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100億光年の時の彼方で
第351話
しおりを挟む「そういえばあんた、コウに変なこと言った?」
「言っとらん」
「昨日あんたとキャッチボールせぇって言われたんやけど」
「え?」
「なんか聞いとらん?」
「…いや」
アイツ…
余計なこと言うなよ。
いつ言ったんだそんなこと。
大体そんなこと頼んだ覚えはないぞ。
キャッチボール?
練習でってこと?
「部活の時や」
「昨日はコウとキャッチボールしたけど」
「断ったからな」
「あ、そう」
アイツに余計なこと言わなきゃよかった。
…つーか、アイツが言い出してきたんだよ。
「最近おかしいぞ」って。
「絶対なんか言ったやろ?」
「言っとらんって」
「ならええけど」
ギクッてなったんだ。
アイツ、俺の話は信じてくれないくせに、妙に勘が鋭くて。
そりゃしばらく挙動不審だったから仕方ないのかもしれないが、まさか千冬のことを言われるとは思わなかった。
ホームルームが終わって掃除してた時だ。
なんかあった?って、聞いてきたのは。
その時は別に大した話にはならなかったが、ちょいちょい突っ込まれるんだよな…、あれ以来。
一体どこで勘付いたのか知らないが、俺からしたらいい迷惑だ。
千冬のことはいいから、少しは俺の話を信じろっつーの。
難しい話なのはわかるけど。
「さぶっ」
朝露が街の上に降りてきてる。
1週間前はそんなことなかった。
まだ、半袖で十分くらいだった。
暖房とは無縁だって思ってたのに、空気が冷たい。
明日から手袋しようかな。
ゴツいのじゃなくて、薄手のやつ。
「もう暖房つけとん!?」
「寒いし」
「早くない?」
風邪引くかと思ったんだって。
今日の朝はとくに。
夜はそんなことなかったんだけどなー
さすがに掛け布団1枚じゃ耐えられん。
毛布を出してもいいけど、いちいちクリーニングに出すのがめんどくさいんだよな。
衣替えの時期に。
「今使わんといつ使うねん」
「暖房つけりゃいい話や」
「電気代節約せぇよ」
「大して変わらんやろ」
「変わりますー」
「去年そんなことなかったけどな」
「普段から節約できてないからやろ」
「してますが?」
「どこらへんを?」
「こまめに電気消しとる」
「ほんまに?」
「ほんまほんま」
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