7 / 34
命日
第7話
しおりを挟む◇◇◇
「…う、うーん…」
やばい。
頭が痛い。
なんだ?
ここはあの世か?
…なんか、思うように動けないな…
なんだこれ…
…なんで、手が後ろに…?
長い夢を見ていた気がして、気がつくと、そこはコンビニの駐車場だった。
周りはすっかり日が暮れてて、チカチカと点滅する外灯が、群がる虫の中心に見えた。
遠くには車の音が聞こえる。
涼しい風が、さやさやとあたりの草むらを揺らしていた。
…えっと
目が覚めてしばらくは、頭の中がぼーっとした。
記憶が混濁してて、さっきまで自分が何をしてたか、すぐには思い出せなかった。
…なん…だ…?
…一体、何が…
ガシャガシャッ
フェンス…?
…つーか、なんで、俺はここに…?
少しずつ記憶が蘇ってきて、思わずハッとなってしまった。
そうだ。
さっきまで俺はコンビニにいた。
コンビニにして、変なおっさんが目の前にいて…
目まぐるしいフラッシュバックが、火花を散らしたように蘇った。
あり得ないくらいの近さで、さっきまでの時間が覆い被さってきた。
ナイフ…!
そうだ。
俺は確か…
「目が覚めた?」
おもむろに傾けた視線の先で、俺は自分が、「幻覚」でも見ているのかとさえ思ってしまった。
声がした方を見ると、そこには「人」が立っていた。
コンビニの店員。
青と白のツートンカラーの制服。
俺のよく知っている、——女の子が。
「…天ヶ瀬…?」
自分で自分を疑った。
思わず、目を見開いた。
天ヶ瀬なわけがないと思った。
彼女は俺のクラスメイトだが、ここは学校じゃない。
第一…
ついさっきまであった記憶が、少しずつ鮮明になっていく。
…そういえば、さっき天ヶ瀬を見た気がした。
意識が途切れる間際だった。
俺を呼ぶ声がして、苦しくなっていく自分がいて…
「ほんと、余計なことしてくれたね」
…は?
わけがわからないまま、胸の方に視線を移す。
…あれ?
…ナイフは…?
なんで、…刺さってないんだ?
シャツは赤かった。
でも、そこにナイフはなかった。
痛みも、息苦しさもない。
あるのは、混濁する意識と、夜の静けさだけで。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる