雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香

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話が違くね!?

第196話

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 無意識にまた、顔をつねる。

 …いてー

 「並行世界」ってそもそもなんなんだろうか?

 目の前の出来事が現実だとしたら、他にも色んな世界があるんだろうか?

 神戸の街は、いつもと変わらないように見える。

 空の色も。

 鏡の向こうの世界、——つまりパターンっていうのは、色んな“現実”が、隣り合わせになって存在してるっていうことだよな…?

 合ってるかどうかわかんねーけど、そう解釈するしかない。

 “鏡の向こう”っていうのがいまいちわからんが、色んな現実の中の1つだと思えば、なんとなくしっくりくる。

 昨日からそんなことばっかり考えてるが、アイツはどうやって、俺をここに連れてきたんだろう…

 「未来からやってきた」っていうのを、まだ信じてない。

 信じられるわけないから。

 そんな、漫画の世界みたいな…


 ただ、色んなことを考えてると、あながちそれも嘘じゃないのかなって思えてきた。

 だって現に、“あり得ない”ことが起こってるわけだ。

 それを整理しようとすればするほど、アイツの言ってたことが重くのしかかってくる。

 まじで、アイツは何者なんだろうか。

 宇宙人なんてことはないよな…?

 うーん、無い無い。

 どっからどう見ても人間だった。

 そもそも、宇宙人の見た目なんて知らないけど。


 “千冬を助けたい”

 たしかにそう言ってた。

 その言葉通りのことが目的なら、あの日の「事故」を無くす…、…そういうことなんだろうか?

 千冬はあの日、海に溺れてない。

 目の前の彼女は、その「現実」の中にいる。

 ここが本当に“現実”かどうかは一旦置いておいて、現にそうなってる。

 ってことは、ひょっとしてアイツの目的は達成されてるのか…?

 助けたいってそういうことだよな?

 「運命」を変えるって言ってた。

 その場所に、俺を連れて行くって。

 
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