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【生活安全捜査課所属】 氷室かざねの日常
第17話
しおりを挟むドンッ
爆風が周囲へと振り撒かれている中、2体のイノセントは垂直に地面への落下を試みていた。
ブレーキをかける「間」などなかった。
急降下し、衝突する。
爆風の中心からコンマ数秒の間に起こる2度目の衝撃波。
降下した中心から再び波が“起こり”、地面が逆立つ。
ゴオオオオオオッ
垂直に落下した真下には、衝突エネルギーによって波打つ振動が、街の地形を変えていた。
倒壊するビル。
雲のように舞い上がる粉塵。
周囲は荒れ狂う波間の中に勢いよく倒れ込み、巨大なサークルを形成する。
爆風半径の数百mは、すでに元の街の形を失っていた。
それほどまでに強烈だった。
狙い定めた、その〈一撃〉は。
衝撃による煙が収まらぬ中、イノセントはかざねの“真上”にいた。
伸び切った右腕と、滴る血液。
地面への降下を試みた渦中、空中で静止したように立ち止まったシルエットが、立ち上がる粉塵のそばにあった。
摩擦によって燃え上がる空気と、焦げ臭い匂い。
”1体はすでに死んでいた“
衝突のエネルギーが地平面上で解放される最中、歪な曲線が、空間の内側へと伸びていた。
立体空間上に伝播していく波が交錯していた。
衝撃によって生じた音の断面は硬直したように遮られ、僅かな凹みもなく横断していた。
ビルとビルの境目。
——その、“中央“に。
ズッ
イノセントの一体の胸を貫いていた一本の「腕」。
それは、イノセントの右腕もろとも細胞の壁を破り、急激な物質の変化とその歪曲を生んでいた。
地上への降下時間は5秒にも満たない。
かざねへの距離は、すでに直線上の中にあった。
真っ逆さまに落ちていた。
攻撃を命中させるには、十分すぎるほどの近さだった。
彼女の肉体への接触を、敢行するには——
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