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100億光年の時の彼方で
第359話
しおりを挟む最近寝坊してるっていうのは間違ってない。
だけど朝練には遅れてない。
千冬に無理矢理起こされてるから。
「うわッ」
津嶋先輩に怒られてる横で、後ろから襲ってくるヤツがいた。
陽翔だ。
ちゃめっ気のある目鼻立ちに、チャックの開いたウィンドブレーカー。
同級生で、俺のことは「亮」って言ってくる。
確か、姉貴がダンス部に所属してたっけ?
この前部室に来たんだよ。
「陽翔いる?」って、弁当を渡しに。
「隙あり!」
「今説教中なんやからやめてくれん?」
「説教はしとらん」
「あ、そうだったんすね」
「何怒られとん」
「いや、俺は悪くないんやけど…」
「財布は見つかったんか?」
「ありました」
「まあ、ならえかったんちゃう?」
「津嶋先輩めっちゃ怒ってたで?」
「怒っとらんわ」
「アイツなにしとんやってすげぇ言ってた」
「それはお前やろ、ハル」
「あ、俺でしたっけ?」
部室から出てきたのは、チーム1の鈍足。
剛田キヨシこと、通称ゴーリキー。
めちゃくちゃ長距離ヒッターで、彼女がいない歴17年。
彼女いない歴だと俺も負けてないが、ゴーリキーは一生できない気がする。
女子の前だと固まっちゃうもん。
モアイ像みたいに直立不動になっちまう。
あ、一応先輩だ。
先輩っつーか、ほぼ同級生みたいなもんかな?
超フレンドリーだし、何言っても笑ってくれるし。
ねずみ顔でチビ助の駿太が、剛田先輩のあとに出てきた。
イヤホンをつけて、英単語帳を開いてる。
朝から勉強熱心だな。
陽翔はスタスタと歩いて行く駿太の背中に抱きつき、俺も一緒に行くから待てよって言ってる。
同じクラスなんだよなコイツら。
陽翔はすぐに人に抱きつきすぎ。
びっくりするから時々にしとけ?
駿太はぶっきらぼうだからまだ良いが、こまっちー(同級生の駒村)は人見知りだからたまに顔が引きつってる時がある。
あ、拓海!
これから職員室行くんだろ?
一緒に行こうぜ。
今日当番だから。
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