたい
「そうなのですね……。あの薔薇は魔力に反応して咲きますの。お水をあげるようにみさき様の魔力を注ぐと、その魔力に反応して花を咲かせますわ。」
「魔力の性質によって、花の色が変わりますのよ。お楽しみいただけると思ったのですが……。」
なんだか申し訳ない……
私、魔力が使えませんの……
シクシク……
「すみません。私魔力が使えなくて……。」
「あら。そうでいらしたの?でも、使えなくても、お花に話しかけるだけでも、その言霊にも魔力は宿りますわ。魔力は心で作られるものですもの。お花に心を傾けてくださいまし」
やっぱり話しかける系なんです?
おはよう。今日もキレイね。みたいに話しかける系なんです?
「みさき様のおそばに置いてくだされば、きっと美しい花を咲かせますわ」
「わかりました……」
今日から毎日、お花に話しかけるというノルマが課せられた
このお庭のお花のように綺麗に咲いてくれるのかな
「お庭のお花を見てきてもいいですか?」
私はお庭の見学を願い出た
「ええ。ご自由にご覧になって」
「ここのお花はライラちゃんが研究なさっているお花が沢山咲いているのよ」
メリナさんとアルバさんは、扇を置いて優雅にティーカップを手に取った
私はお庭を見学させてもらうことにした
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