雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香

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毒キノコでも食った?

第386話

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 嫌そうな顔をすると思ったが、案外そんなことなかった。

 はいこれ。

 今日の買い出しリスト。


 「なにこれ??」

 「見ての通り重たいもんばっかやから頼むわ」

 「買いに行けと?」
 
 「1人で行ってくれるん?」

 「ええ!?」


 別にいいんだよ?

 行ってくれても。

 ただあんたに頼むと余計なもん買ってくるからなぁ

 あんたん家はなんもないの?


 「俺ん家?」

 「おばさんに頼まれてないの?」

 「今日はとくに」

 「ふーん」


 校舎を出て自転車置き場に向かった。

 体育館の屋根が、斜面の下側に見える。

 石段を登った先にある剣道部の道場の入り口で、袴姿の生徒が出入りしているのが見えた。

 道場は昔からあって、最近改修工事がされたばかりだ。

 体育館裏の狭い通路と、小さなプレハブ小屋。

 蓮池が、手入れの行き届いた玉ツゲの庭の向こうに見えた。

 道場の近くはとくに“庭園”って感じがして、ふさふさの芝生が、白い敷石の周りに入り組むように重なっていた。

 木陰の下にある水鉢が、いい味を出しながら。

 
 そういえば最近、コウと居残り練習してないじゃん。

 なんかあったの?


 「何もないけど」

 「バッセンにも寄っとらんやん」

 「バッセン!?」

 「バッティングセンターのことや」

 「それは知っとる」


 川沿いにある『赤木バッティングセンター』。

 今時珍しいアームのみが稼働する旧式のタイプで、店員もほとんど1人しかいないボロいバッティングセンターだ。

 他にもお店はあるが、亮平のお気に入りはそこ。

 モニタータイプのやつは嫌いみたいだった。

 試合感が狂うみたいで。

 
 


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