10 / 137
10.クリスタルと私
しおりを挟む
礼拝堂に入ると、窓から月の光が差し込み、クリスタルが妖艶に輝いている
「美しいな…」
その輝きを見てカイリ殿下は呟いた
「殿下…」
ユミさんが声をかける
「少しお時間をよろしいでしょうか?」
「構わないが?」
「殿下はクリスタルとマリア様について、どの程度ご存知でしょうか?」
「マリアについては邸内では秘匿とされている。関わるべきでは無いとも伝え聞いているが、私はそうは思わない。私は長い間国を離れていたこともあって、噂話にも疎い。何かあるようなら教えてくれると助かる。」
「でしたら…」
ユミさんは私をちらりと見、
「クリスタルは主要6都市の教会に1つずつ配置され、全てはマリア様と繋がっております。クリスタルでの浄化は、実際のところクリスタルによって吸い上げられた穢れがマリア様の元に集まってくるようなイメージです。」
「先代のマリア様は、水を通じてこの国を浄化なさっておりました。運河や湖、神殿や教会など、全て水を通じてマリア様の魔力で浄化なさっていましたので問題なかったのですが…」
「当代のマリア様である、みさき様はご自身で浄化を行うことができません。このように星の光の力も借りてはおりますが、この国のものとは異なる特殊な魔力をお持ちなので、ご自身でお使いになることが難しいようで…」
(…すいません。ポンコツマリアで…)
「では、どうやって自身の浄化を?穢れたままの魔力は心身を蝕む。数年前の争いのようなことになれば…」
カイリ殿下は、そう言って苦い顔をした。
「ですので、みさき様は満月の夜に先代のマリアである、あおい様の魔力で作られた特殊な泉を使って浄化をされているのですが、昨晩、その水が消えたようで…」
「あの森はそのような場所だったのか……」
「ここからは私の憶測ではございますが、おそらく、もうあの泉を使わなくても良いというあおい様のお示しかと存じます。」
「それはどういうことだ?」
「陛下がみさき様の運命の方だと存じます。」
「…………。」
(!!!!!!?)
一同絶句
いやいや。話急展開すぎませんか?一国の王となるお方ですよ!?
話についていけない私とは違って、カイリ殿下は口元に指を添えて少し考え、
「なるほど」
納得したようだった
納得する要素あります?
こんなちんちくりんで右も左も分からないような女が運命の人ですとか言われて納得できます!?
「みさき様の体調が優れないのも、浄化不足が原因かと…」
それは、その通りなんですが…
「わかった」
何がわかったんですか!?カイリ殿下!!?
すると、私の目の前まで歩いてくる
私は怖気ずいて1歩後ろに足を引いた
「……はぁ…。何もしないから少し目を閉じていろ」
ため息混じりに告げられた言葉に大人しく従った
目を閉じると、暖かい何かに包まれたように感じた。
(…癒される…)
体の中のこもった熱はすっと引き、スッキリして目を開けた
「どうだ?」
「体が楽になりました。」
私は素直に感想を述べた
「応急処置に過ぎないからな…明日また様子を見に来ても良いか?」
これは、明日も会わなくてはならない流れなんですかね?王太子殿下ともあろうお方にそんな連日……緊張で私のメンタルの方が持たない
でも、断る勇気なんてない
「はい…」
小さく答え、礼拝堂から帰る殿下の後ろ姿を見送った
「美しいな…」
その輝きを見てカイリ殿下は呟いた
「殿下…」
ユミさんが声をかける
「少しお時間をよろしいでしょうか?」
「構わないが?」
「殿下はクリスタルとマリア様について、どの程度ご存知でしょうか?」
「マリアについては邸内では秘匿とされている。関わるべきでは無いとも伝え聞いているが、私はそうは思わない。私は長い間国を離れていたこともあって、噂話にも疎い。何かあるようなら教えてくれると助かる。」
「でしたら…」
ユミさんは私をちらりと見、
「クリスタルは主要6都市の教会に1つずつ配置され、全てはマリア様と繋がっております。クリスタルでの浄化は、実際のところクリスタルによって吸い上げられた穢れがマリア様の元に集まってくるようなイメージです。」
「先代のマリア様は、水を通じてこの国を浄化なさっておりました。運河や湖、神殿や教会など、全て水を通じてマリア様の魔力で浄化なさっていましたので問題なかったのですが…」
「当代のマリア様である、みさき様はご自身で浄化を行うことができません。このように星の光の力も借りてはおりますが、この国のものとは異なる特殊な魔力をお持ちなので、ご自身でお使いになることが難しいようで…」
(…すいません。ポンコツマリアで…)
「では、どうやって自身の浄化を?穢れたままの魔力は心身を蝕む。数年前の争いのようなことになれば…」
カイリ殿下は、そう言って苦い顔をした。
「ですので、みさき様は満月の夜に先代のマリアである、あおい様の魔力で作られた特殊な泉を使って浄化をされているのですが、昨晩、その水が消えたようで…」
「あの森はそのような場所だったのか……」
「ここからは私の憶測ではございますが、おそらく、もうあの泉を使わなくても良いというあおい様のお示しかと存じます。」
「それはどういうことだ?」
「陛下がみさき様の運命の方だと存じます。」
「…………。」
(!!!!!!?)
一同絶句
いやいや。話急展開すぎませんか?一国の王となるお方ですよ!?
話についていけない私とは違って、カイリ殿下は口元に指を添えて少し考え、
「なるほど」
納得したようだった
納得する要素あります?
こんなちんちくりんで右も左も分からないような女が運命の人ですとか言われて納得できます!?
「みさき様の体調が優れないのも、浄化不足が原因かと…」
それは、その通りなんですが…
「わかった」
何がわかったんですか!?カイリ殿下!!?
すると、私の目の前まで歩いてくる
私は怖気ずいて1歩後ろに足を引いた
「……はぁ…。何もしないから少し目を閉じていろ」
ため息混じりに告げられた言葉に大人しく従った
目を閉じると、暖かい何かに包まれたように感じた。
(…癒される…)
体の中のこもった熱はすっと引き、スッキリして目を開けた
「どうだ?」
「体が楽になりました。」
私は素直に感想を述べた
「応急処置に過ぎないからな…明日また様子を見に来ても良いか?」
これは、明日も会わなくてはならない流れなんですかね?王太子殿下ともあろうお方にそんな連日……緊張で私のメンタルの方が持たない
でも、断る勇気なんてない
「はい…」
小さく答え、礼拝堂から帰る殿下の後ろ姿を見送った
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星井柚乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
【完結】薔薇の花をあなたに贈ります
彩華(あやはな)
恋愛
レティシアは階段から落ちた。
目を覚ますと、何かがおかしかった。それは婚約者である殿下を覚えていなかったのだ。
ロベルトは、レティシアとの婚約解消になり、聖女ミランダとの婚約することになる。
たが、それに違和感を抱くようになる。
ロベルト殿下視点がおもになります。
前作を多少引きずってはいますが、今回は暗くはないです!!
11話完結です。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。
辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる