サンタモニカには鬼が居る。


『ソウルシーカー』と呼ばれるDEA(Devil Enforcement Administratio アメリカ連邦悪魔取締局)の職員、ナナ・キャットは、悪魔狩りの精鋭部隊「LAタイムズ」の一員として、“ヴィランズ”という悪魔を討伐する仕事を担っていた。

ナナは人間ではなく、鬼の一族として古くから悪魔狩りの活動を続けており、“悪魔化”と呼ばれる謎の現象を収束するべく、数百年もの間戦い続けていた。

“悪魔化”とは、悪意を持つ人間が罪を犯した時に起きる現象であり、罪の大きさの度合いによって多少の差異はあるものの、一定の確率で人間が「悪魔」へと変貌する時に用いられる指標である。

地上には元々人間ではなく、『鬼の一族』が繁栄を極めていた。

鬼は人間を毛嫌い、奴隷のように扱い続けてきたが、『黙示録の戦争』と呼ばれる出来事を機に、衰退の一途を辿ることになる。

その背景には、人間を愛した赤鬼のグループと、人間を嫌う青鬼のグループの対立があった。

赤鬼は人間と共存することを選び、青鬼は人間を駆逐することを望んでいた。

鬼は永遠に生きれる強い生命力がある反面、生殖器がなく、人間のように増え続けることができない生物学上の問題を抱えていた。

鬼を増やすには、自らの血を人間に与える必要があった。

“鬼化”と呼ばれる現象は、鬼が一族としての地位を確立するためには欠かせない儀式であり、また、プロセスでもあった。

つまり人間は鬼の一族にとっての“贄”であり、「血の器」として道具のように扱われてきていた。

今から約三千年も前のことである。


人間には人間の生活があり、生き方がある。

人間は鬼が繁栄するための道具ではなく、自由に生きるための権利がある。


人間と共存することを選んだ赤鬼は、人間と対等に生きることを望み、例え一族が滅びることになったとしても構わないとして、人間に血を分け与える行為そのものを禁止しようとした。

戦争によって多くのものを失ったが、代わりに得たものは平和であり、人間と鬼が互いに笑い合える日々であった。

しかし——


鬼と人間と、——悪魔。

星を巡る命の戦いが、今、幕を開ける。
24h.ポイント 0pt
0
小説 195,431 位 / 195,431件 ファンタジー 45,126 位 / 45,126件

あなたにおすすめの小説

勇者ライフ!

わかばひいらぎ
ファンタジー
これは、ある勇者達の日常であるーーー 勇者、それは資格を取れば誰でもなれるもの。彼らはその職業柄魔物を倒すことが主な仕事になるがそんな中、癖の強い三人組、フーリ,マルセル,クライブに様々な危機(?)が訪れる。どんな状況でもピクニックに行ったりショッピングを楽しんだりゲーセンに行ったり……と人生を謳歌している彼らだが、無事に危機を切り抜け世界を救うことは出来るのだろうか? ※日常編は急に新キャラが出てくることがあるので、「誰だコイツ?」ってなったらキャラクター紹介編をご覧下さい

仔猫殿下と、はつ江ばあさん

鯨井イルカ
ファンタジー
魔界に召喚されてしまった彼女とシマシマな彼の日常ストーリー 2022年6月9日に完結いたしました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

カンテノ

よんそん
ファンタジー
 生命の存在意義を巡る、スペクタクル激情ファンタジー。  己の意志と尊厳を誇示するために、命を燃やす終わりなき戦いが始まる。 「世界の敵と戦え」

村から追放された少年は女神様の夢を見る

月城 夕実
ファンタジー
ぼくはグリーン15歳。父が亡くなり叔父に長年住んでいた村を追い出された。隣町の教会に行く事にした。昔父が、困ったときに助けてもらったと聞いていたからだ。夜、教会の中に勝手に入り長椅子で眠り込んだ。夢の中に女神さまが現れて回復魔法のスキルを貰ったのだが。

異世界修学旅行で人狼になりました。

ていぞう
ファンタジー
修学旅行中の飛行機が不時着。 かろうじて生きながらえた学生達。 遭難場所の海岸で夜空を見上げれば、そこには二つの月が。 ここはどこだろう? 異世界に漂着した主人公は、とあることをきっかけに、人狼へと変化を遂げる。 魔法の力に目覚め、仲間を増やし自らの国を作り上げる。 はたして主人公は帰ることができるのだろうか? はるか遠くの地球へ。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 だが夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

異世界勇者~それぞれの物語~

野うさぎ
ファンタジー
 この作品は、異世界勇者~左目に隠された不思議な力は~の番外編です。 ※この小説はカクヨム、なろう、エブリスタ、野いちご、ベリーズカフェ、魔法のアイランドでも投稿しています。  ライブドアブログや、はてなブログにも掲載しています。

処理中です...