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毒キノコでも食った?
第381話
しおりを挟む南館の校舎が、グラウンドの外に見える。
山の斜面に沿って建ち並ぶ家が、なだらかな曲線に寝そべりながら、放課後の静けさの中に息を潜めていた。
紫色に染まっていく空の下で、吹奏楽部の楽器の音が聞こえる。
関西空港に向かう飛行機が六甲山地の上空を通過しながら、夕闇の谷間に向かってその翼を羽ばたかせていた。
西中にいた頃もそうだ。
放課後、校内のランニングを終えて、土埃の舞うグラウンドの裾から、街が動いている景色を見てた。
塾に向かう同級生の子たちや、門をくぐる自転車のシルエット。
騒がしかった午後のホームルームが嘘みたいに静まり、みんな一斉に階段を降りて、それぞれの部活に向かってた。
進学校を目指す文化部の子は、塾のない日は図書室に篭ってた。
教室の中で聞こえてくる誰かの話し声。
スタスタと廊下に響く足音。
体育館裏の木陰。
最近は少し寒くなってきたから、摩耶山の山肌の色も変わってきてる。
この時期は登山をする観光客も増えてくる。
まあまだ9月だから、海水浴もシーズン中なんだっけ?
夏休み中砂浜で練習してたから、めちゃくちゃ日焼けしちゃったんだよね、今年は。
希美に日焼けクリームもらったけど、足りない足りない。
男どもはみんなバテて大変だった。
砂浜でタイヤ引きなんてやるからだよ。
私は反対したんだよ?
もっと効率がいい練習があるんじゃないのかって。
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