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100億光年の時の彼方で
第365話
しおりを挟む「今日ほんまに参加せんのか?」
「あ…、うん、わりぃ」
今日の夜、山本(野球部のメンバー)の家で焼肉するっていう話が上がってた。
花火大会が港で上がる関係で、皆で見ようぜ!って話になって。
山本ん家は焼肉屋を営んでて、立地的に最高のスポットだった。
高松線の港の近くに店があるんだけど、堤防のすぐ手前に店の駐車場がある。
積み上げられたテトラポッドと、穏やかな潮風の波止場。
家が路地の裏にあるから、車は一切通らない。
造船所が近くにあるんだけど、周りには飲食店の1つもなくてさ?
老舗らしかった。
何十年も昔から親しまれてるらしくて、今は3代目なんだって。
船着場の人がよく出入りしてるそうだ。
工場地帯で働く男たちが、夜な夜な酒を飲んで盛り上がってるらしい。
聞く話によると、次の日には店の前にビール瓶が溢れかえってるみたいだった。
山本はよく店の手伝いに駆り出されてるって話だ。
朝のゴミ出しとかレジ打ちとか。
詳しくは知らんけど。
「この、色男め」
「やめろ」
焼肉に行けないのは、約束してたからだ。
花火を見に行くんだ。
一ノ瀬さんと。
昨日誘われたから。
「俺たちは男同士でしんみりやろうってのに、お前ってやつは」
「お前こそ彼女おるやんけ」
「アイツは友達と行くっつって断られた」
「お前とはむさ苦しいって?」
「やかましわ」
正直、どうしようかとは思ったんだ。
誘われたのはめちゃくちゃ嬉しかったけど、できることなら千冬と行きたいなって思ってた。
…でもアイツ、先約がいたんだ。
「私はその日デートやから」って、言われて…
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