見上げた青に永遠を誓う~王子様はその瞳に甘く残酷な秘密を宿す~

結城ひなた

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見上げた青に惹かれて

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「うわぁ。天の川みたい」

「すごいな」

大地が揺れ空気が振動する。漆黒の空に舞い上がる煌びやかな光がキラキラと輝いては儚く消えていく。

出店を周ったり写真を撮るうちに、辺りがすっかり暗くなり花火が打ち上げられ始め、倉長くんとシートに並んで座りながら空を見上げる。

「亜美と一緒に来られてよかった」

視線が絡まり合うと、自然と笑みがこぼれ頬が上気していく。

温かい気持ちに包まれながら再び花火を見上げる。それからすぐに手に感じた温もりに心臓が跳ね上がった。

「亜美とこうしていたい。ダメ?」

慌てて隣を見た。そこには照れ臭さそうに笑い、私の手を握る倉長くんの姿がある。

「ダメじゃないよ。むしろうれしい」

倉長くんの手を握り返した。

好きな人と手を繋ぎながら見る花火。

私はきっと永遠にこの瞬間を忘れないだろう。

この上ない幸せに包まれながら、甘く美しい夏の夜に酔いしれた。

***

「最後のクライマックスのナイアガラ花火、本当に感動したね」

「だよな。水上花火も迫力あってすごかった」

カランコロンと下駄を鳴らしながら倉長くんと並んで歩く。花火を一緒に見られた嬉しさと、花火大会が終わってしまった寂しさが交わり、なんとも言えない気持ちだ。

「そういえば、来週の土曜日ってなんか予定ある?」

倉長くんの言葉にハッと我に返り、隣に目を向けた。

「とくになにもないよ」

そう答えながら頭に浮かぶのは、その日は自身の誕生日だということ。誕生日の話をしたことがないから、私の誕生日を彼は知らない。

それなのにおこがましく〝その日私の誕生日なんだ〟とは言えないので、そこに触れるのはやめておこうと静かに心に誓ってみる。

「ならその日予定を空けておいて。亜美の誕生日、一緒に過ごしたい」

屈託のない笑顔が降ってきて、目を見開きながら足を止めた。

「どうして私の誕生日を知ってるの?」

尋ねる声が思わず上擦る。

「堀田さんに聞いた」

倉長くんがドヤ顔を見せる。まさかのサプライズに私の心は一気に高揚し、ついさっきまで抱いていた負の感情が打ち消されていく。

「最高の誕生日にするから楽しみにしてて」

「ありがとう。楽しみにしてる」

こうやって倉長くんと共にひとつ、またひとつと思い出を重ねていく未来がとてつもなく嬉しい。

ずっとずっと倉長くんのそばにいたい。それが私の密かな想いだ。
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