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16.贈り物

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次の日、エリちゃんが何やらきらびやかな箱を持って現れた

「みさき様。こちらを……」

そう言ってその箱を私に手渡した

こんな立派な箱に何が?

そう思って箱を開けると、中にはペンダントが入っていた
華奢な金細工に、深みのある赤い宝石があしらわれている。

(……キレイ……)

うっとり見惚れてしまう美しいペンダントだった

「カイリ殿下からみさき様への贈り物でございます」
「みさき様がお召になれるように、お造りになられたそうです。今晩いらっしゃるとご連絡を承ってございます」


どうしよう……
頂いたのだから、普通は身につけて、ありがとうございます的なことを言うものなのだろうけど……こんな高価なものいただけない……
しかも、鉱石があしらわれたものは、どんな影響があるか分からないのて、身につけられない……

モンモンと考えているうちに、日は暮れた


-------

カイリ殿下はいつものように訪れた

私は頂いたペンダントの入った箱を手に持って、カイリ殿下を迎えた

「あの……このような高価なもの頂けません……」
贈り物を突き返すなんて、なんて失礼な!!となるのを覚悟で、箱を殿下に向けて差し出す

「あぁ。出来上がったので届けさせた。早い方が良いと思ってな」

いえいえ。だから。いただけないって言ってるんですが……

カイリ殿下は箱を手に取ると、中を確かめ、ペンダントを手に取った

「気に入らないか?」
「いいえ!!決してそうではなくて!!」

「この宝石は、私の魔力で作った宝石を埋め込んである特別なものだ。『護り』も付与してある。魔法具に似た類のものだと思ってくれれば良い」

「なので、これは……」

そう言いいかけると、ペンダントの金具を外しながら私の後ろに周り、私の胸元にペンダントを回して後ろでカチッと金具を留めた

私の髪を整え、そのまま肩をギュッと抱きしめ、耳元で囁いた

「みさきに常に身につけていて欲しい」

どうしよう。感情が溢れてくる。嬉しいのか、恥ずかしいのか、なんなのか……胸が苦しい。ドキドキは止まらないし、耳元はくすぐったい

そして、バックハグでホールドされて、逃げられない。顔は真っ赤なこと間違いない

私はポロポロと涙を流した

なんで涙が出ているのか自分でも分からない
止めたくても止まらない

その様子を見てカイリ殿下は少し驚き、ホールドを解き、気まずそうに私の頭に手を置いて優しく撫でた

「すまない。泣かせるつもりはなかったんだ…。」

「いいえ。すみません……止まらなくて……」

「気にするな。」

そう言って
私が落ち着くまで待ってくれた
ソファーに横並びに座って、殿下が口を開く

「ピアスの方が良かったか?」
「いいえ。そんな!!」

「なら良かった……」
「好みが分からなくてな。なるべく肌に触れている方が好ましいのでこちらにした。浄化の手助けとなるだろう」

「あの……ありがとう…ございます。私のためにわざわざ…」

「これで私に毎日会わずとも大丈夫だ。強い魔力は無理だろうが、街中のいざこざくらいの想念なら影響を受けなくて済むだろうし、少し自由に生活できるだろう」

「え?もう、会えないんですか?」
「ん?毎日会いたいか?」

「あっ!いや!!そういう意味じゃなくて……!!!」


「みさき……。後宮に来る気は無いか?」
「はい??」

「あそこは穏やかで空気が良い。皆も歓迎すると思うのだが……」

え?なんかいきなり話が飛んできたんですが?
後宮って、後宮でしょ?なんで私がそこに?

「後宮は朝廷の管轄に無い。誰も口出す者もいないし、私が自由に法を決められる。」

「そ……そうなんですねぇ~」

「まぁ、そのうち案内しよう。」

え?行くこと決定なんです?

「あ。あと、フェンが色々と気にしていてな。あいつはここの結界に阻まれて入れないからな……。その時にでも会ってやってくれないか」

あの方苦手なんですよねぇ……

カイリ殿下が席を立つ。お帰りの合図だ
私も席を立ち、お見送りの姿勢をとる

「そのペンダントは身につけておけ。私の魔力が君を守ろう」
髪に軽くキスを落とすと、殿下は去っていった
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