10 / 42
バックストーリー集
バックストーリー No.3「ヴィラン」
しおりを挟む
NO.3 並行世界線0079
ヴィランは命令された任務は必ず達成し、どの様な過酷な状況であろうと絶対に生き残る謎多き私兵だ。
西暦2XXX年。
世界の技術競争は熾烈を極めていた。競走と激しい覇権争いが何度も繰り広げられ、全てにおいて頂点に立つ技術を求める為に世界各国の企業は人員の犠牲と環境問題に目を向ける事なく、競走を続けていた。
人間の競争心は止まる事を知らない。一切合切全て注ぎ込んで、覇権を握ろうとする。
勿論、中には汚い手を使ってでも覇権を握ろうとする者も存在していた。
競走相手の企業の者を邪魔しようとする者、技術盗用を狙おうとする者、中には謀殺まで試みようとする者まで出てくるぐらいであった。
そして、ロボット産業と機械技術を強く得意とし、覇権を握る事も可能に近い企業とも言われる『エイクスヘブンマーセナリー社』が独自に作り出した私兵部隊の中に、ヴィランの姿はあった。
三十名程の人数で構成された精鋭私兵部隊のリーダー格として、ヴィランは確固たる地位を確立していた。
命令であれば、どんなに汚い仕事であろうと請け負い、必ず失敗する事なく帰還を果たす。
そしてその軍用ヘルメットと専用のガスマスクに覆われ、現代の軍風戦闘服に身を包んだヴィランの正体を知る者は誰もいない。
無論、その素顔も…。
―――命令は必ず達成する。
どんな命令にも歯向かわず、企業の私兵としてそこまで肩入れする理由は何なのかは分からない。
しかし、どんな危険な状況下であってもどんなに生存率が低い世界の中であっても、ヴィランが死して果てる事は決してなかった。
◇◇
そしてある時、ヴィランは新型として開発された人工知能搭載型の新たなロボットと共に森を訪れていた。
斥候に向かった一体のロボット。帰ってくるまで時間は然程かからないだろう。
戻って来て、安全を確認するまでヴィランは近くに置いてあった椅子に座り、そのロボットが戻って来るまで待つ事にした。
そして、ロボットが戻ってきた。確かに自分達の前にロボットが戻って来た。
しかし斥候を終えて報告に来た訳ではない。下等なニンゲンを全て根絶やしにする為に。
僅かな時間で、ロボットは暗闇の中から這い出ると同時にロボットとは思えない様な俊敏な速度であっという間に場にいるニンゲン共を駆逐しようとした。
しかし、ヴィランの任務は警護だ。このエイクスヘブンマーセナリー社の偉大なる研究者達を護衛するのが、ヴィランの任務であった。
任務は絶対に失敗しない。ヴィランは愛用しているアサルトライフルを手に取り、研究者達に牙を向くロボットを排除しようとした。
しかし、対峙しようとした瞬間。血の匂いがする霧と閉鎖的な空間が現れた。
もう少し、前だ。
ヴィランは銃を構えると同時に、闇と霧に包まれていく感覚に陥っていくのが分かった。逃げる様な事はしなかった、もう遅いと。
その後、霧が明ける事はなく、そしてヴィランの姿が再び現れる事はなかった…。
ヴィランは命令された任務は必ず達成し、どの様な過酷な状況であろうと絶対に生き残る謎多き私兵だ。
西暦2XXX年。
世界の技術競争は熾烈を極めていた。競走と激しい覇権争いが何度も繰り広げられ、全てにおいて頂点に立つ技術を求める為に世界各国の企業は人員の犠牲と環境問題に目を向ける事なく、競走を続けていた。
人間の競争心は止まる事を知らない。一切合切全て注ぎ込んで、覇権を握ろうとする。
勿論、中には汚い手を使ってでも覇権を握ろうとする者も存在していた。
競走相手の企業の者を邪魔しようとする者、技術盗用を狙おうとする者、中には謀殺まで試みようとする者まで出てくるぐらいであった。
そして、ロボット産業と機械技術を強く得意とし、覇権を握る事も可能に近い企業とも言われる『エイクスヘブンマーセナリー社』が独自に作り出した私兵部隊の中に、ヴィランの姿はあった。
三十名程の人数で構成された精鋭私兵部隊のリーダー格として、ヴィランは確固たる地位を確立していた。
命令であれば、どんなに汚い仕事であろうと請け負い、必ず失敗する事なく帰還を果たす。
そしてその軍用ヘルメットと専用のガスマスクに覆われ、現代の軍風戦闘服に身を包んだヴィランの正体を知る者は誰もいない。
無論、その素顔も…。
―――命令は必ず達成する。
どんな命令にも歯向かわず、企業の私兵としてそこまで肩入れする理由は何なのかは分からない。
しかし、どんな危険な状況下であってもどんなに生存率が低い世界の中であっても、ヴィランが死して果てる事は決してなかった。
◇◇
そしてある時、ヴィランは新型として開発された人工知能搭載型の新たなロボットと共に森を訪れていた。
斥候に向かった一体のロボット。帰ってくるまで時間は然程かからないだろう。
戻って来て、安全を確認するまでヴィランは近くに置いてあった椅子に座り、そのロボットが戻って来るまで待つ事にした。
そして、ロボットが戻ってきた。確かに自分達の前にロボットが戻って来た。
しかし斥候を終えて報告に来た訳ではない。下等なニンゲンを全て根絶やしにする為に。
僅かな時間で、ロボットは暗闇の中から這い出ると同時にロボットとは思えない様な俊敏な速度であっという間に場にいるニンゲン共を駆逐しようとした。
しかし、ヴィランの任務は警護だ。このエイクスヘブンマーセナリー社の偉大なる研究者達を護衛するのが、ヴィランの任務であった。
任務は絶対に失敗しない。ヴィランは愛用しているアサルトライフルを手に取り、研究者達に牙を向くロボットを排除しようとした。
しかし、対峙しようとした瞬間。血の匂いがする霧と閉鎖的な空間が現れた。
もう少し、前だ。
ヴィランは銃を構えると同時に、闇と霧に包まれていく感覚に陥っていくのが分かった。逃げる様な事はしなかった、もう遅いと。
その後、霧が明ける事はなく、そしてヴィランの姿が再び現れる事はなかった…。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
10
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる