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寿司と言ったらシーチキン

第5話

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 白線の内側に立った。

 電光掲示板には『standby』の文字。

 対戦者同士が位置につけば、カウントダウンが始まる。

 レザックは私が位置に着くや否や、ベンチから立ち上がった。

 この人の戦闘スタイルってなんだっけ?

 接近戦?

 遠距離?

 液体金属(メタル)って確か色んな形に変形できたよね?

 質量自体は変化させられなくて、自分と同じ大きさのものにしか変化できない。

 ただ、質量内の密度自体は自由に変化させられるって聞いた。

 誰からだったかは忘れたが。


 「両選手スタート位置に着きました。これよりカウントダウンを開始します」


 あー。

 どうせ戦うんだったら真っ向からぶつかってくるようなやつがいいが、毎度毎度こんな対戦相手じゃ気持ちも萎えるって。

 とりあえず様子見でもしとくか。

 速攻かましてくるようなやつでもなさそうだし。



 「ready? start!」



 開始の合図とともにレザックは構えを取った。

 どうやら、スタート位置から動く気はなさそうだった。

 彼との距離は約50m。

 この距離だと、お互いにとって射程圏内じゃない。

 戦闘の勝利条件はあくまで拘束だ。

 無闇に動いて相手の出方を見失うのは良くない。

 だから、ここはあえて慎重に…



 スゥゥゥゥゥ



 レザックの体が、金属の表面に変化していく。

 彼の手のひらの上には回転するリング状の金属が。

 全身が光沢のあるシルバーに変化する頃には、足元が地面の中に埋もれ始めた。


 「…ああ、そう。そう来る?」


 コイツ…

 地面の中に隠れる気だな?

 そっちがそう来るならこっちにも考えがある。

 フィールドに敷かれた白線の内側までであれば、地面を傷つけてもルール違反にはならない。

 円で敷かれたフィールド内は、文字通り“なんでもあり”だ。

 隠れて攻撃しようってんなら、隠れられなくさせてやる。

 レザックの体がどっぷり地面の中に浸かった後、宙に浮いたリング状の金属が、私に向かって飛んできた。

 リングは回転しながら無数の粒に分かれる。

 スプレーから噴射される微細な粒子のように、広範囲に。

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