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見上げた青に永遠を誓って
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【亜美side】
倉長くんたちの勇姿を見守りたくて、千佳と一緒に応援に駆けつけていた。
実際に自分が走るわけでもないのにとても緊張している。それと同時にワクワク感もあって朝からずっと心臓が騒々しい。
「倉長くんたち先頭集団にいるみたい」
「すごいよね。この勢いで優勝してほしい」
ラジオでレースの実況を聞きながら千佳と一緒にロープウェイに乗り、次の応援場所へと移動していた。
「次のポイントで一番前の席を陣取って倉長くんに声援を送らなきゃ。気づいてくれるかな?」
千佳と会話を交わしながら、ふと窓に目をやる。
雨脚がひどくなってきている。
雨の日のレースは滑りやすいと倉長くんが言っていた。何事もなく無事にゴールできますようにと心のなかで祈っていた。
【おっと、ここで速報が入ってきました】
それはちょうどロープウェイが目的地に着く寸前のこと。ラジオから聞こえてきた声に意識がそちらに流れた。
「速報だって」
「先頭集団でなにか動きがあったのかな?」
トクトクと心音を高鳴らせながら続報を待ってみる。
【どうやら先頭集団で落車があった模様です。ケガ人が多数出ていて、救護班が向かったとのことです】
思いもしない情報がもたらされ、両手で口元を覆いながら千佳と見つめ合う。
「落車って……倉長くんたち大丈夫かな?」
不安が滝のように押し寄せてくる。
「亜美、落ち着いて。倉長くんたちならきっと大丈夫だよ。きっと、うまくよけて今頃トップ集団で走ってるはず。信じて待とう」
千佳が私の背中を優しく摩りながら励ましてくれた。
「そうだよね。倉長くんたちなら大丈夫だよね」
自分自身に言い聞かせるように何度も首を縦に振る。
ラジオから聞こえてくる落車した選手のゼッケンには、今のところ倉長くんたちの背番号はない。中には棄権した選手もいるようで現場も混乱しているようだ。
早く状況が知りたい。
どうか落車を免れていますように。
ロープウェイを降り、急いで次の観覧場所へと向かう。前のめりになりながら先頭集団が来るのをまだかまだかと待ち続けた。
倉長くんたちの勇姿を見守りたくて、千佳と一緒に応援に駆けつけていた。
実際に自分が走るわけでもないのにとても緊張している。それと同時にワクワク感もあって朝からずっと心臓が騒々しい。
「倉長くんたち先頭集団にいるみたい」
「すごいよね。この勢いで優勝してほしい」
ラジオでレースの実況を聞きながら千佳と一緒にロープウェイに乗り、次の応援場所へと移動していた。
「次のポイントで一番前の席を陣取って倉長くんに声援を送らなきゃ。気づいてくれるかな?」
千佳と会話を交わしながら、ふと窓に目をやる。
雨脚がひどくなってきている。
雨の日のレースは滑りやすいと倉長くんが言っていた。何事もなく無事にゴールできますようにと心のなかで祈っていた。
【おっと、ここで速報が入ってきました】
それはちょうどロープウェイが目的地に着く寸前のこと。ラジオから聞こえてきた声に意識がそちらに流れた。
「速報だって」
「先頭集団でなにか動きがあったのかな?」
トクトクと心音を高鳴らせながら続報を待ってみる。
【どうやら先頭集団で落車があった模様です。ケガ人が多数出ていて、救護班が向かったとのことです】
思いもしない情報がもたらされ、両手で口元を覆いながら千佳と見つめ合う。
「落車って……倉長くんたち大丈夫かな?」
不安が滝のように押し寄せてくる。
「亜美、落ち着いて。倉長くんたちならきっと大丈夫だよ。きっと、うまくよけて今頃トップ集団で走ってるはず。信じて待とう」
千佳が私の背中を優しく摩りながら励ましてくれた。
「そうだよね。倉長くんたちなら大丈夫だよね」
自分自身に言い聞かせるように何度も首を縦に振る。
ラジオから聞こえてくる落車した選手のゼッケンには、今のところ倉長くんたちの背番号はない。中には棄権した選手もいるようで現場も混乱しているようだ。
早く状況が知りたい。
どうか落車を免れていますように。
ロープウェイを降り、急いで次の観覧場所へと向かう。前のめりになりながら先頭集団が来るのをまだかまだかと待ち続けた。
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