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~20話~
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ガツガツとぶつかる様に熱いテセウス様のそれを押し込まれ、揺さぶられては高みから降りる事すらままならず、「…イ…ク…!…イ…ク…!」と壊れた様に同じことばかりが口から溢れ落ちる。
きゅんきゅん蠢く膣壺がテセウス様のを食みながらもっと奥に...と望んで。
テセウス様も蠢く膣壺から察してくださるのか、奥に奥にと押し込めながらグリグリと腰を回す。
股座が捏ねられると肉に潰されたままのクリトリスからも熱い刺激が絶え間無く高みに昇る階段を生んで、捏ね回される膣壺が痙攣してはトプトプと蜜を垂れ流し、抜き挿しされる度にグチュグチュ、ヌチュヌチュと卑猥な音色を奏でていくから、その厭らしい音を拾う耳からも、テセウス様が熱く触れる肌からも気持ちいいのが止まらない。
「愛してる愛してる愛してるエミーリアッ...!!」
譫言のように繰り返しては穿って、強く掴まれた腰骨が前後に揺さぶられて、テセウス様の全身で愛が伝わってきて魂から蕩けて溺れていく...。
「イクのっイクッあぁ...んっひぅっ...好きです!テセウス様が大好きッイクッイクッあぁあああぁっ!!いっぱいイクっ来ちゃうッ来ちゃあぁあああぁっっんんっはぁんッッあっあっあっあっあっ!!!」
「中が...柔らかくてぷつぷつしてきて...グニグニ動きますよ...私のモノに絡まって...最高です...私も...ッそろそろ射精ますよ...ッ中に...射精します...ッ...!」
「いっしょにッ...いっしょにッ...あっ...あっ..ッ...あっん!!」
高みを目指したがる身体は無意識にテセウス様のをもぐもぐしているのがわかる。
中で...はっきりとテセウス様の形が解るから...。
太くて、硬くて、ごりッとした傘が張ってて、グリグリ段差で抉られて中で当たる。
気持ちいいの...気持ちいいよぉ...もっと突いてめちゃくちゃにして欲しい...ってそれだけが頭のなかを占めていく。
ぐっちゅんッぐっちゅんッパンパンパンパンッ
ぱちゅぱちゅぱちゅ...って卑猥な音が私とテセウス様の繋がっている場所から漏れ聞こえて、ゾクゾクゥって背中に電流が駆け抜けて全身に廻る。
薄く淡く光る聖紋がトクトクと鼓動をお腹に伝えてくるのも、テセウス様が抜挿する反復に、奥から浅い場所へと擦られる度に『行かないで中に居て』って膣道がきゅうきゅうと甘えて絡まって締め付けるのも、時々...中がテセウス様のを締め付けているのに、ぶあっと膣道が拡がっては更に絞まるのも、全部...私の全てでテセウス様が好きって叫んでる。
「好きっ!好きですッ......ッあっあっあっイック...イっちゃうぅっテセウス様好きっ...!いッ.あっあっ..ずっとずっと...ッ大好きッ大好き...!!」
「愛してるよエミーリア...出すよッ中にッ...!!ゥグッ....ゥッ!!」
熱い飛沫が叩きつけられて、その熱さを感じた瞬間に高みに一気に駆け昇る。
きゅんきゅんお腹の中がテセウス様からの愛の聖液を絞りつくそうとぐにぐに動く。
きゅうううっと絞まっていく。
絞め付ける度にうねうねぐにぐにと秘肉が絡み付いて、徐々にテセウス様の硬くて熱くて太いのが、私の中でふわふわに柔らかくなっていくのが愛しくて。
「ああ...テセウス様...愛してます...。」って囁く。
私の大好きなテセウス様...愛してます。
指の先の先まで温かく蕩けるように、愛してますって気持ちが広がる。
テセウス様が一瞬ほわって微笑んで、ぎゅっと強く私の上から包み込むみたいに抱き締めてくださって。
甘えてテセウス様の肩口に額をすりすりする。
そんな私をテセウス様はクスッと笑って、背中を撫でながらゆっくり抱き締めてくれて。
とても幸せな抱擁に、ずっとテセウス様の腕の中に包んでいてほしいって思う。
「愛してるよエミーリア...。」
「愛してますテセウス様...。」
同時に告げあって、ふふふっと二人で笑い合う。
幸せで、幸せすぎて溶けてしまいそう。
するすると私の輪郭をなぞるように手の甲で頬を撫で下ろし、首筋を撫で、ツツツっと私の身体を撫で下ろしていくテセウス様の指先は聖紋...下腹で止まってハッと息を飲む気配がした。
「エミーリア...、エミーリア!貴女って娘は!なんて素晴らしい...。見てごらんなさい。」
テセウス様が私の上から退いて、そのまま抱き起こしされて、テセウス様の膝の間に座らされ背後から抱きすくめられる姿勢でお腹を見てごらん、と促される。
お尻にくにゅんっと当たるテセウス様のがくすぐったくて、何だかその柔らかさが愛しくて。
テセウス様の胸に背中を預けながら、促されたままに自分のお腹を見る。
薄っらと光り輝きながら、脈動する聖紋。
ハートに見える大きな紋に蔦が絡んでいる様に見えるそれ。
その蔦の部分に綺麗な時計草と、小さな白い茉莉花が咲き始めている。
紋の中で花たちはゆっくりと蕾が膨らんで、光輝きながら音をたてるようにぽんっと花開く。
光が花から溢れんばかりに優しく輝いては瞬いて。
「神の愛と神の祝福...。聖紋の完成です...エミーリア...。美しく尊い聖紋ですね...。」
テセウス様の声が感動しているのか柔らかく震えている。
これは完成...なのか...と不思議に思った。
今までと何が違って完成なのかな、と考えていると、テセウス様がゆるゆると私の髪を撫でて。
「神の祝福と神の愛の意味を持っている花なんですよ、エミーリア。初代聖女さまには青い薔薇が咲いていたそうです。青い薔薇は神の祝福、不可能を可能にする、奇跡という意味があって、初代聖女さまのお力はまさにそれだったと伝えられています。その後も花が咲いていた聖女さまも有らせられるんですが、それぞれ違った花が咲いていたそうです。花は聖女さまそれぞれのお力の具現とでもいえばいいのでしょうか...。ですからエミーリアは神の祝福と愛の聖女と言うことですね。素敵ですよ、エミーリア。本当に...素敵です。エミーリア...愛してます。」
旋毛に口づけを落として、テセウス様が後ろから抱き締めながら、聖紋の輪郭を指で撫でて、うっとりと吐息を溢すのを預けた背中で感じる。
その柔らかな撫で方が、いっぱい幸せと愛しさを感じさせてくれて、その触れ方で、ああ、この聖紋はテセウス様と咲かせたんだと思った。
「テセウス様がいっぱい愛してくださったから、私を見守ってくださったから...この花達は咲いたんだと思います。だから...テセウス様と私の花ですね、これ。」
ふわりとした温かな気持ちに微笑むと、テセウス様がそっと腰から腕を回して抱き寄せて下さって。
その温もりに私はゆっくり目を閉じた。
************
すー...っと穏やかな呼吸がエミーリアから伝わってくる。
そっと覗き込むと、眠ってしまったのがわかった。
疲れてしまったのだろう。
かなり執拗に求めたのもあるが、慣れない戦闘に巻き込まれて心も疲れてしまっていたのだろう。
美しく花が開く聖紋の輝きを見詰めながら、テセウスは考える。
自分はこれから、己が生涯で最も唾棄してきた政略活動も織り込みで動かねばならないだろうこと。
その不在時に、エミーリアが聖女としての力を貯めるには、一人で致すよりも愛を交わす行為そのものが一番効率的であること。
では...相手に指定すべきは己が選定した方が安全だろう。
神殿が選んできそうな第2皇子本人だとか、聖女エミーリアに興味を示している有象無象の唾棄すべきような腐敗貴族どもなどは論外。
エミーリアを尊重してくれるような相手。
身も心も虐げるような特殊性癖のない者がいい。
候補としては従士達か、同性ではあるが侍女の二人。
ちらりとしか見てはいないが騎士団のあの男も尊敬と敬愛の眼差しでエミーリアを見ていた。
いっそガイルを呼び戻して...とも思うが、今ガイルの広報活動の手を弛めるべきではない。
さて。
思案しつつ、エミーリアをそっと横臥させながら、己が愛してやまぬ少女を見つめる。
柔らかな栗色の髪がゆったりとシーツに広がり、ゆるく上下する大きな胸と、薄い腹からキュッと絞まった腰回り。
尻の丸みも、むっちりとしながらも細い太もも...。女性らしいスタイルでありながら、未成熟な色も残るエミーリアの絶妙なアンバランスさ。
美しく可憐に育った...愛しい少女。
薔薇色の頬と、小さく開いた唇から漏れる寝息は瞼の裏に残る幼いころから変わらない寝顔に見える。
閨事の時には貪る様に口付けたそこに、そっと触れるか触れぬ程度に唇を落とし、テセウスは静かに寝台を降りる。
音をたてぬ様に扉の側へ歩き「誰ぞいるか?」と呟く。
人払いしたが、どうせニイゾノあたりは誰かを控えさせて居るだろう事も織り込み済だ。
「神父長さま...此処に。」
小さく侍女の声がする。
「湯とタオルを。私がエミーリアを浄める。寝台を整えるのを任せたい。」
「仰せのままに。」
扉越しの会話ではあるが極力小さな声が反ってくる。
エミーリアが眠りについたことを理解しているのであろう侍女の返答にテセウスは満足する。
神殿の育てた侍女達の質の高さはテセウスの好むところでもある。
静かに眠るエミーリアをそっと視界に納めて、掛布の布目からも洩れ出る淡い光が天井にゆらゆらと光の帯を映し出すのを見詰めるだけで、テセウスは心が柔らかで穏やかな物に包まれる。
エミーリアの言葉を思い出す。「テセウスとエミーリアの二人の花」だと語ってくれたあの瞬間。
畏れ多いと理性では思いながらも、幸せで幸せすぎて、腕の中に一生閉じ込めて人目に触れぬ様にそっと宝箱に仕舞ってしまいたくて、だがエミーリアの成長が誇らしくもあり、寂しくもあり、いっそ甘く蕩ける様に甘やかして、生涯手元に置いて置きたい暴風の様な衝動を抑えるのが難しかった瞬間だった。
花が開かずとも聖紋の輝きがあるだけでも聖女としては完璧であったが、歴代の聖女のなかでも究極と謳われた幾人かと比肩する程、完璧な具現。
近年悪化しつつある辺境の魔獣の跋扈もエミーリアが初めて聖女として神々と繋がった時の光で結界は強化された。
エミーリアが閨儀を執り行えば、更に強化されるであろう。
磐石の安寧を約束するといわれている聖女の力。
強大な力の一端を欲する者は多い。まずは聖殿の聖女として閨儀を執り行い、御披露目せねばならないであろう。
......かなり嫌だが。
しかし聖殿近郊の貴族を一同に介する利点もある。
凡その見当はついてはいるが敵対心を持つ国の暗躍や、諸近郊国の動向。
侍女とエミーリアを襲ったのはどこの国か...?
そろそろ皇子あたりは当たりをつけてはいるだろうが、そうおいそれと聖殿に話すとも考えられぬ。
エミーリアを護るのは当然としても。
聖女を護る護り手を増やすためにも、考えねばならない。
テセウスの思考は、聞こえぬほど控えめなノックの音に漸く止まる。
ガウンを肌に纏い、「どうぞ」と静かに囁く。
数秒の空白を置き、そっと滑り込む様に室内に入ってきたのはキャシー筆頭侍女と彼女が押すワゴン。
「失礼いたします。神父長さま。」
湯気の上がる桶と見るからにふわりとした柔らかそうな嵩のあるタオル。
皺一つないシーツを用意したキャシー筆頭侍女が滑る様に歩く。
「...わたくしがエミーリア様のお浄めをさせていただきとう存じます。神父長さま。」
幾分か緊張した表情の侍女が、若干硬い声と挑戦者の面持ちで此方を見詰めている。
どこぞの貴族令嬢と記憶にあるが、このような表情をする少女だったか?もっとふわふわとした表情で、穏やかな笑みを浮かべていた気がしていたが...。
「何故?」
「神父長さまがわたくしのエミーリア様にお触れに為るのが嫌だから...と申したら如何なさいます...?」
タオルを桶に沈め、ぎゅっと絞り、軽く広げて熱を逃がす様にタオルを打ち付けるが音はさせぬ様に静かな挙動。
湯気の上がり方から、かなり熱い湯であろうと察するが、一切の表情の変化を見せぬキャシー筆頭侍女。
「そんなに睨まないでくださいませ。...お触れに為るのが嫌なのは、神父長さまが『男』だからですので、他意はそれ以上ございません。わたくし...エミーリア様をずっと誤解してきただけでなく、聖女様のなんたるかを考えもせず聖女様付きに成れた事だけを喜んできたこの数ヵ月の自分が腹立だしいのです。皇子殿下に知らさせるまで...神々と繋がる事による聖女様としてのご負担や...あんな危険に襲われる可能性に全く配慮が及ばなかった自分が腹立だしいのです。エミーリア様のお人柄に触れたのはここ数日ではありますが、誠心誠意エミーリア様を至上とお仕えするとわたくしは『わたくし』に誓ったのです。どうか...愛交の跡のお浄めをわたくしがすることをお譲りくださいませ。神父長さまがエミーリア様を女性として愛してらっしゃるのは...先程ずっと聞いておりましたので...お二人の恋人としてのお時間は致し方ないと諦めますわ。ですが、わたくしがエミーリア様を愛する気持ちもお知り置き頂きとう存じます。」
きゅんきゅん蠢く膣壺がテセウス様のを食みながらもっと奥に...と望んで。
テセウス様も蠢く膣壺から察してくださるのか、奥に奥にと押し込めながらグリグリと腰を回す。
股座が捏ねられると肉に潰されたままのクリトリスからも熱い刺激が絶え間無く高みに昇る階段を生んで、捏ね回される膣壺が痙攣してはトプトプと蜜を垂れ流し、抜き挿しされる度にグチュグチュ、ヌチュヌチュと卑猥な音色を奏でていくから、その厭らしい音を拾う耳からも、テセウス様が熱く触れる肌からも気持ちいいのが止まらない。
「愛してる愛してる愛してるエミーリアッ...!!」
譫言のように繰り返しては穿って、強く掴まれた腰骨が前後に揺さぶられて、テセウス様の全身で愛が伝わってきて魂から蕩けて溺れていく...。
「イクのっイクッあぁ...んっひぅっ...好きです!テセウス様が大好きッイクッイクッあぁあああぁっ!!いっぱいイクっ来ちゃうッ来ちゃあぁあああぁっっんんっはぁんッッあっあっあっあっあっ!!!」
「中が...柔らかくてぷつぷつしてきて...グニグニ動きますよ...私のモノに絡まって...最高です...私も...ッそろそろ射精ますよ...ッ中に...射精します...ッ...!」
「いっしょにッ...いっしょにッ...あっ...あっ..ッ...あっん!!」
高みを目指したがる身体は無意識にテセウス様のをもぐもぐしているのがわかる。
中で...はっきりとテセウス様の形が解るから...。
太くて、硬くて、ごりッとした傘が張ってて、グリグリ段差で抉られて中で当たる。
気持ちいいの...気持ちいいよぉ...もっと突いてめちゃくちゃにして欲しい...ってそれだけが頭のなかを占めていく。
ぐっちゅんッぐっちゅんッパンパンパンパンッ
ぱちゅぱちゅぱちゅ...って卑猥な音が私とテセウス様の繋がっている場所から漏れ聞こえて、ゾクゾクゥって背中に電流が駆け抜けて全身に廻る。
薄く淡く光る聖紋がトクトクと鼓動をお腹に伝えてくるのも、テセウス様が抜挿する反復に、奥から浅い場所へと擦られる度に『行かないで中に居て』って膣道がきゅうきゅうと甘えて絡まって締め付けるのも、時々...中がテセウス様のを締め付けているのに、ぶあっと膣道が拡がっては更に絞まるのも、全部...私の全てでテセウス様が好きって叫んでる。
「好きっ!好きですッ......ッあっあっあっイック...イっちゃうぅっテセウス様好きっ...!いッ.あっあっ..ずっとずっと...ッ大好きッ大好き...!!」
「愛してるよエミーリア...出すよッ中にッ...!!ゥグッ....ゥッ!!」
熱い飛沫が叩きつけられて、その熱さを感じた瞬間に高みに一気に駆け昇る。
きゅんきゅんお腹の中がテセウス様からの愛の聖液を絞りつくそうとぐにぐに動く。
きゅうううっと絞まっていく。
絞め付ける度にうねうねぐにぐにと秘肉が絡み付いて、徐々にテセウス様の硬くて熱くて太いのが、私の中でふわふわに柔らかくなっていくのが愛しくて。
「ああ...テセウス様...愛してます...。」って囁く。
私の大好きなテセウス様...愛してます。
指の先の先まで温かく蕩けるように、愛してますって気持ちが広がる。
テセウス様が一瞬ほわって微笑んで、ぎゅっと強く私の上から包み込むみたいに抱き締めてくださって。
甘えてテセウス様の肩口に額をすりすりする。
そんな私をテセウス様はクスッと笑って、背中を撫でながらゆっくり抱き締めてくれて。
とても幸せな抱擁に、ずっとテセウス様の腕の中に包んでいてほしいって思う。
「愛してるよエミーリア...。」
「愛してますテセウス様...。」
同時に告げあって、ふふふっと二人で笑い合う。
幸せで、幸せすぎて溶けてしまいそう。
するすると私の輪郭をなぞるように手の甲で頬を撫で下ろし、首筋を撫で、ツツツっと私の身体を撫で下ろしていくテセウス様の指先は聖紋...下腹で止まってハッと息を飲む気配がした。
「エミーリア...、エミーリア!貴女って娘は!なんて素晴らしい...。見てごらんなさい。」
テセウス様が私の上から退いて、そのまま抱き起こしされて、テセウス様の膝の間に座らされ背後から抱きすくめられる姿勢でお腹を見てごらん、と促される。
お尻にくにゅんっと当たるテセウス様のがくすぐったくて、何だかその柔らかさが愛しくて。
テセウス様の胸に背中を預けながら、促されたままに自分のお腹を見る。
薄っらと光り輝きながら、脈動する聖紋。
ハートに見える大きな紋に蔦が絡んでいる様に見えるそれ。
その蔦の部分に綺麗な時計草と、小さな白い茉莉花が咲き始めている。
紋の中で花たちはゆっくりと蕾が膨らんで、光輝きながら音をたてるようにぽんっと花開く。
光が花から溢れんばかりに優しく輝いては瞬いて。
「神の愛と神の祝福...。聖紋の完成です...エミーリア...。美しく尊い聖紋ですね...。」
テセウス様の声が感動しているのか柔らかく震えている。
これは完成...なのか...と不思議に思った。
今までと何が違って完成なのかな、と考えていると、テセウス様がゆるゆると私の髪を撫でて。
「神の祝福と神の愛の意味を持っている花なんですよ、エミーリア。初代聖女さまには青い薔薇が咲いていたそうです。青い薔薇は神の祝福、不可能を可能にする、奇跡という意味があって、初代聖女さまのお力はまさにそれだったと伝えられています。その後も花が咲いていた聖女さまも有らせられるんですが、それぞれ違った花が咲いていたそうです。花は聖女さまそれぞれのお力の具現とでもいえばいいのでしょうか...。ですからエミーリアは神の祝福と愛の聖女と言うことですね。素敵ですよ、エミーリア。本当に...素敵です。エミーリア...愛してます。」
旋毛に口づけを落として、テセウス様が後ろから抱き締めながら、聖紋の輪郭を指で撫でて、うっとりと吐息を溢すのを預けた背中で感じる。
その柔らかな撫で方が、いっぱい幸せと愛しさを感じさせてくれて、その触れ方で、ああ、この聖紋はテセウス様と咲かせたんだと思った。
「テセウス様がいっぱい愛してくださったから、私を見守ってくださったから...この花達は咲いたんだと思います。だから...テセウス様と私の花ですね、これ。」
ふわりとした温かな気持ちに微笑むと、テセウス様がそっと腰から腕を回して抱き寄せて下さって。
その温もりに私はゆっくり目を閉じた。
************
すー...っと穏やかな呼吸がエミーリアから伝わってくる。
そっと覗き込むと、眠ってしまったのがわかった。
疲れてしまったのだろう。
かなり執拗に求めたのもあるが、慣れない戦闘に巻き込まれて心も疲れてしまっていたのだろう。
美しく花が開く聖紋の輝きを見詰めながら、テセウスは考える。
自分はこれから、己が生涯で最も唾棄してきた政略活動も織り込みで動かねばならないだろうこと。
その不在時に、エミーリアが聖女としての力を貯めるには、一人で致すよりも愛を交わす行為そのものが一番効率的であること。
では...相手に指定すべきは己が選定した方が安全だろう。
神殿が選んできそうな第2皇子本人だとか、聖女エミーリアに興味を示している有象無象の唾棄すべきような腐敗貴族どもなどは論外。
エミーリアを尊重してくれるような相手。
身も心も虐げるような特殊性癖のない者がいい。
候補としては従士達か、同性ではあるが侍女の二人。
ちらりとしか見てはいないが騎士団のあの男も尊敬と敬愛の眼差しでエミーリアを見ていた。
いっそガイルを呼び戻して...とも思うが、今ガイルの広報活動の手を弛めるべきではない。
さて。
思案しつつ、エミーリアをそっと横臥させながら、己が愛してやまぬ少女を見つめる。
柔らかな栗色の髪がゆったりとシーツに広がり、ゆるく上下する大きな胸と、薄い腹からキュッと絞まった腰回り。
尻の丸みも、むっちりとしながらも細い太もも...。女性らしいスタイルでありながら、未成熟な色も残るエミーリアの絶妙なアンバランスさ。
美しく可憐に育った...愛しい少女。
薔薇色の頬と、小さく開いた唇から漏れる寝息は瞼の裏に残る幼いころから変わらない寝顔に見える。
閨事の時には貪る様に口付けたそこに、そっと触れるか触れぬ程度に唇を落とし、テセウスは静かに寝台を降りる。
音をたてぬ様に扉の側へ歩き「誰ぞいるか?」と呟く。
人払いしたが、どうせニイゾノあたりは誰かを控えさせて居るだろう事も織り込み済だ。
「神父長さま...此処に。」
小さく侍女の声がする。
「湯とタオルを。私がエミーリアを浄める。寝台を整えるのを任せたい。」
「仰せのままに。」
扉越しの会話ではあるが極力小さな声が反ってくる。
エミーリアが眠りについたことを理解しているのであろう侍女の返答にテセウスは満足する。
神殿の育てた侍女達の質の高さはテセウスの好むところでもある。
静かに眠るエミーリアをそっと視界に納めて、掛布の布目からも洩れ出る淡い光が天井にゆらゆらと光の帯を映し出すのを見詰めるだけで、テセウスは心が柔らかで穏やかな物に包まれる。
エミーリアの言葉を思い出す。「テセウスとエミーリアの二人の花」だと語ってくれたあの瞬間。
畏れ多いと理性では思いながらも、幸せで幸せすぎて、腕の中に一生閉じ込めて人目に触れぬ様にそっと宝箱に仕舞ってしまいたくて、だがエミーリアの成長が誇らしくもあり、寂しくもあり、いっそ甘く蕩ける様に甘やかして、生涯手元に置いて置きたい暴風の様な衝動を抑えるのが難しかった瞬間だった。
花が開かずとも聖紋の輝きがあるだけでも聖女としては完璧であったが、歴代の聖女のなかでも究極と謳われた幾人かと比肩する程、完璧な具現。
近年悪化しつつある辺境の魔獣の跋扈もエミーリアが初めて聖女として神々と繋がった時の光で結界は強化された。
エミーリアが閨儀を執り行えば、更に強化されるであろう。
磐石の安寧を約束するといわれている聖女の力。
強大な力の一端を欲する者は多い。まずは聖殿の聖女として閨儀を執り行い、御披露目せねばならないであろう。
......かなり嫌だが。
しかし聖殿近郊の貴族を一同に介する利点もある。
凡その見当はついてはいるが敵対心を持つ国の暗躍や、諸近郊国の動向。
侍女とエミーリアを襲ったのはどこの国か...?
そろそろ皇子あたりは当たりをつけてはいるだろうが、そうおいそれと聖殿に話すとも考えられぬ。
エミーリアを護るのは当然としても。
聖女を護る護り手を増やすためにも、考えねばならない。
テセウスの思考は、聞こえぬほど控えめなノックの音に漸く止まる。
ガウンを肌に纏い、「どうぞ」と静かに囁く。
数秒の空白を置き、そっと滑り込む様に室内に入ってきたのはキャシー筆頭侍女と彼女が押すワゴン。
「失礼いたします。神父長さま。」
湯気の上がる桶と見るからにふわりとした柔らかそうな嵩のあるタオル。
皺一つないシーツを用意したキャシー筆頭侍女が滑る様に歩く。
「...わたくしがエミーリア様のお浄めをさせていただきとう存じます。神父長さま。」
幾分か緊張した表情の侍女が、若干硬い声と挑戦者の面持ちで此方を見詰めている。
どこぞの貴族令嬢と記憶にあるが、このような表情をする少女だったか?もっとふわふわとした表情で、穏やかな笑みを浮かべていた気がしていたが...。
「何故?」
「神父長さまがわたくしのエミーリア様にお触れに為るのが嫌だから...と申したら如何なさいます...?」
タオルを桶に沈め、ぎゅっと絞り、軽く広げて熱を逃がす様にタオルを打ち付けるが音はさせぬ様に静かな挙動。
湯気の上がり方から、かなり熱い湯であろうと察するが、一切の表情の変化を見せぬキャシー筆頭侍女。
「そんなに睨まないでくださいませ。...お触れに為るのが嫌なのは、神父長さまが『男』だからですので、他意はそれ以上ございません。わたくし...エミーリア様をずっと誤解してきただけでなく、聖女様のなんたるかを考えもせず聖女様付きに成れた事だけを喜んできたこの数ヵ月の自分が腹立だしいのです。皇子殿下に知らさせるまで...神々と繋がる事による聖女様としてのご負担や...あんな危険に襲われる可能性に全く配慮が及ばなかった自分が腹立だしいのです。エミーリア様のお人柄に触れたのはここ数日ではありますが、誠心誠意エミーリア様を至上とお仕えするとわたくしは『わたくし』に誓ったのです。どうか...愛交の跡のお浄めをわたくしがすることをお譲りくださいませ。神父長さまがエミーリア様を女性として愛してらっしゃるのは...先程ずっと聞いておりましたので...お二人の恋人としてのお時間は致し方ないと諦めますわ。ですが、わたくしがエミーリア様を愛する気持ちもお知り置き頂きとう存じます。」
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