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夏の花火
第296話
しおりを挟む「C!?」
「Cがどうかした?」
「…いや、BとかCとか、ほんならDも!?」
「まあそうなるな」
「そんなにたくさんあるん!?」
「そう言うとるやろ」
…えぇ
色んな世界があるって言ってたのはわかるけど、改めて聞くとぶっ飛んでるな。
チャンネルはわかりやすい。
わかりやすい?
うん、まあ、今までのに比べたら。
頭の中には色んな世界に繋がる通信路があって、ここじゃない別の世界、——つまり「B」とか「C」とかの世界に行けると…
…いや、わかりにくいわ!!!!!
「アホやなやっぱ」
「理解できるわけないやん」
「今なるほど言うとったやん」
「反射的にな?」
「色んな部屋に行けるって想像してみ?」
「色んな部屋?」
「大きい家があるとするやろ?ホテルの方がわかりやすいか。とにかくあんたはマスターキーを持っとって、好きなように好きな部屋に行ける。「部屋」っちゅーのは世界線のことや。おわかり?」
「…うーん??」
わかるようなわからないような…
大体“頭の中にチャンネルがある”ってなんだよ
引っかかってんのはまずそこだ。
「私たちの頭の中には、プールが存在しとんや」
「まーたわけわからんことを…」
「この「プール」って言うんは、巨大な水たまりのことや」
「ほう…」
「水は、手のひらの上に掬い上げても、石ころみたいに決まった形を持たないやろ?」
「うん…」
「あんたは過去を思い返す時、何を思い浮かべる?」
「何を…って…」
「彼女ができたことは?」
「ない」
「テストで100点取ったことは?」
「ない…」
「…プッ」
「おい!何がおかしいんや??」
「…いや、可哀想やなって思って」
ふざけてんのかこいつ。
一生懸命聞こうとしてんだぞ。
こっちは。
「すまんすまん。…えーっと、どこまで話したっけ」
「テストがどうとか」
「ああ、そうそう。あんたの過去はあんたの過去。これから未来で起こることは未知数でも、過去は“変えられない”。——つまり「過去」はすでに決まった数字。そう考えることはできる?」
「…………うん」
「なんやねんその「間」は…。まあええわ。過去は過去、未来は未来。そう考えた時に、物事の経過や「過程」はどこに存在しとると思う?」
「…………過去」
「やろ?やとしたら、過去は常に変化しないもんや。常に同じ場所にあって、変わることがない。違うか?」
…んー??
まあ、そう…だよな
過去は変わらない。
俺が昨日食ったもんが、焼きそばから突然カレーに変わることはない。
当たり前の話だけど。
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