次男坊と言っても末っ子です。

もちた企画

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第20話 ミツの授業

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知らなかった。
周囲がそんな顔をして口を開けている。
また静まり返る周囲にそっと近づくスライム。
ボクは立ち上がり、棒を握りしめる。

「せいっ!」

いやだからハル!!

「ちょ!ボクのっ!」

「危ないと思ってな」

「絶対違う!ボクが立ち上がってから突っ込んできたじゃん?!」

「二人静かに!!」

…怒られた。

「そ、その貰えばいいっていうのは――」

「うぬ、足りなきゃ補えばいいし、無くなれば貰えばいいぞ」

「ちょっとコツがいるけど」と言葉を濁しつつリールの手を取る。

「ほら、大丈夫そうだ。さっきゼラに開けられたんだろ」

「え?何何?」

「怪我治した時だ、無理矢理治したろ?見てたぞ」

「ぁー、やったね。え?無理矢理?」

「例えば魔力がある場合、それを流れる魔力循環ってのがあるんだぞ。魔力枯渇や元々魔力がない場合はその循環が閉じてるはずなんだぞ」

「まずは循環口の手足をほぐしてそこから流すんだぞ。ゼラは押し流したみたいだけどな」

「いやぁ」

「褒めてないぞ?抵抗されたら治すどころか吹き飛んでるはずだぞ」

「おいっ!」

「あははー」

「だから大丈夫だぞ。今は開いてるから魔力もらって少しずつ慣らせば自分の魔力になるぞ」

「ミツ殿、お願いできるだろうか」

「自分の属性に合わせた方がいいぞ。今いる中じゃアサンってのが適任だと思うぞ?」

「うーん、やり方教えてもらえますか?魔力をあげる方法ってどうやるの?」

「簡単だぞ。こっちの右手を左手で左手を右手で触れて魔力を右手から左手に相手を通してぐるぐる回せばいいぞ」

リールに近づき手を取るアサン、リールは「感謝する」と頭を下げるがアサンは「そんなそんな」と手のひらを…。

「しないよ?」

心を読まれた。
火の精霊が近くでフヨフヨしている。
あいつか!あいつがチクったのか!!

「ゼラは顔に出てるだけだぞ?」

ミツ、お前もか。

「何がだ?」

リールさんなんでもないです。

「まずはゆっくりと、だぞ」

ハルは暇なのか少し距離をおいて魔物を倒し続けている。
リターナさんはなぜか隣に座り、「あのね」と小声でボクにお説教中だ。…解せん。

「そうそう、ゆっくりゆっくりだぞ」

「なんか、身体が暖かい」

「それがアサンの魔力だぞ、しっかり受け取って自分の魔力にするんだぞ」

「でもどう受け取れば良いか…」

「簡単だぞ、火の魔法で明かりを作れるようになればいいぞ、ほら」

眼の前に赤みを帯びた土が盛り上がる。
かなり熱い、これってなんだ?

「あっつい!これ何?」

「マグマだな、地面のそこにある鉄を溶かす自然界の最大熱だ」

「なんで今?」

「火の魔法は明かるくなるだけじゃない、熱く燃えて周りにも影響がでるんだぞ。そのイメージは一度経験すれば想像しやすいからマグマを見れば一発だぞ」

「そりゃそうだろうけど、熱すぎ」

「あっついわね」リターナさんも風で熱を逃がそうとするんだけどマグマから火が昇ってくるのでやめてもらった。
ボクとリターナさんはハルのところにいって水をもらいハルはマグマを見たいと行ってしまった。

ガルンはリールの側から離れず見守っている。
もう1人の従者?なんて名前だったか…。
休憩中なのに頑張ってゴブリンを叩いていた。

2分ほど経ったころリールの指先が光る。
無事に魔力を貰えたようだ。
「おぉぉ」と感嘆の声が聞こえる。

「アサンもういいぞ、休憩取ったら大丈夫だぞ」

「う、ん……」

とその場に塞ぎ込むアサンをボクが横に寝かせる。
火の精霊はちょこんとアサンの隣で動かなくなった。
…寝た?

「うん、うんうん」

ミツはリールの手を掴んで頷いている。

「魔力戻った??」

「そのようだ、感謝するアサン」

深々とお礼をするリールとそれに続くガルン。

「しばらくは馴染ませて無理はなしだぞ、魔力を循環させることだけやるんだぞ」

「はい、ミツ殿」

ミツはボクのところにかけてきて声をかける。

「もう少し時間かかるからゼラは今のうちにゴブリン倒してくるんだぞ?」

「あ、そうか」

「ゼラ1人じゃ大変だろ?俺が一緒に行くよ」

ハル…なぜだ。

「教育担当の自分がいるから大丈夫だぞ」

「だそうだ!ハル、すぐ戻ってくるよ」

「気をつけなさいよ?アサンの目が覚めたら私たちも向かうからね」

「はーい」

ハルが戦っていた場所より先に向かう、しばらく前に進むとゴブリンにも遅れを取るボクにフォローを入れながらミツはうーんと唸り顔を向けた。

「ゼラは武器苦手か?」

「ううん?なんで?」

「ハルって呼んでる子供より手際が悪いぞ?あの子の教え方が変とも思えないぞ」

ズキュンっ

「あとその棒?それって槌みたく先端を大きく出来たりしないか?かなりの威力アップになると思うぞ!」

「それいいね!」

地面に棒で絵を描く。
つちってこんな感じ?と線でかく。

「こんなふうに?」

「そうそう、いいぞ!これなら思うけど一撃必殺だ」

なるほど。カッコいいじゃん。

「どれどれ~」

にゅっと顔を出す槌を引っ張り出す――引っ張り出せない?!

「だぁぁー!重すぎる!!」

「引っ張り出せないぞ、そこで身体強化っていう魔法が活きてくるぞ」

「なにそれ」

「今ゼラは6歳だ、それでどんなに鍛えていたとしてもこんな大きな槌を振るなんて初めから無理だぞ?さっきアサンがやって、リールって子もやってた魔力循環っていうのが身体強化の基礎になるんだぞ」

「……??」

「いや、なんでもないぞ」

首を横に振り目を逸らすミツ。
引っ張り出せない槌をむんずと掴みひょいっと上に放り投げる。

「えぇええ!!」

「とまぁ、これが身体強化だぞ!」

「すっごいやミツ!マッチョ~」

「だからこれが身体強化っていう魔法なんだぞ」

「魔力を体の中ぐるぐる回してその流れをずっとずっと早くしてみると点から線へ線から枠へ変わっていくぞ。その枠になった状態を維持するのが身体強化だぞ」

「つまり気合い?」

「ぇ?違うぞ?」

「わっかんないや」

「……まずは魔力循環からだぞ」

ふぅ、とため息が漏れた後にミツはボクの両手を取って魔力を流す。

「ミツの魔力はあったかいなぁー」

「自分の魔力が流れてるのがわかったらゼラも流すんだぞ?魔力循環はすぐできるようになるはずだぞ」

「はーい」

周囲には魔物がいて近づいてくるが今授業中なので魔法で倒していく。
ミツは「はぁ」とため息をつく。

「どうしたの?」

「いや、魔力循環してるのに魔法行使して探知と攻撃しながらっていうのが順番が逆だと思ってるぞ!」

「いやぁ、あはは」

「だから褒めてないぞ!基礎出来てないってのは危険だぞ。今教えてるのは基礎中の基礎だぞ」

「なんかわかってきた」

「うんうん、自分がしっかり教えるぞ」

「なんだ、循環ってやっぱ気合じゃん」

「うぬ?」

「ほら、こう練り上げる感じでしょ」

すくっと立ち上がり魔力循環を続けるボク。

「ゼラは魔力切れがないから出来ることだぞ?他の皆は持ってる魔力をいかに上手く練るのか模索して習得するんだぞ」

プンプンしてるミツを宥めて先ほど作った槌を持ってみる。ズズッ

重い。

もっと魔力を練ってみる。ズズズッ

ちょっと重い。

もっともっと。ズズズズッ

おぉ??

「持てた」

「うむ、出来てる。出来てるけど魔力放出量が多いからもっと落ち着いて体内で練るイメージだぞ」

確かに強風の中にいるようだ。ふぅ。

ガシャンッ
槌を落としてしまった。

「うーん、やり直しだぞ!!」






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