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第一章 伯爵の策略と子爵の苦悩
第9話 困惑の伯爵は唐突に
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第9話 困惑の伯爵は唐突に
クレール・ド・リヴィエール伯爵side
・・・・・
こちらの計画に賛同していただき感謝する。
牽制が目的だ。少しは死者が出るだろうが嫌いな部下の兵なら少なくしても良いだろうと考える。
其方が現れた後、隊の長が名乗りを上げる。あとはこちらの退却まで時間をくれれば今年はもう小競り合いも無いだろう。一緒に歴史に名を刻もう。
親愛なる隣人より
・・・・・
この手紙に結構の日付と時間、更には攻め入る人数までの記載されていたが鵜呑みにしすぎたか?
いや、条件は変わらないはず。
一体何が…誰が…あんなことを。
「クレール様」
計画はもっと小規模だったろうにあの数は異常だ。
伯爵は困惑し頭を振る。
子爵側に生き残りがいたのだ。
しかも帝国側の全滅、その数1万を優に超えている。
”死屍累々“とはこのこと。
「クレール様」
そもそも、牽制が目的と明記していたにもかかわらず如何にも占領目的だったであろう兵力は誰が見ても分かる。
帝国は私を踏み台にしたか?いや、そんなことが。
では、これまでの根回しは全て無駄??
「クレール様」
ぬぅぅ、今更だ。王になんと申せばいい…。
私は、この戦況を言いくるめる自信がないぞ。
「クレール様」
「誰だ、うるさいぞ!」
「カゲです」
「うむ、どうした」
「戦況がわからず混乱するのは当然です」
「…そうではない」
「はっ、流石我が主人」
「戦況というか現状把握か」
「左様でございます」
「敵地へ先回りしろ。いつも通りでいい。生き残りは生かすな!何が起きたか分かるものがいる方が負担になる」
「はっ」
「残った者は私と一緒にあの平地まで下りるぞ」
「「「「 はっ 」」」」
隊列を組み直し馬が進み遠くで談笑する兵士が見える。
「戦ご苦労、私はクレール・ド・リヴィエール。隣の領地で伯爵をしている者だ。こちらに子爵代理は居るだろうか?」
「は、はい!」
文官のように見える痩せた男が前へ進み寄り顔を見せる。
「そちか、こちらで詳細を知りたい。今の戦況はどうか」
「はっ!今すぐ!」
敵陣の動きがないために拠点へ移動した。
もちろん、我が領の兵士達が固まり警戒を続ける。
「知りたい、何がどうなっている?」
「はっ、私にも一方的な災害としか…」
「災害?」
「はっ、はい!白い人のようなものが戦場へ突如割り込み我らには手を出さず敵を一方的に倒し続けて、し、しばらくすると同じ形をした白い人たちが横一列に並び敵陣を相手に屠りながら進みました。」
震えを抑えるよう水を渡すが受け取らず話を進める。
「私は初めて見ましたが魔法での抵抗に白い人々は蹂躙する速度を弱めましたが空が暗くなって白い人々がこちら側へ戻ってくると巨大な岩?と言いますか山のようなものが空からこう…落ちてきたのです」
彼は何を言っているんだ?
「私は現実に起こっていることか分からず錯乱しましたが近くにいた者と確認しました…」
おえぇぇとその場で嘔吐をする彼は震えが酷くなっていた。臭いがひどく場所を変えたが水を飲んだ彼は俯きながら語りだす。
「そ、その後はご覧の通りです。先程まで命の取り合いをしていた者達は静まり返って、もう、呼吸すらしていません」
「なんと、では災害が起こったということか?!」
「はい、人がどうしたらあんな蟻を踏み潰すように簡単に、簡単に……」
「分かった、もうよい」
「だが、白い者はどうなった?こちらの味方ではないのか?」
「それが大きな岩が落ちてそれが消えた後は敵陣まで進んでしまい、誰も話しかけることができませんでした」
「今も敵陣に?!」
「はい、私が見たのはそこまででございまーー」
「報告いたします」
「早かったな」
「はっ!帝国側生き残りなしです」
「白い格好のやつはいたか?」
「はい?」
「いやいい、本当か?」
「はい、先ほど帝国側の拠点らしき建物も潰れて全壊していて死体は多数!生存者は確認されていません」
「…災害か」
「は?」
「いや、なんでもない」
「この者は如何いたしますか?」
「ふむ。つらそうだ、消してやれ」
「は、はっ!」
部下が文官に駆け寄り口を塞ぐ。
「……じゃあな」
後ろから手を回しヒュンと首にナイフを一線させると草むらに放り投げる。
「よい腕だ」
「畏れ多いことでございます」
「皆は聞いたか?災害にして好機を逃したが問題だけがまだある」
子爵領の農兵に目配せをして顎を上げる。
「この話、信じられないが帝国の兵が転がっていることは事実!子爵兵には悪いがこの戦、もらい受ける」
「掃討せよ」
「「「 はっ 」」」
◇◇◇◇◇
「「聞こえたね、メイちゃん」」
「はい」
「「なんとかできそう?」」
「もちろんです」
「「じゃあお願いね」」
「「ぁー…やっちゃダメだよ」」
「?、はい」
「「じゃ、お願いね」」
椅子に座っていた弟は立ち上がり外に出ようとする。
水晶から離れてもメイちゃん視点の映像が続く。
「父さんは大丈夫なの?」
心配になりつぶやくが弟は振り返り
「だいじょうぶ~」
そう言って出かけてしまった。
母さんはソワソワしながら水晶を揺らしている。
僕が見ずらいからやめてほしいけど心配だよね。
そいえばなんで外に行ったんだろうと弟を追ったらすぐ戻ってきた。
おしっこだったようだ。
「僕も」
「言わなくていいよ」
弟がジト目で返事をする。
TPOですか、そうですか。
家の外はいつもの景色でさっきまで見ていた水晶の光景が信じられない。
ここはこんなに平和なのになー。
周りの景色はいつもと変わらない穏やかで時間がゆっくり過ぎる。心地良い場所だ。
父さんが帰ってきたら畑の続きしないとな。
・・・そういえば水あげたっけ?!
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
苗植えてたなー(●´ω`●)
クレール・ド・リヴィエール伯爵side
・・・・・
こちらの計画に賛同していただき感謝する。
牽制が目的だ。少しは死者が出るだろうが嫌いな部下の兵なら少なくしても良いだろうと考える。
其方が現れた後、隊の長が名乗りを上げる。あとはこちらの退却まで時間をくれれば今年はもう小競り合いも無いだろう。一緒に歴史に名を刻もう。
親愛なる隣人より
・・・・・
この手紙に結構の日付と時間、更には攻め入る人数までの記載されていたが鵜呑みにしすぎたか?
いや、条件は変わらないはず。
一体何が…誰が…あんなことを。
「クレール様」
計画はもっと小規模だったろうにあの数は異常だ。
伯爵は困惑し頭を振る。
子爵側に生き残りがいたのだ。
しかも帝国側の全滅、その数1万を優に超えている。
”死屍累々“とはこのこと。
「クレール様」
そもそも、牽制が目的と明記していたにもかかわらず如何にも占領目的だったであろう兵力は誰が見ても分かる。
帝国は私を踏み台にしたか?いや、そんなことが。
では、これまでの根回しは全て無駄??
「クレール様」
ぬぅぅ、今更だ。王になんと申せばいい…。
私は、この戦況を言いくるめる自信がないぞ。
「クレール様」
「誰だ、うるさいぞ!」
「カゲです」
「うむ、どうした」
「戦況がわからず混乱するのは当然です」
「…そうではない」
「はっ、流石我が主人」
「戦況というか現状把握か」
「左様でございます」
「敵地へ先回りしろ。いつも通りでいい。生き残りは生かすな!何が起きたか分かるものがいる方が負担になる」
「はっ」
「残った者は私と一緒にあの平地まで下りるぞ」
「「「「 はっ 」」」」
隊列を組み直し馬が進み遠くで談笑する兵士が見える。
「戦ご苦労、私はクレール・ド・リヴィエール。隣の領地で伯爵をしている者だ。こちらに子爵代理は居るだろうか?」
「は、はい!」
文官のように見える痩せた男が前へ進み寄り顔を見せる。
「そちか、こちらで詳細を知りたい。今の戦況はどうか」
「はっ!今すぐ!」
敵陣の動きがないために拠点へ移動した。
もちろん、我が領の兵士達が固まり警戒を続ける。
「知りたい、何がどうなっている?」
「はっ、私にも一方的な災害としか…」
「災害?」
「はっ、はい!白い人のようなものが戦場へ突如割り込み我らには手を出さず敵を一方的に倒し続けて、し、しばらくすると同じ形をした白い人たちが横一列に並び敵陣を相手に屠りながら進みました。」
震えを抑えるよう水を渡すが受け取らず話を進める。
「私は初めて見ましたが魔法での抵抗に白い人々は蹂躙する速度を弱めましたが空が暗くなって白い人々がこちら側へ戻ってくると巨大な岩?と言いますか山のようなものが空からこう…落ちてきたのです」
彼は何を言っているんだ?
「私は現実に起こっていることか分からず錯乱しましたが近くにいた者と確認しました…」
おえぇぇとその場で嘔吐をする彼は震えが酷くなっていた。臭いがひどく場所を変えたが水を飲んだ彼は俯きながら語りだす。
「そ、その後はご覧の通りです。先程まで命の取り合いをしていた者達は静まり返って、もう、呼吸すらしていません」
「なんと、では災害が起こったということか?!」
「はい、人がどうしたらあんな蟻を踏み潰すように簡単に、簡単に……」
「分かった、もうよい」
「だが、白い者はどうなった?こちらの味方ではないのか?」
「それが大きな岩が落ちてそれが消えた後は敵陣まで進んでしまい、誰も話しかけることができませんでした」
「今も敵陣に?!」
「はい、私が見たのはそこまででございまーー」
「報告いたします」
「早かったな」
「はっ!帝国側生き残りなしです」
「白い格好のやつはいたか?」
「はい?」
「いやいい、本当か?」
「はい、先ほど帝国側の拠点らしき建物も潰れて全壊していて死体は多数!生存者は確認されていません」
「…災害か」
「は?」
「いや、なんでもない」
「この者は如何いたしますか?」
「ふむ。つらそうだ、消してやれ」
「は、はっ!」
部下が文官に駆け寄り口を塞ぐ。
「……じゃあな」
後ろから手を回しヒュンと首にナイフを一線させると草むらに放り投げる。
「よい腕だ」
「畏れ多いことでございます」
「皆は聞いたか?災害にして好機を逃したが問題だけがまだある」
子爵領の農兵に目配せをして顎を上げる。
「この話、信じられないが帝国の兵が転がっていることは事実!子爵兵には悪いがこの戦、もらい受ける」
「掃討せよ」
「「「 はっ 」」」
◇◇◇◇◇
「「聞こえたね、メイちゃん」」
「はい」
「「なんとかできそう?」」
「もちろんです」
「「じゃあお願いね」」
「「ぁー…やっちゃダメだよ」」
「?、はい」
「「じゃ、お願いね」」
椅子に座っていた弟は立ち上がり外に出ようとする。
水晶から離れてもメイちゃん視点の映像が続く。
「父さんは大丈夫なの?」
心配になりつぶやくが弟は振り返り
「だいじょうぶ~」
そう言って出かけてしまった。
母さんはソワソワしながら水晶を揺らしている。
僕が見ずらいからやめてほしいけど心配だよね。
そいえばなんで外に行ったんだろうと弟を追ったらすぐ戻ってきた。
おしっこだったようだ。
「僕も」
「言わなくていいよ」
弟がジト目で返事をする。
TPOですか、そうですか。
家の外はいつもの景色でさっきまで見ていた水晶の光景が信じられない。
ここはこんなに平和なのになー。
周りの景色はいつもと変わらない穏やかで時間がゆっくり過ぎる。心地良い場所だ。
父さんが帰ってきたら畑の続きしないとな。
・・・そういえば水あげたっけ?!
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
苗植えてたなー(●´ω`●)
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