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8「ようこそ!海寮へ!」

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司波先生に案内されて学校から寮へやってきた。

学校を出てすぐのところに寮はあった。
確かにこの距離は近くて楽だ。

「えーっと夏目くんは海寮(ドーミトリー・アジュール・アビス)ですね。あ、長いのでみんなは海寮とかアビス寮って呼んでます。」
「うみりょう、あびすりょう…」

ネーミングセンス…。
体質もまんまだったし適当だなあ。

「中央の建物は食堂と売店です、海寮のほかに、月寮(ドーミトリー・セレスティアル・クレッセント)、星寮(ドーミトリー・レイディアンス・スピカ)があります。こっちも長いので月寮、セレス寮とか、星寮、スピカ寮って呼ばれてますね。」

先生が言うように中央に低い建物がありそれを囲うように3棟の寮が建っていた。
てか寮名しゃれてるのかなんなのか、覚えずらいだろ…。
俺は海寮(うみりょう)って呼ぶことにする。


「名前…覚えずらいですよね…?僕もなんだかなーと思ったんですがこの名前はこの水ノ守市(ミノカミシ)に伝わるおとぎ話が由来になっているんですよ。月の精と海の精…そして星になった少年のおはなしなんですけど興味があったら是非調べてみてくださいね。たしか図書室に本があったはずです」


この町のおとぎ話か…。ゲームのストーリーに関わってくるのかな?気が向いたら調べてみるか。

食堂を通り過ぎた先に玄関が見えてきた。
青色の波の模様とキラキラしたマークのシンボルが目印になっている建物がそびえ建っている。

先を歩いていた司波先生が振り返りにこっと笑った。


「ようこそ、海寮へ」









寮内はまだざわざわとしていてたくさんの人がいた。
段ボールを抱えている者やそれぞれ入寮のための準備をしていた。
…見た限り壮馬はいない。
もしかして同じ寮じゃないのかな…。不安になってきた。

きょろきょろと誰かを探す様子の先生の後ろについていく。
一体誰を探してるんだろ。


「ああ、いました。青瀬くん~」
「はい」

人だかりの中心に飛びぬけて出ていた頭がこちらを振り向く。
他の生徒たちも一瞬こちらを見たがすぐにそれぞれ作業に戻っていった。

青瀬くんと呼ばれた生徒はこちらへ来るまで他の生徒たちの質問に対応をしながら急ぎ足でこちらへ向かって歩いてくる。

長身にスラッとした見た目に爽やかという言葉がぴったりな青年だ。
青瀬という名前の通りな濃紺の色をした短めの髪型に誰が見てもかっこいいと言いそうな整ったお顔。

このイケメン…攻略キャラかもしれない…なんていうかオーラが出ている気がする。
明らかに今まであった人たちと違う。

そう思った瞬間にポケットに仕舞っていたスマホが震えた。
やっぱりそうだ。エンカウントしたから通知が来たんだ。たぶん。

ええー…攻略キャラってこんな感じなんだ…。
キラキッラじゃん…かっこよ…。
まぶしくて目を細めてしまう。


「お待たせしました。司波先生、どうかしましたか」
「入寮初日の忙しいときにすみませんね。先ほど連絡した今日入寮の子を連れてきました」
「ああ、君か。体調はもういいのか?」
「は、はい…」

爽やかが俺を見て話しかけてくる。
なんか仕草も声色もなにもかもが堂々としていて自信のない俺は居心地が悪い…。たじろいでしまう。

「そうか、よかった。体調が悪いときは無理せず俺や周りの寮生たちに言ってくれ」

優し気に瞳を細められ思わず目を逸らしてしまった。
失礼だったかな、でも…な、なんか落ち着かない…。

「俺は3年の青瀬深(アオセ シン)だ。海寮の寮長をしている。海寮は基本的に俺が取り纏めているからよろしく」
「よ、よろしくお願いします…夏目律です…」

差し出された手をおずおずと握ると力強く握り返された。
それだけのことなのに自分の意志と関係なくドキドキしてくる。

胸の鼓動と一緒に自然と顔に熱が集まってきてますます恥ずかしくなってきた。
なんなんだ、これ…。
緊張してるのか?体にも自然と力が入ってしまう。

これはもう間違いなく、絶対に攻略対象キャラだ。


うう…オーラがすごい…!!!!






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