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40.美味しいお茶

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通された客室には、ルイ君とルカ君が既に座っていて、向かい側の長椅子のソファーにカイリ殿下とトキ殿下が並んで座った
私はその間のお誕生日席のソファーに1人で座り、フェンさんは扉の前で控えて立っていた

すると、コンコンっと扉をノックする音が響き
「失礼致します」
と言って、白髪の青年がティーセットのワゴンを押しながら入ってきた
「本日はいかが致しますか?」
と、トキ殿下に聞くと

「いつも通りで構わないよ。あぁ、でも……」
と、言いかけてカイリ殿下の方をちらっと見る

「おさぼりさんがいるからね~~」
と言いながら、カイリ殿下の顎を人差し指でヒョイっとひっかけた

すると、
「やめろ……トキ……」
と、力なく抵抗できずにトキ殿下になされるがままになっているカイリ殿下の姿があった

「僕言ったよね?食事をサボるなって」
「別に……支障はない」

「うん。確かに魔力が充実していれば食事はおざなりでも別に生活はできるね?でも、食事は五感を鍛える。五感が衰えれば色んなものの対処が出来なくなる。だから君は今こうやって、僕に抗うことができない。違うかい?」

「……………。たった3日だろ……」

「はぁ……君にとってはたった3日という年月なんだね?僕にとっては、3年くらい離れていた気持ちだというのに……」


ん?幽閉って聞いたから全然会えない的な感じだと思ってたんだけど……懐かしの再会!みたいな空気だったじゃん!さっき!!

気になった私は二人の会話に割り込んで聞いてみた
「あの……お二人は頻繁にお会いしているんですか?」

すると、トキ殿下が
「ん?毎朝朝食をここで二人でとっているからね。ただ、ここ3日ほど忙しくてカイリが来なかったって感じかな?」
と、答えてくれた

……ルゥ君達が2人で1人みたいな感じだったのが、特殊な訳じゃなかったのか……
ってか、幽閉ってますますどういうこと?

「ルイとルカは一卵性だから、元は1つだったものが2つに別れたような存在だ。だから、2人で1人。半身とは離れられない。」
「だが、私たちは二卵性だからな。2つの魔力を足して2で割ったようなもので、二人で補完し合える魔力を持っているから、ルゥ達とは違って個々でも平気なものだ」

と、カイリ殿下が説明してくれた


「でも僕はカイリが居ないと、どこにも行けないけどね?」
「それはお前が勝手にそうしてるだけだろ。引きこもってないで、とっとと表に出て来い……」

2人が息のあった小競り合いをしている隙に、ティーカップがそれぞれの目の前に並べられていた
ティーカップはそれぞれ異なる柄を示しているけど、どれも金彩があしらわれていて美しい

白髪の青年は、お菓子の入ったバスケットをテーブルに置くと、ルイ君のカップに紅茶を注いだ

お砂糖がたっぷり入ったミルクティーの良い香りが漂う

続いて、ルカ君のティーカップにも紅茶を注ぐ。二人はお砂糖とミルクを入れる素振りもなしに、ミルクティーを口にしている

あのポットには既にミルクとお砂糖で味を整えられたミルクティーが準備されているのかな?

「やっぱり、ロイの入れるお茶最高だね!!兄上達は毎日ロイのお茶を二人じめしてるのずるいよ。」
「ロイは、毎日僕たちのところにお茶を入れに来てくれる気は無いの?」

「それは、難しゅうございます」

二人が絶賛する、このロイさんと言う人の入れたミルクティーはどんだけ美味しいの??

すると、次に私のティーカップにもお茶を注いでくれる

あれ?

私のティーカップには、ラベンダーの香りが漂うハーブティーが注がれていた

少し困惑した私の姿を見て、
「ロイはね、不思議な魔法を使えるんだ!その人にピッタリのお茶を入れてくれるんだよ!だから絶対みさきも気に入るはず!」
と、ルイくんが、教えてくれた

ティーカップを手に取り、ちらっとロイさんの方を見ると
「お口に合いますでしょうか?」
と問いかけてくる

私は一口ハーブティーを口に含むと、その癒しの香りが口だけでなく全身に広がった

(すごい!!こんな美味しいお茶入れられる人いるんだ!!)

「あの。すごく美味しいです!」

食レポが出来ない私は、素直な感想を告げた

「お褒めに預かり光栄です」

ロイさんは、ニコリと微笑んでトキ殿下の元へ向い、カイリ殿下とトキ殿下のティーカップにお茶を注ぐ
「何かございましたらお呼びください 」

そう言ってロイさんは退出した

トキ殿下はカイリ殿下の前に注がれたティーカップを手に取ると

「さぁ、カイリ。せっかくロイが君のために入れてくれた薬膳茶だ。きちんと飲まなければいけないよ?」
と言って、カイリ殿下の手にティーカップを持たせた

「余計なことを……」

「まだ力が入らないだろ?大人しく飲まないとずっとそのままだけど~~」

「はぁ…………。」
カイリ殿下は、大人しく与えられたお茶を飲み干した

トキ殿下はそれを見届けると、自分の前に注がれた紅茶を1口飲み、体の自由を取り戻したカイリ殿下を手放して、私に向き直った
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