フロムフロンティア -FROM FRONTIER- 【第1巻】



はるか昔、世界には2つの星が存在していた。

1つは、『自由の民』が暮らす星、ガイア。

そしてもう1つが、『魔法の民』が暮らす星、バベル。

ガイアに暮らす人々は、自らの星の繁栄のため、バベルにて“人工生命”である『アニムス』の開発と生産を、数100年にも渡って行ってきた。

「人の手で造られしモノ」、——通称“ゲノム”。

彼らは制限付きの生命を宿され、その活動期間が終わるまで、人々が生きていくための資源の製造とエネルギーの供給を強いられていた。


ガイアにはかつて、「アダム(魔神族)」と呼ばれる種族が住んでいた。

彼らは魔法が使え、人間よりも遥かに優れた知能と生命力を持っていた。

しかしガイア内で生じた内部抗争の末、星の住民は二分化、分裂してしまう。

ガイアを統治していた魔神族の始祖、——プロメテウスは、星の持つ生命が将来的に枯渇することを恐れ、未開の地である「バベル」への移住を企てていた。

しかしバベルには、太古の昔に誓約を交わした「イヴ(女神族)」が住んでいたことで知られていた。

誓約を破れば、約束された「悠久の平和」が失われる。

地上は災害に見舞われ、混沌と化す未来が訪れる。

古来より言い伝えられていた「禁忌」に触れることを恐れた一部の魔神族たちは、“バベル派”と呼ばれ、プロメテウスへの反旗を翻した。

女神族と手を組み、ガイアの王国とその壊滅を目論んだのだ。

それは、『最後の審判』と呼ばれた。


人間という種族が生まれたのは、それから数世紀が経った頃のことだ。

荒廃したガイアの大地には植物が実り、灰色の雲で覆われていた空には広大な青が広がるようになった。

戦争によって、女神族もまた滅亡の一途を辿ったのだった。

世界の平和を望んだ、ある魔神族との「約束」を残して。
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