10 / 35
嵐
しおりを挟む
「おい、ボル、遅いぞ」
ポーリンの港、カルスト号の前で甲板長のマークが言った。マークは丸坊主で潮焼けし、厚い胸板をした男だった。
「なんだ、お前、そのでこは」
「へっ」
ボルが変な声を出し、自分の額を触ると、額の真ん中が盛り上がっていた。
「あれ、何だろ」
「どうせまた酔っ払ってそこら辺で寝て、蜂に刺されたんだろ。頬の痣に、そのでこじゃあ、女が寄り付かねえぞ」
「はあ」
「まあ、いいや。それより早く甲板の掃除を手伝え。もうすぐオヤジがくるから。・・・ん、お前は誰だ」
マークが、ボルの後ろに立つサリナスに気がついた。
「嫌だな、甲板長、サムですよ。サム」
ボルが額をさすりながら言った。
「昨日、入った新人じゃないですか。いや、こいつ、わざわざ俺ん家に起こしに来てくれたんです」
「へっ、新人、昨日、・・・そんな奴」
マークが不審そうに言いかけたとき、サリナスが進み、マークの前に立った。サリナスの目は怪しい光を帯びていた。暫くすると、マークがよろけ、頭を振り、目をしばたたいた。
「・・・あ、ああ、そうだった。サムにお前の迎えを頼んだんだった。そんなことを忘れるなんて、俺も焼きが回ったもんだ」
「おい、何やってる」
三人のすぐ後ろから声がかかった。
「あっ、オヤジ、おはようございます」
マークが頭を下げた。そこには船長のバランが立っていた。バランは背が高く、がっしりした体格で、立派な顎髭を貯えた五十絡みの男だった。
「ん」
バランがサリナスに気がついた。サリナスと目が合い、暫くすると、頭を振りながら、我に帰ったように言った。
「おい、直ぐに準備しろ。さっき、お姫様が着いた。出来るだけ早く出発したいそうだ。昼には出発だ」
「おう」
バランの潮で鍛えられた大声が響くと、カルスト号は準備をする船乗り達の活気に包まれた。お昼前には、出港の準備が整った。
「お供の人はこれだけですか、騎士の方々が一緒と聞いていましたが。それに、あの方々はどういう・・・」
バランがカルスト号のタラップの前で一行を迎え、メイヤーと挨拶を交わしたあと、聞いた。
「いや、ここまで順調に来れましたので、もう必要なかろうと騎士達は帰しました。あの方々はタマルダに出入りしている商人とお供の方で、いつも大変お世話になっておりまして、今回は教皇倪下のお計らいで、一緒にリュウキス島に行くことになったのです。あ、勿論、人数は予定より少なくなりましたが、最初からお約束していた代金は払いますので、一つ、よろしく頼みます」
メイヤーが説明し、頭を下げた。バランは、勇者達を見て、何か言いたそうだったが、最後は豪快に笑い、船に向かって怒鳴った。
「おい、客人が到着だ。直ぐに出発するぞ」
バランを先頭に、一行はカルスト号に乗船した。
「うわあ、海は広いなあ。それに風が気持ちいい。潮の香りも、ううん、もう最高」
出港して暫くすると、皆で甲板の前の方に集まった。リックは初めて見る海と、初めて乗る大きな船にすっかり心を奪われ、はしゃいでいた。
「あんまりはしゃぐな、みっともない。リュウキス島の周りは荒れることが多いんだ。調子に乗ってると、痛い目を見るぞ」
勇者はリックのはしゃぎように呆れていた。
「この船は大丈夫だ」
後ろからバランが声をかけてきた。
「確かにリュウキス島の周りは荒れていることが多いんだが、タマルダの使節を乗せているときは違う。いつも驚くほど海が静まっているんだ。今回乗せているのは使節どころか、お姫さんだ。絶対に荒れることはない。飯を食って、寝てれば、明日の朝にはリュウキス島が見えるさ」
そう言ったあと、バランがボルを皆に紹介した。
「こいつはボルだ。あんた達の世話係だ。少し鈍くて、酒とギャンブルに目がないが、まあ、悪い奴じゃない。何かあったら、こいつに言ってくれ」
ボルはおどおどしながら、皆に挨拶した。
「わ、私はボルと言います。皆様のお世話をすることになりました。よ、よろしくお願いします」
「こちらこそ、お願いします」
クミンが優しく答えた。その後、暫くは皆で海を見ていたが、海風に当たり過ぎるのは体に悪いとメイヤーが言ったので、それぞれの船室に戻ることにした。
「フレイラさん、どうかしましたか」
リックが見ると、フレイラが何かを探すように辺りを見回していた。
「・・・いや、・・・うん、気のせいだ」
フレイラは呟くと、船室に戻っていった。
「うわっ、何だ」
船が大きく傾き、リックはベッドから滑り落ちた。食事のあと、心地いい揺れの中でぐっすり寝ていたので、不意打ちをくらった形になった。何とか立ち上がったが、今度は反対側に傾いた。その後も、大きく船は揺れ続けていた。海が荒れているようだった。
「嵐だ」
勇者がベッドから立ち上がり、部屋を出ていった。
「え、ちょっ、勇者様、待って下さい」
リックは勇者の後を追い、部屋を出た。勇者はそのまま甲板に出ていったが、リックはクミンの様子が心配だったので、クミンの部屋に向かった。
「クミンさん、大丈夫ですか」
リックが部屋をノックすると、フレイラが扉を開けた。
「フレイラさん、いたんですか」
リックが部屋に入ると、クミンが青い顔をし、ベッドヘッドを掴み、座っていた。
「リックさん、お願い、メイヤーの様子を見てきて」
クミンの声が案外しっかりしていたので、リックは安心し、メイヤーの部屋に向かった。
「大丈夫ですか、メイヤーさん」
ノックに反応がなく、リックが慌てて扉を開けると、メイヤーは床に手をつき、腰を擦っていた。ベッドから落ち、腰を打ったようだった。
「ああ、リックさん。私は大丈夫です。それよりクミン様は」
「クミンさんなら無事ですよ。フレイラさんと一緒に部屋にいます」
リックはメイヤーに肩を貸し、立ち上がらせ、クミンの部屋に連れて行った。クミンの部屋にはずぶ濡れになった勇者も来ていた。船の揺れは更に大きくなり、リックも立ってはいられず、メイヤーと一緒にクミンのベッドに座った。勇者とフレイラはまだ床にしっかり立っていた。
「凄い嵐だ。このままだと船が持たない。ここまでの嵐は初めてだと、上じゃあ大騒ぎだ」
勇者が言った。
「あの、タマルダ正教の使者の船は大丈夫だったんじゃ」
リックが疑問に思っていたことを聞いた。
「こんなことは初めてです。私が以前に来たときも、他のときも、一度もこんなに海が荒れたことはありませんでした」
メイヤーも本当に不思議だと言った。
「これは水の欠片の結界だ」
勇者が言い、フレイラも横で頷いた。
「結界ですか、・・・でも、火の欠片のときは通れましたよね」
リックは火の山を訪れたときのことを思い出していた。あのときは結界の中に気づかないうちに入っていた。今回のように入るのを拒絶されるようなことはなかった。
「普通は結界といっても人間なら中には入れる。まあ、奴は基本、人間嫌いだから、自分が選んだ奴しか中には入れないこともあるだろうが、・・・しかし」
勇者の言葉が終わらないうちに、船がまた大きく傾き、船体が軋む音が響いた。さすがに今度は、勇者やフレイラも立ってはいられず、机や棚を掴み体を支えた。
「それって、・・・私が、・・・魔王の花嫁の私がいるからでしょうか」
クミンが泣きそうになっていた。
「いや、違うな。気に入らない人間が乗っているとしても、これは少し大袈裟だ。船を沈めてまで入れさせたくない相手となると・・・」
勇者が考えながら答えた。
「この船に魔物が乗ってるってことだろう」
勇者が断言した。
「確かにさっき、人とは違う気配を感じた」
フレイラが言った。リックも船室に戻る前にフレイラが辺りを見回していたことを思い出した。
甲板で船員達が船の姿勢を保つため、ずぶ濡れになりながら作業をしている中、サリナスは船室の陰に隠れるように立っていた。
「ふん、この結界は思ったより強力だな。仕方がない、島についてからにしようと思ったが、ここでやるか」
そう言うと、サリナスは船室に続く廊下に入って行った。
ドンドンッ、ドンッ
「わっ」
「きゃっ」
クミンの部屋の扉が乱暴に叩かれたと思ったら、次の瞬間、腕が扉を突き破った。リックとクミン、メイヤーの三人が驚きの声を上げた。開いた穴から男の顔が覗いた。その目は赤く光り、金属を擦り付けたような不快な声が聞こえた。
「花嫁を迎えに来たぞ」
枠ごと扉が外され、男が部屋に入ってきた。男の瞳は猫のように縦長で、口は裂け、牙が見えた。
「クミン」
「クミン様あ」
メイヤーがクミンに覆い被さり、リックがクミンを庇うように、サリナスの前に立った。
「どけえ」
サリナスが叫び、鋭く伸びた爪でリックの喉を掻き切ろうとした。
「水の魔法だ」
「リュウキス」
勇者の声と同時に、リックが呪文を叫んだ。リックの手から、圧縮され円盤のように回転した水の塊が放たれ、サリナスを貫き、向かいの部屋ごと海に吹き飛ばした。
「やった」
リックが見ると、クミンの顔は青ざめ、震えていたが、怪我はないようだった。気がつくと、さっきまでの嵐が嘘のように静まり、破壊された部屋の向こうに朝日が昇ってくるのが見えた。
「ははは、これでいい。また花嫁に恐怖が染みた」
サリナスは海に浮かび、破壊された体の再生を待ちながら、離れていくカルスト号を見ていた。
ポーリンの港、カルスト号の前で甲板長のマークが言った。マークは丸坊主で潮焼けし、厚い胸板をした男だった。
「なんだ、お前、そのでこは」
「へっ」
ボルが変な声を出し、自分の額を触ると、額の真ん中が盛り上がっていた。
「あれ、何だろ」
「どうせまた酔っ払ってそこら辺で寝て、蜂に刺されたんだろ。頬の痣に、そのでこじゃあ、女が寄り付かねえぞ」
「はあ」
「まあ、いいや。それより早く甲板の掃除を手伝え。もうすぐオヤジがくるから。・・・ん、お前は誰だ」
マークが、ボルの後ろに立つサリナスに気がついた。
「嫌だな、甲板長、サムですよ。サム」
ボルが額をさすりながら言った。
「昨日、入った新人じゃないですか。いや、こいつ、わざわざ俺ん家に起こしに来てくれたんです」
「へっ、新人、昨日、・・・そんな奴」
マークが不審そうに言いかけたとき、サリナスが進み、マークの前に立った。サリナスの目は怪しい光を帯びていた。暫くすると、マークがよろけ、頭を振り、目をしばたたいた。
「・・・あ、ああ、そうだった。サムにお前の迎えを頼んだんだった。そんなことを忘れるなんて、俺も焼きが回ったもんだ」
「おい、何やってる」
三人のすぐ後ろから声がかかった。
「あっ、オヤジ、おはようございます」
マークが頭を下げた。そこには船長のバランが立っていた。バランは背が高く、がっしりした体格で、立派な顎髭を貯えた五十絡みの男だった。
「ん」
バランがサリナスに気がついた。サリナスと目が合い、暫くすると、頭を振りながら、我に帰ったように言った。
「おい、直ぐに準備しろ。さっき、お姫様が着いた。出来るだけ早く出発したいそうだ。昼には出発だ」
「おう」
バランの潮で鍛えられた大声が響くと、カルスト号は準備をする船乗り達の活気に包まれた。お昼前には、出港の準備が整った。
「お供の人はこれだけですか、騎士の方々が一緒と聞いていましたが。それに、あの方々はどういう・・・」
バランがカルスト号のタラップの前で一行を迎え、メイヤーと挨拶を交わしたあと、聞いた。
「いや、ここまで順調に来れましたので、もう必要なかろうと騎士達は帰しました。あの方々はタマルダに出入りしている商人とお供の方で、いつも大変お世話になっておりまして、今回は教皇倪下のお計らいで、一緒にリュウキス島に行くことになったのです。あ、勿論、人数は予定より少なくなりましたが、最初からお約束していた代金は払いますので、一つ、よろしく頼みます」
メイヤーが説明し、頭を下げた。バランは、勇者達を見て、何か言いたそうだったが、最後は豪快に笑い、船に向かって怒鳴った。
「おい、客人が到着だ。直ぐに出発するぞ」
バランを先頭に、一行はカルスト号に乗船した。
「うわあ、海は広いなあ。それに風が気持ちいい。潮の香りも、ううん、もう最高」
出港して暫くすると、皆で甲板の前の方に集まった。リックは初めて見る海と、初めて乗る大きな船にすっかり心を奪われ、はしゃいでいた。
「あんまりはしゃぐな、みっともない。リュウキス島の周りは荒れることが多いんだ。調子に乗ってると、痛い目を見るぞ」
勇者はリックのはしゃぎように呆れていた。
「この船は大丈夫だ」
後ろからバランが声をかけてきた。
「確かにリュウキス島の周りは荒れていることが多いんだが、タマルダの使節を乗せているときは違う。いつも驚くほど海が静まっているんだ。今回乗せているのは使節どころか、お姫さんだ。絶対に荒れることはない。飯を食って、寝てれば、明日の朝にはリュウキス島が見えるさ」
そう言ったあと、バランがボルを皆に紹介した。
「こいつはボルだ。あんた達の世話係だ。少し鈍くて、酒とギャンブルに目がないが、まあ、悪い奴じゃない。何かあったら、こいつに言ってくれ」
ボルはおどおどしながら、皆に挨拶した。
「わ、私はボルと言います。皆様のお世話をすることになりました。よ、よろしくお願いします」
「こちらこそ、お願いします」
クミンが優しく答えた。その後、暫くは皆で海を見ていたが、海風に当たり過ぎるのは体に悪いとメイヤーが言ったので、それぞれの船室に戻ることにした。
「フレイラさん、どうかしましたか」
リックが見ると、フレイラが何かを探すように辺りを見回していた。
「・・・いや、・・・うん、気のせいだ」
フレイラは呟くと、船室に戻っていった。
「うわっ、何だ」
船が大きく傾き、リックはベッドから滑り落ちた。食事のあと、心地いい揺れの中でぐっすり寝ていたので、不意打ちをくらった形になった。何とか立ち上がったが、今度は反対側に傾いた。その後も、大きく船は揺れ続けていた。海が荒れているようだった。
「嵐だ」
勇者がベッドから立ち上がり、部屋を出ていった。
「え、ちょっ、勇者様、待って下さい」
リックは勇者の後を追い、部屋を出た。勇者はそのまま甲板に出ていったが、リックはクミンの様子が心配だったので、クミンの部屋に向かった。
「クミンさん、大丈夫ですか」
リックが部屋をノックすると、フレイラが扉を開けた。
「フレイラさん、いたんですか」
リックが部屋に入ると、クミンが青い顔をし、ベッドヘッドを掴み、座っていた。
「リックさん、お願い、メイヤーの様子を見てきて」
クミンの声が案外しっかりしていたので、リックは安心し、メイヤーの部屋に向かった。
「大丈夫ですか、メイヤーさん」
ノックに反応がなく、リックが慌てて扉を開けると、メイヤーは床に手をつき、腰を擦っていた。ベッドから落ち、腰を打ったようだった。
「ああ、リックさん。私は大丈夫です。それよりクミン様は」
「クミンさんなら無事ですよ。フレイラさんと一緒に部屋にいます」
リックはメイヤーに肩を貸し、立ち上がらせ、クミンの部屋に連れて行った。クミンの部屋にはずぶ濡れになった勇者も来ていた。船の揺れは更に大きくなり、リックも立ってはいられず、メイヤーと一緒にクミンのベッドに座った。勇者とフレイラはまだ床にしっかり立っていた。
「凄い嵐だ。このままだと船が持たない。ここまでの嵐は初めてだと、上じゃあ大騒ぎだ」
勇者が言った。
「あの、タマルダ正教の使者の船は大丈夫だったんじゃ」
リックが疑問に思っていたことを聞いた。
「こんなことは初めてです。私が以前に来たときも、他のときも、一度もこんなに海が荒れたことはありませんでした」
メイヤーも本当に不思議だと言った。
「これは水の欠片の結界だ」
勇者が言い、フレイラも横で頷いた。
「結界ですか、・・・でも、火の欠片のときは通れましたよね」
リックは火の山を訪れたときのことを思い出していた。あのときは結界の中に気づかないうちに入っていた。今回のように入るのを拒絶されるようなことはなかった。
「普通は結界といっても人間なら中には入れる。まあ、奴は基本、人間嫌いだから、自分が選んだ奴しか中には入れないこともあるだろうが、・・・しかし」
勇者の言葉が終わらないうちに、船がまた大きく傾き、船体が軋む音が響いた。さすがに今度は、勇者やフレイラも立ってはいられず、机や棚を掴み体を支えた。
「それって、・・・私が、・・・魔王の花嫁の私がいるからでしょうか」
クミンが泣きそうになっていた。
「いや、違うな。気に入らない人間が乗っているとしても、これは少し大袈裟だ。船を沈めてまで入れさせたくない相手となると・・・」
勇者が考えながら答えた。
「この船に魔物が乗ってるってことだろう」
勇者が断言した。
「確かにさっき、人とは違う気配を感じた」
フレイラが言った。リックも船室に戻る前にフレイラが辺りを見回していたことを思い出した。
甲板で船員達が船の姿勢を保つため、ずぶ濡れになりながら作業をしている中、サリナスは船室の陰に隠れるように立っていた。
「ふん、この結界は思ったより強力だな。仕方がない、島についてからにしようと思ったが、ここでやるか」
そう言うと、サリナスは船室に続く廊下に入って行った。
ドンドンッ、ドンッ
「わっ」
「きゃっ」
クミンの部屋の扉が乱暴に叩かれたと思ったら、次の瞬間、腕が扉を突き破った。リックとクミン、メイヤーの三人が驚きの声を上げた。開いた穴から男の顔が覗いた。その目は赤く光り、金属を擦り付けたような不快な声が聞こえた。
「花嫁を迎えに来たぞ」
枠ごと扉が外され、男が部屋に入ってきた。男の瞳は猫のように縦長で、口は裂け、牙が見えた。
「クミン」
「クミン様あ」
メイヤーがクミンに覆い被さり、リックがクミンを庇うように、サリナスの前に立った。
「どけえ」
サリナスが叫び、鋭く伸びた爪でリックの喉を掻き切ろうとした。
「水の魔法だ」
「リュウキス」
勇者の声と同時に、リックが呪文を叫んだ。リックの手から、圧縮され円盤のように回転した水の塊が放たれ、サリナスを貫き、向かいの部屋ごと海に吹き飛ばした。
「やった」
リックが見ると、クミンの顔は青ざめ、震えていたが、怪我はないようだった。気がつくと、さっきまでの嵐が嘘のように静まり、破壊された部屋の向こうに朝日が昇ってくるのが見えた。
「ははは、これでいい。また花嫁に恐怖が染みた」
サリナスは海に浮かび、破壊された体の再生を待ちながら、離れていくカルスト号を見ていた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
今度のヒーローは……悪の組織の戦闘員!?
marupon_dou
ファンタジー
時は現代。世には悪の秘密結社"フェイスダウン"が夜の闇に潜み人々を襲っていた。
人造人間"フェイス"戦闘員を擁し、人間が持つ感情エナジーを奪う彼らと戦うのは――
その"フェイス"戦闘員だった!
精霊の力を宿した、不屈の戦士《ヒーロー》・アルカー。
彼と肩を並べ戦う、正義に目覚めた悪の戦闘員《ヒーロー》、ノー・フェイス!
人々を守り、フェイスダウンに狙われた少女を守る戦闘員の物語が今、始まる――。
※最初の五話は挿絵がつきますが、以後は不定期(ときたま)になります。
※第一部は毎日連載します。
※90~00年代のライトノベルの作風を目指して執筆中です。
※イメージの源流は特撮ヒーローですが、パロディ・オマージュ作品ではありませんので
パロディ・オマージュ・お約束などは非常に薄めです。
※第一章~第二章は以下のサイトでも公開しております。
カクヨム:https://kakuyomu.jp/works/1177354054883360465
エブリスタ:http://estar.jp/_novel_view?w=24664562
Pixiv:https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8269721
元世界最強の人間と行く地獄のワールドツアー
ユウ
ファンタジー
世界を守るため、多くの資産家・貴族が動き長年の戦争が終結した。しかし、失ったものは資産だけではなかった。世界のほとんどが新しい世界を進みゆく中、アーティと呼ばれる20代の天才講師(先生)は過去の栄光を求める研究者だった。過去の栄光とは、古代の残した、古代機器を初め古代魔法、古代技術、全てを求め続けた。これは、一人の男性である、アーティの物語
補足
初めて読む方は、『全ての結末』をスルーして次の章『名もない不思議な街』から読むか、『全ての結末』のタイトルに各章の名前を書いているので、それを読んでいただけば、最低限の内容はまとめています。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ああ、もういらないのね
志位斗 茂家波
ファンタジー
……ある国で起きた、婚約破棄。
それは重要性を理解していなかったがゆえに起きた悲劇の始まりでもあった。
だけど、もうその事を理解しても遅い…‥‥
たまにやりたくなる短編。興味があればぜひどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる