雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香

文字の大きさ
上 下
381 / 394
毒キノコでも食った?

第379話

しおりを挟む

 「えー、教科書75ページを開いてください」


 教室の窓から見える景色は、いつも綺麗だ。

 神戸市内の街並みがよく見える。

 神戸新聞社のツインタワービルと、阪神高速線のジャンクション。

 高校に入ってから、少し感じるようになった。

 時間が経つのが早いなって、授業のチャイムを聞きながら。

 昔はそんなことなかった。

 目標に向かって走れるのが、バカみたいに楽しかった。

 西中の校舎からいつも見てた。

 海岸線の湾曲と、街の上を走る環状線を。



 えーっと、75ページね。

 なになに、溶液と水溶液の性質ゥ??

 なんじゃそりゃ

 絶対難しいじゃん…

 ハァ…

 やる気が出ないなぁ…

 


 ◇◇◇



 練習試合に向けて、試したいことがあった。

 中学の時みたいにストレートだけじゃ通用しない。

 元々カーブは投げれたけど、もっと投球に幅をつけなきゃダメだ。

 バッターを討ち取るには緩急が必須。

 ようはタイミングを崩せって話で、もう少しバリエーションを増やしていかないと話になんない。

 
 「チェンジアップ?」
 
 「うん。どう思う?」


 ポール間走中にコウに聞いた。
 
 もし球種を増やすとしたら何がいいかなって。

 真面目な話、高校生でチェンジアップを使ってるピッチャーは少ない。

 今のプロ野球選手でも、チェンジアップを使うピッチャーは少なくなってきてる。

 フォークとかスプリットとかが主流になってきてて、ツーシームとかも流行ってきてるかな?

 これから先上のレベルに行こうとするんだったら、他のピッチャーにはない独自の球を磨く必要があると思った。

 とくに私なんかは、真っ向から勝負なんて、だんだん難しくなってきてるワケだし。

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

真夏のサイレン

平木明日香
青春
戦地へ向かう1人の青年は、18歳の歳に空軍に入隊したばかりの若者だった。 彼には「夢」があった。 真夏のグラウンドに鳴いたサイレン。 飛行機雲の彼方に見た、青の群像。 空に飛び立った彼は、靄に沈む世界の岸辺で、1人の少女と出会う。 彼女は彼が出会うべき「運命の人」だった。 水平線の海の向こうに、「霧の世界」と呼ばれる場所がある。 未来と過去を結ぶその時空の揺らぎの彼方に、2人が見たものとは——?

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

切り札の男

古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。 ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。 理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。 そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。 その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。 彼はその挑発に乗ってしまうが…… 小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。

ながしょー
青春
 ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。  このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

彼女は多分、僕の書く小説にしか興味が無い

御厨カイト
青春
僕の隣の席の小池さんは有難い事に数少ない僕の書く小説のファンだ。逆を言えばそんな彼女は僕の書く小説にしか興味が無いのだろう。だけど僕は何だかその関係性が好きだ。これはそんな僕らの日常の1コマである。

浦島子(うらしまこ)

wawabubu
青春
大阪の淀川べりで、女の人が暴漢に襲われそうになっていることを助けたことから、いい関係に。

小学生をもう一度

廣瀬純一
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

Missing you

廣瀬純一
青春
突然消えた彼女を探しに山口県に訪れた伊東達也が自転車で県内の各市を巡り様々な体験や不思議な体験をする話

処理中です...