真夏のサイレン

平木明日香

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ここは?

第7話

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 「あなたが飛んだ先に続いている「未来」を、見たくはないですか?」

 「——未来?」

 「ええ。その世界は、あなたが望んでいる未来ではないかもしれません。しかし確かなことは、その「世界」がこの世界の全てではないということです。先ほども申し上げたように、世界は無数の可能性に満ちています。あなたが生まれていない世界もある。同時に、あなたがまだ“生きている”世界も」

 「何が言いたいんだ」

 「世界は常に動いている。たった一つの選択が、一つの「運命」を決めるわけではないのです。“現世はまだ無数の未来へと通じている”。そう言った方がいいでしょうか?あなたにはまだそこに辿り着けるだけの時間がある。「距離」がある。どうですか?行ってみようとは思いませんか?」


 俺にはわからなかった。

 亡霊の言っていること。

 世界の「未来」。

 俺は昔から、日本の未来のために戦うことを教えられてきた。

 今日もそうだ。

 なんのために戦ってきたか。

 なんのために武器を持ったか。

 その答えが常にハッキリとはわからずに、国のために国のためにと精進してきた。

 妹を亡くした時もそうだ。

 ざーーーーーと大雨が降るような音がした。

 止めどもなく「ヒューヒュー」と音をたてながら、斜め後ろの方へ落とされて行く焼夷弾を見た。

 燃え盛る町の野を走った。

 灰色に染まる空の下を。

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