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第14話 魔石をくっつける

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第14話
「ゼラ、おはよう」

「おはよう父さん…」

ぉゃ?早くない。眠気眼をこすりながら周りを見るが暗いまま。おはようじゃない、朝じゃない。

「どしたの??」

「いや、あはは瓦礫の撤去が問題だったからそれが片付くと思うとワクワクしちゃって…」

子供かよ!

「そうなんだ、大変な問題だったんだね」

ボクはそう言うと着替えて外に出る。スライムさんは寝てるようだ。目を閉じてヨダレを垂らしている。

「父さんそういえばさ」

「ん?なんだ?」

「スライムさんに名前をつけてほしいんだけどどうかな?」

「なんでだ?ゼラが連れてきたんだろ??」

「いやぁ、やっぱこの家の主人に名前つけてもらった方がスライムさんも喜ぶかなぁって」

「ふむ……」

「じゃあスライムだからスライムでどうだろうか」

「ん?」

「だからスライム」

「名前が?」

「そう、スライムさん」

「うーん」

いっか?良いのか?母さんに聞いてみるか。

「母さんにも候補お願いしようかな」

「ん、ああ!そうだな!」

「声がすると思ったら、2人とも早いねぇ」

「おはよう母さん」

「おはよう」

「母さんはスライムさんの名前って決めてたりする??」

「そうねぇ、グラトn――」

「ボクがつけようかな?」

「スラさんにしよう!簡単だし、父さんの意見も汲んで」

「スラさんかぁ、いいね」

「おはよう、スラさん」と頭を撫でる。プルプルっと動いて目が開く。

「今日から君の名前はスラさんだ」

ペッカァァァと光るスラさん。
朝日が丁度重なって赤白い光りに包まれている。

「なになに?!」

母さんと父さんはあまりの光量に腰を抜かしていると光が収まりさっきまでのスラさんがプルプルとその場で振るえていた。

「大丈夫?スラさん」

近づき頭を撫でるとさっきと同じくプルプルしている。
大丈夫そうだ。
両親も起き上がりスラさんを撫でる。
朝ごはんの途中だったからとじゃがいもを持ってきてスラさんに与えた。
普通に食べているようだ。

「なんともなさそうだね」

「じゃあ作業に入るよ」と道のそばを畝が続く、散歩しながらだから往復すれば丁度朝ごはんだろう。
スタスタ歩いて畝に変えながら進む。早朝の散歩は気持ちがいいけどなんで父さんも一緒に来てるんだろ?

「父さんは家にいていいよ??」

「いやいや、何かあってゼラが倒れると大変じゃないか?もう少しで猫宿に着くからさ」

確かに目と鼻の先だ。そのまま進むと宿の脇に瓦礫が積み上がっていた。そこに焦げた跡もあった。

「あれが父さんの火傷の原因?」

「そうなんだよ、急に燃え出してな」

「挟まって動けないのに後ろから火が迫って、あれはビビった~」

思い出して苦笑している。
なんで燃えたんだろ?

「なんか魔道具が反応して火が出たらしいぞ?知らないけど」

「ふーん」

治ったから良かったけどね。
不審火じゃないならいいか。

「っとと、ここまで繋がれば大丈夫そうかな??」

畝は猫宿にまで延びて止めた。

「ありがとう、ゼラ。こりゃ今日は忙しくなるなぁ」

ルンルンで帰路につく。
家からは肉の焼く良い匂いがした。

家に帰り朝ごはんを食べ終わると早速父さんはスラさんに頭を下げてお願いしていた。
そんなことしなくてもやる気満々のスラさんだった。

「これが終わっても俺の仕事の手伝いをお願いしたいんだがどうだろうか?」

ブモンッブモンッと跳ねている。
たぶん、いいよって言ってるね。

「いいみたいよ?あなた」

「ミネアは分かるのか?!」

「動きでなんとなくね、じゃあお願いね?スラさん」

ブモンッブモンッ何度も跳ねて頷くスラさん。
家族の一員になれたみたいで嬉しいのかな?

「ふふ、じゃあ行ってきます」

「いってらっしゃい」

「気をつけてねー」

「ボクも行くかな?」

「あ、ゼラは水お願いね」

「そうだった!!」

ハッとして声をあげて母さんが驚く。
瓶に手ぶら倉庫じゃなくて収納魔法に入れておいた水を入れる。あっという間に水でいっぱいになった瓶を見て母さんが驚いていた。

「えぇ!どうやったの?!」

「昨日池の水を魔法で入れておいたんだよ~」

説明は難しいと判断してそのまま伝えた。

「んじゃ今度こそ行ってきます」

「は??え?あ、いってらっしゃい」

ブンブンと手を振り走り出す。
向かうはもちろん池の果樹園(予定)だ。
えーっとやることが……。

・ノームのミツを呼ぶ
・魔石をくっつける方法
・ハルとアサンを連れて冒険者ギルドへ行く
・冒険者登録をしてダンジョンへ

よし、最初は。

池に着いたので今日瓶に入れた水を補給する。
この一手間が楽をするコツだな。

ミツは呼んでって言ってたな。

「ミツさんやミツさん、いますか??」

「こ!ここにいるぞ!」

「おぉ!呼べた~」

ミツの手を取ってぐるぐる回った。意味はない。

「じゃあ続きからな!」

手に持った魔石を二つ合わせる。ボクの収納魔法で取り込んでおいたスライムの魔石だ。

「これをこうしてこうだ!融合」

ニュルンと二つ重なった魔石は水みたいに柔らかくなって少し大きくなった。ほんの少しだ。

「これは…どうなったの?」

「説明するぞ!」

「魔石は単体だ」

魔石を並べて指差す。

「それは合わさって大きな単体になるんだぞ!普段は単体のままだ!そうじゃないと魔物同士がくっつきあっちゃうからな!」

なるほど、偶然で重なることはないってことか。

「でもこうやって重ねて“融合”ってすると……」

ニュルンとさっきと同じように少し大きくなった魔石になる。

「これは最初、デッカい一つの魔石がバラバラになって魔物に吸着、くっついたって話が有力だぞ!」

「きゅうちゃく?魔物は子供居ないの?」

「いないぞ!魔石がくっつくと魔物になる。生き物じゃないから死骸が残らない」

「え?じゃあ魔物って生き物じゃない?」

「生き物の定義、これを生き物とするってのがあるけど魔物に適応すると大変だぞ?毒とかマグマとかとても生き物として生活ができない環境でも存在するんだぞ!」

「じゃあ仲良くはなれない??」

「いや、それも魔物によってだぞ?敵対するのは生活を乱されたり攻撃されたりしたら誰だって怒ると思うぞ!」

「ダンジョンんだとどう?皆倒さなきゃボクらがやられちゃう」

「確かにダンジョン、封印の穴は敵対する魔物が大半だと思うぞ!それは自分の領域に入ってくるからだぞ!」

「ミツは魔物?」

「オラは精霊っだっぞっ!!」

ふんぬーと両手をあげて怒っている。
「とりあえず…」魔石はいっぱいあるのでジャラジャラーと出して融合をお願いする。これなら父さんの言っていた魔道具で使う魔石は簡単に手に入りそうだ。

「ゼラもやって見ればいいぞ!こういう流れだ!」

融合って言うから何か考えるのかと思ったら指でなぞるだけっぽい。

「融合」

ニュルン。……できた。

言い方悪いけどこれも地味だな。
小さい魔石を板の上に乗せて一個ずつ魔法をかける。
結構な数があったはずなのに父さんの言っていた魔石の大きさにできたのは少なかったけど作れたから収納魔法にしまう。

「じゃあ次、冒険者登録だ!」

「ようやく自分の出番だな」

行こう行こう!ミツは両腕を伸ばすとボクの服を掴んで肩に乗ってくる。池の果樹園(予定)も様子見て変わりない。
ハルは練習だと思うけどアサンはどこにいるんだろう?
一応冒険者ギルドへ向かってみることにした。






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