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~2話~

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トロリとした粘度のある液体をイースさんが小さな壺から手のひらにたっぷりと取る。

両手のひらを合わせ、幾度か擦り合わせると、くちゃ...くちゃ...と音が鳴る。


「聖女様は、お胸がおありですから、肩、凝って仕方ないですよね?揉んで差し上げますよ」

イースさんの手がぴたり、と胸に充てられる。

掬い上げられ、形が歪に為る程に、もにゅもにゅ...と捏ねられる。

人指し指と、中指の間から、胸の尖りがつき出す様に、幾度も握られる度に顔を出す。


「ゃ...ッやだっ、それ、ゃ...です...。」

必死に頭かぶりを振るけれど、ノースさんは唇の端をニヤリと上げて、「大丈夫です。俺は貴女を気持ち良くしてさしあげるだけ。」と止めてはくれない。


「ノースさんっ、これ、ゃ...ですっ...やめてくださいッ...お願ぃ...」

筆頭のノースさんが止めてくれたら、きっと皆が離れてくれる、とお願いをするけども、浮かんだ涙をそっと親指で拭われる。


「エミーリアさまの涙は清らかですね。美味しそうで、堪らない。」


腕を肩よりも上に上げられ、ノースさんはそこへ頬ずりすると内側の柔らかい二の腕を吸い上げる。

そのままノースさんの手に片手を繋がれて、口付けは、脇へと続けられる。

「なっ!!やめて、そんなところ!やめてくださいっ」


「此処からエミーリアさまの匂いがするんです。甘くて、甘くて、食べてしまいたい。」


揉まれて歪になっている胸の横で、ノースさんが脇に幾度も吸い付く。

彼の髪が時々尖りに掠めて、くすぐったい様な何か強く耐え難い疼きが、そこに生まれる。


「おや、聖女様、やっぱり凝ってますよね。乳首が硬くしこってきましたよ。揉みほぐして差し上げますよ。」

イースさんの両手の親指と人指し指と中指が、きつく立ち上がった尖りを、引っ張る様にクニクニと動いた。


「んあっっ...!!」

ビクンッと勝手に体が跳ねる。


サウスさんが持ち上がってしまった腰を押さえてくる。

「聖女さま...聖女さま...神父長さまより聖女様の淡い繁みを刈る様に申し付けられております。俺、床屋の倅なので、腕はいいんです。怖くないけど、動かないでくださいね?怪我させたくないんで。」


サウスさんに、ウェスさんが泡立った容器と鈍く光る刃物シザーを手渡していた。


「え?...え?、ゃ、ゃめてください、そんな...嫌です!」


「僕、見守りますね?エミーリアさま。」

「私も手伝いますよ、エミーリアさま。」


ウェスさんと、ノースさんが私の足を大きく開かせた。

イースさんは、私の胸を揉むのを止めて、両腕を肩ごと押さえてくる。

「動かないで?聖女様。」


温かい刷毛が、そこを撫でた。

たっぷりと塗り着ける様に幾度か動かされる。

ゾクッゾクッと何かが沸き上がるけど、それよりもそんな場所に刃物が押し充てられる恐怖に拒否の言葉を紡ぐけれど。

「エミーリアさまのおまんこ、可愛い。ぴくぴくしてますよ?」

ウェスさんがクスクスと嬉しそうに笑う声と、

ノースさんが、近くで吐息の様に吐く熱い呼吸が、人に見せないその場所へ当たるのが判る。


ショリ...。

冷たい、と思った瞬間、剃り落とされる音が聞こえた。


「ひ...っ!!」

「動かないで。」

サウスさんの声と共に熱い手のひらが肌を掠める。


ショリ、ショリ、ショリ...。

軽く肌に当たる冷たさと、滑り落ちる泡が、怖くて動けない。

足の付け根も、全てに刃物が薄く軽く当たる。


そんなところまで、生えているの...?

不安に為る程、股間のあらゆる場所から、ショリショリと落とされる音がする。


「終わりましたよ。綺麗にツルツルになりました。美しいです...エミーリアさま。」

サウスさんがつるり、と丘を撫で、温かいタオルでそこを拭う。


「ね?怖くないでしょ?」

イースさんが笑う。

足元からそこを覗くウェスさんも、ノースさんも、頷いてこちらを見ている。


「...はい...怖かったけど、怖くなかったです」

そう頷くしかなくて。


小さく震えるのが止まらないのは、此処から何をされるのか、どうしたらいいのかと言う恐怖と、メイドさんだと思っていた皆さんが男性で、ずっと色々お話したかったのに、こんな形での会話になるなんて...と、良くわからない気持ちが、ぐるぐると混乱して渦巻いているせいかもしれない。


「綺麗にツルツルに成られました事ですので、これより、神父長からのカリキュラムを始めさせて頂きますよ、エミーリアさま。」


おへその周りの柔らかなお腹をさわっさわっと撫でながら、ノースさんがにっこりと微笑んだ。

今までの微かな笑みとは違い、はっきりとした笑み。


初めて見るノースさんの綺麗な微笑みは、とても剣呑で、柔らかい笑みなのに危険な雰囲気で...ノースさんの言葉を合図に、イースさんの手の動きが再び始まって、ウェスさんが何かビロード貼りの箱を持って、サウスさんへ手渡しながら、クスクスと嬉しそうに楽しげに笑う。


「ね?エミーリアさま、僕たちいつも以上に頑張って、全てとろとろに揉みほぐして差し上げますからね。沢山可愛いお顔、見せてくださいね?」

弾むように楽しげにウェスさんが紡ぐ言葉と共に、私の両膝を立てながら、グイッと開くように押し付けられる。


「きゃあッ!」

「うわっ、きゃあだって。可愛いなぁ。」

開かれた脚を必死に閉じようと力を籠める。

それなのに、軽く押されてるだけなのにまるでびくともしないウェスさんの手。


「ウェス、そのままで。神父長からお預かりしているアレの支度をするから。」

サウスさんが箱を開けて、中身を取り出す。

乳白色の卵...?

硬質な質感が見るだけで解るそれを、サウスさんの手のひらでコロコロと転がしている。

「こうして人肌に温めてあげると、神のお力で震えるんだそうですよ。コレ。」


サウスさんの手の中のそれは、しばらくするとヴゥーン...ヴゥーン...ヴゥーン...と、羽音の様な、でも、聞いたことの無い妙な音をさせ始める。

「これ、ロウタァっていうらしいんですが、個人個人によって神の祝福が違うので、ロウタァの振動も俺とノースとじゃ違うんですよ。感じてくださいね、聖女様。」


私のお腹を挟んで、サウスさんとノースさんが立つ。


よく見ると、ノースさんの手の中にもロウタァがあり、ヴーッヴーッヴーッとこちらは唸るような音を立てていた。


「我等、全身全霊でお仕えいたします。聖女エミーリア。」


ノースさんの宣言にも聞こえる厳かな声。

パンを捏ねる様なもみくちゃな揉み方でひたすらやわやわと乳房を捏ねていたイースさんが「そろそろ本気で行きますよ?」って耳元で笑う。

ウェスさんのクスクスと嬉しそうに笑う声と、奇妙な振動音と、四人に囲まれながら、全裸で寝そべる異常。


そして浴室であるせいか、熱気がしっとりと肌にまとわりついて、火照りだした体を更に何かに向かって煽っていくようだ。

これは湯浴み、湯浴み...だよね?

「湯...湯浴み、ですよね?」


恐る恐る小さな声で聞く。

「エミーリアさま。湯浴みのお時間ですが、聖女様としてのご教育を受けるご準備でもあります。どのように、というのはサンドーム神父長官より訓示されておりますので、お任せください。」


ノースさんがそう言いながら、ロウタァを私の体に押し当ててくる。

そのまま、コロコロと転がされるとブルブルとした振動が体に伝わる。

お腹をくるくると押されるだけで、振動が深く波を打つように其処から伝わってくる。

くすぐったい様な、じれったい様なそれ。

ウェスさんが肩で膝を押さえるように、私の体に近づいて両手のひらで太ももの裏側を柔らかく揉みながら、ゆっくりと手を動かす。


イースさんがクニュゥッと音がしそうな程、胸を掬い上げては、軽く潰れる様に手を押し込んで時折ふるふると乳房を脇側から底部を揺する様に繰り返し揉んでくる。じっくりとした動きに波打つ快感にグズグズに溶かされていく。


サウスさんの手のロウタァも、私のお腹周りから脇腹へと転がしていく。


粗い呼吸の従士達に、徐々に火照っていく体...。

ゾワゾワ...と私の中から何かが沸き上がる。


「ん...ふぅ...んッ...んぁ...ッんんっ」


鼻から抜ける様に甘い痺れが吐息になって洩れていく。

浅い呼吸が、触れられ、何かに焦らされ、追い立てられる様に更に体の熱を煽る。

掠める指が敏感な場所を浚う度に、甲高い嬌びるような吐息混じりの声となって、短く漏れ出す。

「あっ...あっあっ...んんんっゃぁッあんっ!!」

ウェスさんの手が足付け根に、ゆっくり触れて、そのまま、ぷちゅん...と小さく水音を立てながら何処かに潜った。

くんっとウェスさんの指に中を弾かれたのが、わかる。途端に鋭い甘ったるい声が勝手に漏れた。

トンットンットンットンッ...トンッ!

「あんッあんッあんッあッん...アアアッ!!」

指が中を弾き続け、その度に勝手に下半身が跳ねて、ひときわ強く中を弾かれると、爪先まで一気に体が強張って弓形に跳ね上がる。

自分の体が意思とは全く違う動きをする。


なんで?

なにこれ、なんで?


不安になりながらも、どこか深いところで何かに納得している自分が、火照る中に微かに見え隠れし始めた。


「イース、液壺を僕にもちょうだい?」

「ああ、ほら、そこにある。これは使いすぎると聖女様が気をやり過ぎるらしいから、手で温めてからだそうだ。」

「へぇ~。」


緩やかな刺激にひくひくと悶える私の上で、従士たちの平然と交わされる会話が、私の理解の範疇から反れていく。


「イカせまくっていいって話だったよね?ならいいんじゃない?その方が僕が楽しいし。」

片手でトンットンットンッ...と刺激を送られながら、ウェスさんが朗らかに笑う。


「ウェス、イース、エミーリア様が怖がるといけない。やさしくな?」

と言うノースさんは、ウェスさんの腕に触れそうな近くへ...私の中の入口の豆粒のような突起が隠れた場所を開いて、クリクリックリクリッと円を書くように撫でてくる。


「やっ...それッ...あっあっ...あっあっダメですッダメぇんんんんんっぁッぁッぁぁあンッッ」

一撫でされるだけで、きゅんきゅんと中から沸き上がる何か...。それに捩れる程に体が強張って渦巻く熱が高められていく。


「へいへい。聖女様慣れてないもんなぁ。了解。」「もちろんだよ!僕、エミーリア様気に入ってるし。」

軽い口調のイースさんも、明るい声のウェスさんも、その間も手はまるで止めてくれなくて。


「んんんんんっあッあッあッあッはぁはぁはぁ...ぁぁんんんっイッ...クゥ!!」


「あれ?イッちゃった?もー、ノース!ダメだろ。クリトリスはまだエミーリア様には早いんだってば。」


「ウェス、しかし女の体はここが一番早くイケるんだろ?なら、早い方が良くないか?」


「ゃ...ぁぁぁッも、ゃです...ぁぁッんんんんんっクリクリしないでぇぇ強いッ強いのぉぉっあんあんあんあんッ」


甘ったるい声が鋭く短く漏れ出す。

くちゅくちゅくちゅ...とウェスさんの指が動くと激しく水音が溢れて、何かがお尻の方へと垂れていく。


「ゃ...ぁッやだぁっっやだやだやだぁっっゃめてぇぇぇッぁッぁッぁあぁぁぁあっんんッ」

恥ずかしさに、膝を閉じたいのに...ウェスさんの肩が邪魔している。

ノースさんが手を休めずに、私の顔を覗いている。


「おお、すごい絶頂だなぁ聖女様。ビンビンに乳首尖って堅くなってきたよ? おい、サウスそろそろロウタァこっちに当てて差し上げろよ?」

もにゅっもにゅっと揉みしだくイースさんがサウスさんと話し出して、サウスさんが無言でロウタァの先端を尖りに当てて


「きゃあぅんんんんんっぁぁあああッ!!!」


ジンジンと痛みすら覚えていたそこに、絶えず振動するそれが触れた。

ぬるぬるにされた胸が、熱い。

くちゅくちゅ...と音をさせている秘唇の奥が、熱い。

クリクリと撫でられている小さな尖りの場所が熱い。

熱くて熱くて...胸の奥から、体の奥からぐちゃぐちゃに何かが絡まって、大きくなって、高く飛べ...と、突き上げてくる。


ガクガクと震える体は、制御できなくて。

高く上がる甘ったるい声も、間断なく洩れ出て。


もどかしい様な熱い疼きが腰をガクガクと揺らす。


「あはは、気持ちいい?ね、気持ちいい?聖女様、もっとだよ?」

ウェスさんが上擦った声で、でも楽しそうに...ああ、子猫が獲物を捕らえた時の様な、そんな興奮した目をしながら、とろり...と壺の中身を私の体に垂らしていく。


「ひぅっ...冷たッ...んんぁッ...ッ..ふぁっ」

ぬとぬと...としたそれを片手で伸ばしながら、私の股間に塗り込めていく間も指で弾くのは止めてくれない。


「ああ!これなら滑りがいいから、ロウタァも刺激が強くないのかもな。」


「ノース、そろそろ中もふわふわに蕩けてきたし、ここに充ててあげたら?指より『イイ』と思うよ?」


ウェスさんとノースさんとの会話に、本能的に『それ』はダメ、と体が逃げようと動く。

「やべぇ今すぐ聖女様食べてぇなぁ...ちょっとだけ味見ダメなんだっけ?」

「イース、聖女様が閨儀を終えられるまでは、俺たちには制約の枷があるからな。実質無理だろ。」


私の喘ぐ声が耳に響いて、刺激で弓形に跳ねる体や、強張って力が篭る四肢の上で、四人の呑気な会話に涙が溢れる。

こんなに悶えてるのに...

こんなに高まっているのに...

こんなに、『欲しい』のに...


『欲しい』...?なにを...?


私はなにを『欲しい』と感じてるの...?


思考が千々に乱れる隙間をついて、イースさんがロウタァを激しく感じてしまう場所へ...立ち上がっているのが自分でも判るほどに、尖りきった肉粒へと押し当ててくる。


「んああああああッッッ...!!!」


高く真っ白な世界に弾けた。


その白い世界の奥に


引き締まったお顔の目を閉じて、眉を寄せながら、ぽたぽたと汗を流されながら、私を突き上げながら揺さぶる神父様のお姿が見える...?!



「ぁ...っ...はぁん...ん...」


神父様のお姿と、ガイル神官様のお姿が重なって、私の体で果てる様子が【記憶に甦る】。


う...そ...そんな...はず...ない......。

だって...私は...『これ』を知らない...。


「聖女様、エミーリア様...ロウタァをお体にお入れさせて頂きますね...?」


ぐぷ...ぢゅっぷ...


淫らな音と、それを飲み込んだのが中を抉じ開けられる感覚で解って。

ノースさんのあとに続いてサウスさんが押し込んでくる。

私のそこは、2つの小さな震える卵をあっという間に呑み込んでしまう。

中で激しくヴーン、カチッカチュ...ヴゥーッヴゥーッ...カチッカチュ...ヴーン...と音が重なりながらぶつかると、激しい稲光が瞼の裏に瞬く。


「んぎゅッッうううッひッぅっ!んぅっ...んあああンッッ」


耐えられない。

こんなの耐えられない...気持ちいいのっこれっこれ、気持ちいいっいやぁぁ...


叫んだ様に思う。

真っ白な世界が私を包んで、そのまま...その世界に包まれたまま、私は気を失った。



「あれ?まだクリトリスは早すぎたかぁ。エミーリア様、気絶しちゃったよ?」


くったりと全身の力が抜け落ちながら、それでも秘部はヒクヒクと呑み込む動きを止めず、堅く尖りきった乳首は紅く色付いて、大きな柔肉の上でふるふると揺れている。

そんな少女の上で、青年四人が手を動かしたまま『愛撫』を続ける。


「まぁ、神父長官からのロウタァを中に仕込むという命令は完了したことだしな。」

イースが汗で貼り付いた前髪を後ろに撫で付けながら、熱い息を吐く。


「...聖女様の体が馴染んでくだされば、閨儀の後で褒美も頂けるだろう。今日はこのまま洗浄して差し上げて、お部屋へお連れしよう。」

劣情をその目に穿いたまま、イースが少女の背中に手を入れ、ぐったりと意識のないその体を軽々と持ち上げたまま、湯船にゆっくりと浮かべる。


「俺、もう痛いくらいなんだけど...。」

長い髪をかき上げながら、サウスが情けない声で訴えるのを、一番小柄のウェスが宥める。

その口調も声も一番若く、高い変声期すら迎えてなさそうな澄んだ声なのに、表情は先程少女に向けていた様な幼げなものではなく、落ち着いた大人のそれだ。


「サウス、皆そうなる。...イース、枷を外したあとで、娼館でもおっパブでもイイからさ、おすすめ連れてけよ。...奢るから。」

首をぐるりと回しながら強ばりを解す仕草も、若者のそれというよりは、年齢を増した者の姿に見える。


「ウェスダーさん、ゴチでーす!」

ふざけた敬礼をしながら、イースが笑う。

さながら上司に集るお調子者の部下の如く。

そんな3人をまるで意に介さず、ノースは聖女の肌を軟らかなタオルで赤くならない様に、慎重且つ丁寧に湯で拭う。

無表情、と少女が思っている読めぬ顔ではあるが、その目は只ひたすらに狂信と言うほどの崇拝の色を窺わせている。

卑しき己の両手が尊き聖女に触れると、己の魂の不浄が清らかになるのだ、とでも言うように。

恭しく献身的に傅いて、奉仕する慶びに満ち溢れている。


「ノース?お前はどうする...? 聞くだけ無駄か。」

ウェスの問い掛けは、途中で苦笑いに終わった。

「後は任せる」とだけ告げて、3人は湯殿から退去する。残されたのは流れ落ちる湯の音と、白く煙る湯気と、うっとりと少女を拭う青年だけとなった。


「エミーリア様...」

腕に抱いた少女の額に口付ける。枷を着けた己の肉棒がギチギチと張り詰めて今にも破裂しそうだ。劣情を思い切り吐き出したい衝動が、先程のエミーリアの痴態を嬌声を脳裏に甦らせる。

しかし。それよりも。

この手に抱いた聖なる少女の...あの花祭りの日の聖なる花火を、思い出す度に震える程の感動。


あの聖なる花火の飛沫を浴びた。


野党討伐で下手を打った右足の腱の断裂。2度とまともに歩けないと診断され、やさぐれたまま、聖殿近くで酔いつぶれていたあの日。

光輝く飛沫を浴びた瞬間に、きらきらと光ながら完治した奇跡を思い出す度に。

光を辿り、聖殿で見たのは神父の両腕に抱き上げられながらも輝く聖女誕生の瞬間だった。

生涯を捧げると、その場で跪いた。

神ではなく、王にでもなく、この少女への生涯の忠誠と、魂からの信仰を誓ったのだ。

その聖女に仕える慶びは掛け替えのない至福。

この聖女を護る盾であり、剣である事の出来る幸福。

それは何物にも代えがたい悦びなのだ。

深く吐息をついて、ノースは少女を抱え直す。

「エミーリア様...ゆっくりとお部屋でお休みなさいませ。」


そっと滴を拭い、乾いた衣を着せつけると、再び抱き上げ静かに歩きだす。少女の小さな呼吸にすら陶酔しながら。



この聖女様を囲う離宮は、仕える者が最小限に留められている。毛氈の敷き詰められた廊下から、階段を上がり、聖女の私室へと向かう道すがら、誰一人とも会わないのも、ざらではない。

無人ではないけれど、人の気配のないそれはノースの脳裏に、この世界で聖女に仕える者は己独り...との、甘美なる妄想に耽るには充分な静寂。

腕に抱いた聖女の、先程の温かくしっとりとした肌を思い出す。

乱れる姿と、甲高く哭く喘ぎと、潤んだ相貌に一時収まりつつあった劣情が鎌首をもたげ、枷に包まれた其処がギチギチと今すぐに解き放て!と叫んでいるが。

それよりも。

聖女たるエミーリアに触れていられるこの役職を手放すような不埒な真似等、しない。

あとで自室で十全に思い出しながら吐き出せばいいのだ。

神官職ならば、生命の発露を捧げられるのを羨ましくは思うが、自分は聖女の盾であり、剣であるのだから。このままで、いい。


エミーリアの私室の扉を肩で開けながら、薄暗がりの部屋へそっと入る。寝台へと寝かしながら、国生母神の雫という水をエミーリアの薄く開いた唇に垂らす。

これで、神父長官からの命令の全ては完了だ。


唇に落とした雫が、エミーリアの中に飲み込まれて、少女の呼吸は、一瞬深く安堵する様な溜め息を漏らし、穏やかな睡眠のそれへと変わる。

これで、湯殿の時間が全て、記憶の奥底で蓋をされた。

自分達が男だということも、あれだけ乱れさせた時間も、全て無くした状態に。

それでも、聖女の胎内に残る2つの神聖な聖具はいつでも発動可能で。

触れて神力を籠めると、聖女の中で内震えるのだ。

神の御業の発現である聖女を崇めたい気持ちと、この純情な聖女を、己の獣の様な荒ぶる欲の最中に堕としたい気持ち。


なんて甘美なんだ。と、ノースは思う。


そっと、聖女の髪を指先で梳かす。

柔らかくて、ふわふわとしていて、細い髪が、一本、ノースの指に絡んで抜け落ちた。

「褒美をありがとうございます...。」

ハンカチに包んで、そのままポケットへと入れる。

これで己の浅ましい肉欲の塊を結わえて戒めよう...。

そんな思い付きが、至上の悦びを与えてくれる気がして、ノースは微笑みながら、聖女の部屋を後にした。



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