見上げた青に永遠を誓う~王子様はその瞳に甘く残酷な秘密を宿す~

結城ひなた

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見上げた青に永遠を誓って

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山登り中盤。急勾配の坂に差し掛かる直前、雨が止み太陽の光が差し込み始めた。

と、後方に感じた気配にとっさに後ろを振り向く。

「待たせたな」

そこには見慣れた顔があった。

「唐沢なら必ず戻ってくるって信じてた」

唐沢の背中をポンッと叩いた。ギリギリで唐沢は俺たちのもとへと戻ってきて、チームのみんなに笑顔が戻る。

「あの状況で落車しなかった俺の反射神経をもっと褒めてほしいくらいなんだけど。しかもちゃんと後ろの集団をちぎって、ここに追いついた俺って天才だと思わない?」

「ああ。さすがだよ」

「珍しく素直に褒めてくれるじゃん。雪でも降ってきそうだね」

唐沢がケラケラと笑いながら空を見上げる。

きっとここまで追いつくのに相当無理をしたに違いない。それでも、そんな疲れを一切見せずに俺の前で唐沢がおどけてみせる。

オーバーペースでここまでやってきた唐沢にすぐに前に出て牽いてくれとは言えない。本当は一刻も早く唐沢に牽いてもらって、先頭との距離を詰めておきたいところだが……。

「もちろん、ここからの主役は俺だよね」

次の瞬間、唐沢が一番前に出てチームを牽きだしたことに驚き、目を見開いた。

「この登り、俺以外に牽けるやつはいないでしょう?」

「でも、おまえ合流したばかりで身体が……」

「俺さ、山岳賞を諦めていないんだよね。あのジャージ着てみたいじゃん? ていうか、いつもみたいな鬼オーダーはどうしたのさ。まさか俺に気を遣っているとか言わないよね?」

クッと口角を上げて唐沢が笑う。

俺の相棒は自分の役割を痛いくらいに理解している。自然と胸が熱くなり視界がじんわりと滲んだ。

「ここで無理してでもいかなきゃ絶対に後悔するに決まってる。これが俺たちにとって高校最後のレースなんだぞ。てっぺん取りにきたんだろうが」

真剣なまなざしが俺を捉えて放さない。

これ以上先頭集団に離されたら俺たちの勝利はないとここにいるみんなが分かっている。

だから唐沢は無理してでも前に出たんだ。
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