上 下
17 / 24

第17話 ダンジョン探索①

しおりを挟む
「あい!なんとなくわかりました。トラップは踏まない触れない近づかない」

「まず近づかない、かな」

「そう、探索に強い人がいれば心強いわね。ただそういう人ってもうパーティ組んでたりするから誘えないのよ」

書類を棚に戻しなったリターナさんはため息をつく。
階層を多く潜れば魔物も強くなるしトラップもあるから孤立なんかしたらすぐあの世行き。冒険者で恐ろしいのはこの奥まで潜った後の孤立だそうだ。
ゴクリとボクらは息を呑む。

「死なないために」と書かれた本にこう書いてある。とリターナさんは話を続ける。

「過信は怪我ではすまない、生き延びて伝えろ」

対策じゃなくて「こんなことがあった」と話す人々の話がダンジョン以外にももちろんあって街が消えたとか水が噴き出したとか歴史書としてそれらの話は綴られていた。

アサンは「また来よう」と呟きボクは隣で「しっかり覚えてね」と言ったらアサンに首を絞められていた。
ぐぬぬぅ。

ちなみにハルはご飯を食べたのでお昼寝中だ。
こいついいなぁ。

「とまぁ、行ってみますか」

「行こう行こう!」

「んぁ、え?もうおしまい?」

「先にダンジョン前まで行ってて、装備をここに預けてあるから着替えたら向かうわ」

「はいー」

「お先です」

「なんか飲みもんある??」

ハルとボクが水を飲みアサンは精霊と戯れていた。

「そういえば名前つけた?」

「名前はまだ~でも候補はあるんだ」

早くつけちゃえばいいのにとちょっと思ったがそういうのは違うよなと思い切り替える。

「そっか、じゃあ行こう!」

「すいません、もう一杯」

「ハルは魔法でも出せるんじゃないのか?」

「魔力消費して水飲んで何か楽しいか?」

「使ってなんぼだろ」

「なんぼってなんだよ」

「お先~」

「ぁ!行くよ」

「コップありがとうございましたー」


・・
・・・

ハルが最後に冒険者ギルドを出たはずなのにあっという間に追いつき追い越されてハルが先頭だ。おや??
ダンジョン前にあるルイス商店へ来たが店を閉めるのか店先の商品を片付けていた。

「うお?閉まるー」

「あれ?やめちゃうの??」

「違う違う、しゅくしょう?小さくするって言ってた。やっぱりボス出るから?冒険者だけの店にしようって話をしてたよ」

「そうなんだ」

「だからね、じゃーん!武器も置いてますっ」

「おぉ!」

「ハルは木剣で行く??」

「なんか小さいうちは金属ダメなんだってー」

「アサンはナイフ持ってたけどね」

「あはは、父さんの仕事で荷卸しとかあるから武器というより作業道具だね。今はこのロッドがあるし」

「魔法使いでさらに精霊もいるならこれだろうって父さんが持たせてくれたんだ」

魔法使いなら杖、これ常識です。と言わんばかりにロッドを見てうっとりするアサン。手に馴染む木の枝を使っているようで先端には赤い石が付いていた。
ボクの武器ってなんだろう……。

「今回は下見だもんね、ボクはこのまま行くよ」

「「 いや、ゼラは武器要らないじゃん 」」

「いるよっ!ボクだけ手ぶらっておかしいでしょ。後でお店の武器見させてください」

ぺこり。
なんなの??いいじゃん、自分専用武器って響きがほしい。

「あら?駆け出し冒険者なら武器の値段は見ておいた方がいいわよ~」

リターナさんが追いつき会話に混じる。
アサンが「たとえばこれは、ショートソード青銅で銀貨2枚」

「セイドウってなに?」

「材質だよ、剣は切れ味と耐久性だから青銅は手入れがかなり必要だけど他の鉄や銀に比べると安価なのがいいよね」

「俺は鉄より硬い<鋼のロングソード>だな、騎士のみんなはそれだし」

「あのでっかいのがそうなんだ、それっていくらくらいするの??」

「鋼の割合によるけど金貨5枚~かしら?」

「きんかっ?!」

「作るのにも技術が必要なのよ?ドワーフっていう種族に頼むと二桁金額が上がるわ」

「性能は上がるけど…」と言葉を濁す。
さっきの銅貨じゃ全然足りない。

「ハル、アサン。お金稼ぐぞっ」

「「 お~う 」」

「ふふ、じゃあ行きましょうか?何階を目指すの?」

「さっきここのダンジョンで3階にいる魔物は魔道具に使える魔石が出るってアサンが言ってたから父さんの仕事で使う魔石がほしいかな」

いっぱいくっつけてそこそこ作ったけどまだまだたくさん持って帰って父さんを驚かしたい。

「いいわね、さっき食べた串焼きの肉も出るから時間を気にせず食事と狩りができるわ」

え?何それ?

「どゆこと??」

「さっきのお店のお肉のことよ、ダンジョン産なの。さっき私も納品の手伝いだったのよ?」

「「 おおぅ!! 」」

「ゼラ、無料で食い放題だ!」

「おうよ」

ガシッ

「あはは」

「ちゃんと焼いてね?!」

わぁってるわい。

「じゃあ2階はスルーでどんどん行こう!」

ボクら3人と引率のリターナさんはダンジョンへと入って行った。その時ふとリターナさんの教育係の費用を聞いてなかったのだがあまり気にしなかった。

さぁ、やってまいりました!冒険者初のダンジョン!
見た目は変わらず意気込みは以前の倍だ。
スタスタと階段に向かって歩いていく。


「魔物は1階がスライムで2階が……」

「スライムも少し出るけどほとんどゴブリンかウォーウルフね、ゴブリンは集団だったら逃げながら戦わないと不利になるわよ?振り返ったらいると思って動きなさいよ」

「何それ恐い」

「魔物は全部襲ってくると考えて周りをちゃんと見なきゃですね」

「そうよ、だから魔法使いは戦闘が始まったら忙しくなるの。1箇所から出てくるわけじゃないからね」

「取り囲まれたらどうすれば??」

「状況よるわね、頭数が少ない場所を切り開いて一点突破するか味方が車で防衛するか…どちらにしても出来なきゃあの世行きね」

「ぇぇ…」

「ずっと殲滅してればいいんじゃね?」

「ハル様さすがです」

ボクは両手を擦りながらハルを讃える。

「うーん。ずっとは難しいわね、こっちも体力の限界があるから休憩が出来なきゃ詰むわ」

「そうだぞ、ハル。考えなしじゃないか、まったく!」

「ゼラお前~」

「あぁそれとゼラ」

「はい?」

「ギルドマスターから何かあれば報告しろ。だそうよ?アンタたち何やったの?」

「あはは」「あはは」

「??」

ボクとアサンはお互い目配せして笑い合う。

「さぁ、リターナさん!行きましょうか」

ボクらは地下へと急いだ。
好奇心がそうさせるのか長居するとボスと出会うと思ったからかは定かではない。






━━━━━━━━━━━━━━━━━━

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
応援やしおりがとっても励みになりますので、
ぜひよろしくお願いします!
次回もお楽しみに!
ぜひチェックしてくださいね。

コメントやメッセージもお待ちしています。
皆さんの感想を読むのが楽しみです!
もし気に入っていただけたら、お友達にも教えてもらえると嬉しいです。
一緒に物語を盛り上げていきましょう!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。

ねんごろ
恋愛
 主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。  その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……  毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。 ※他サイトで連載していた作品です

処理中です...