雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香

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夏の花火

第305話

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 「空を見てみ?」

 「へ…?」

 「空や空。星が綺麗やろ?」


 んー…、まあ、そうだが。

 展望台デッキの中のベンチに腰掛け、一緒に星を見ようと言ってくる。

 生憎だけど、そんな気分じゃないんだ。

 まだ頭がぼーっとする。

 記憶が混同してるっつーか、なんつーか


 「私の言った「話」を信じるか?」

 「信じないとは言わんけど…」

 「けど…?」

 「色々わけわからんから、なんとも言えん」

 「今はわからんでもええけど、とりあえず信じてくれる?」

 「…まあ」


 未来で起こったことがなんであれ、作り話なんかじゃないって、女は言う。

 俺の知らない世界が、たくさんある。

 そう言って、小さく微笑む。


 「甲子園を目指す気は、ある?」


 甲子園…ねぇ。

 この前言われた時は何言ってんだと思ったが、今はちょっと状況が違う。

 目指してもいいけど、それで何かが変わるのか…?

 俺にはそうは思えないが


 「もしかしたら何も変えられんかもしれん。辿り着きたいと思う場所に、辿り着けないかも…。あんたは何を信じる?」

 「今の話のこと?」

 「いいや。160キロのストレートも、甲子園も。自分にできることがあるとしたら、何を信じる?」

 「…わからん」

 「なんでもええんやで?例えば、テストで80点取るとか」

 「何が言いたいねん」

 「…別に。ただ、投げ出してほしくないと思ってな」

 「野球をか?」

 「野球でもなんでも。正直、あんたが野球を辞めようがどうしようが、そんなのはあんたの自由やと思っとる」

 「この前と言っとること違くね…?」
 
 「あんたはキーちゃんの何に憧れたんや?」

 「…え、そりゃ…」

 「野球をやってる姿か?それとも、性格?」


 …違う。

 そんなんじゃない。

 間違ってないけど、そんな単純なことじゃない。

 俺は、ただ…


 「アイツが…」

 「キーちゃんが?」

 「…わからん。ただなんとなく、カッコいいと思ってた」

 「なんとなく…ねぇ」

 「お前だってそうやろ?好きな色のこと聞かれて、なんで好きか答えられるか?」

 「答えられる」
 
 「なんて言うんや?」

 「…私の質問に答えぇや」

 「答えたやん」

 「中途半端な回答やなく」


 と、言われましても


 
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