The Dead Crisis‐デスゲームに巻き込まれたけど生き残る!

Bastion

文字の大きさ
上 下
12 / 42
バックストーリー集

バックストーリーNO.5 「War Type Automaton:Σ」

しおりを挟む
 NO.5 並行世界線0079

 開発者達から名付けられた名はギリシャ文字から取って『War Type Automaton:Σ』
 20XX年。エイクスヘブンマーセナリー社によって最初に作られた治安維持、軍事用として生み出されたオートマトンであるΣ。
 その銃撃戦等における高い汎用戦闘力、戦車形態への瞬時的な変形機構等と言った今までのオートマトンやロボットにはなかった独自の能力を保有していた。

 機械産業において、優れた実績を出していたエイクスヘブンマーセナリー社はこのΣを全面的に公開した事で、ロボット及びオートマトン産業における地位を確立していった…。


 そして、正式に採用が決定されたオートマトンであるΣは各地域の治安維持や軍事転用が行われ、初のオートマトン兵として世界各地に進出していった…。


 しかし、エイクスヘブンマーセナリー社は利益と収益を第一とする非道な企業であった。

 所業は正に死の商人。対立する国家双方に、オートマトンであるΣを売り付け、多額の利益を生んでいたのだ。

 その結果、起こるのは簡単な事。Σは対立する国家双方に売り付けられ、エイクスヘブンマーセナリー社製のΣは結果的に同士討ちを始めていたのだった。

 敵にも、味方にも同じΣがいる。

 右手に直結式で装備されたアサルトライフルが火を吹き、戦車に変形すれば主砲のキャノン砲の砲弾やガトリング砲の弾丸の雨が容赦なしに牙を剥く。


 ただ利益だけを求めた、そんな些細な事でΣと言うオートマトンは各対立国家の兵器として、感情を持たないながらも無慈悲な同士討ちを繰り返していた。

 簡単な頭脳と知能を持つΣ達に、自分達が同士討ちをしていると言う感覚は存在しない。
 ただ、戦えと言うプログラムがその知能を完全に支配し、逆らえない様になっていたからだった。


 ◇◇


 そして、今日と言う日もまたΣは各地で対立する国家同士で使われていた。

 しかし一体だけのΣは互いに同士討ちをし、粉々に破壊されると言う末路を辿る事はなかった。

 とある戦争で、修復不可となるまではいかないものの戦闘用プログラムや各機能が停止してしまい、人や他のΣに見つからずに数年の間放置された一体のΣが存在していた。

 機体本体は雨風に晒され錆び付いていく中で、その体は自然の一部として静かに利用されていくのだった。
 植物の根やツタに覆われ、葉が生い茂り、時には鳥や蝶が機体に乗り、そのまま時間は過ぎていく事となった……。


 ◇◇


 そして、運命の時。機能停止に陥っていたシグマであったが偶然か、それとも幸運だったのか、シグマは自分の体に止まっていた鳥の啄みによって再び再起動を果たしたのだった。
 戦闘用プログラムは、最後の戦闘時の故障により目覚める事はなかった。

 しかし、戦闘用プログラムを失った代わりにシグマは世界に対する強い興味と自然に対する優しさが芽生えていた。
 好奇心に促されるがままに、シグマはこの晴れた世界を再び奔走しようとした。 


 ―――戦争は終わったのかと考えるビープ音


 いざ、一歩。踏み出そうとした時……。

 圧迫…。

 恐怖…。

 殺人への渇望。


 かつての兵器としての力が湧き上がってくる事が分かった。
 自分の存在は敵を全て排除する為の兵器だ。

 そんな事、忘れたとは言わせない。

 Σ、それは殺人機械であり死の商人達が生み出した遺物だ。

 ならば、最後まで何をするべきかは分かっているはずだ。
 完全に機能が停止し、壊れる時まで何をするかは……。

 殲滅、自分が敵と見なした者を全て殲滅して排除する。
 それだけだ…。


 再び、戦闘用プログラムが起動し縦長のカメラアイが青色から真っ赤な赤色に変わる時、シグマは血の匂いのする霧に包まれていたのだった…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

半分異世界

月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。 ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。 いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。 そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。 「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。 小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。 本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。 お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。 その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。 次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。 本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。

俺のスキルが無だった件

しょうわな人
ファンタジー
 会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。  攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。  気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。  偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。  若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。  いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。 【お知らせ】 カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。

処理中です...