雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香

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毒キノコでも食った?

第382話

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 「よーし、ほんならロンTでもするかぁ。内野陣は集まって」

 「おーす!(一同)」

 「あの…」

 「ん?」

 「土井先輩借りてもいいですか?」

 「どしたん?」

 「遠投したいなって思って」

 「…ああ、別に構わんが、土井以外じゃダメなん?」

 「誰でもいいですよ」

 「ほんならノッチ、相手してやってくれん?」

 「ノックはいいの?」

 「個人ノック形式でやるから」

 「ああ、はいはい」


 ノッチこと野島先輩は、チームのエースだ。

 私のライバルでもある。

 先輩とはいえ、すぐにでもエースナンバーをつけたいからね。

 差はめちゃくちゃ開いてるけど…


 「千冬って遠投好きよな?」

 「昔からのルーティンなんですよ」

 「ルーティン??」

 「あー、正確にはルーティンというか、リリースポイントを確かめるための…」

 「ほう」

 「よく体が開きがちになるんですよ。体っていうか上半身?ゆっくり全身を連動させたくて、遠投してるんです」


 昔はよく投げ急いで、状態が前に突っ込んでしまうことがあった。

 強く投げようとすればするほど、意識が腕のほうに集中してしまう。

 そういう時にゆっくり体を使って、体全体でボールを遠くへ投げることを意識するようになった。

 フォームが崩れないように、ボールは高く上げないこと。

 高く投げようとすると左肩が上がる。

 遠くへ投げるために高く投げようとしたんじゃ意味がない。

 あくまでボールの軌道は低く、フォームはそのままで。

 ゆっくり大きく体を使う中で、リリースの際に強くボールを弾くイメージ。

 連動する動きの中で手首をうまく使えれば、自然とボールも強く投げれる。

 強さと柔らかさを両立するって感じだろうか。

 引けるだけ弓をゆっくり引いて、最後に指を離すみたいな?

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