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好きっていうかなんていうか
第186話
しおりを挟む「私とあんたの仲やろ?」
そういう問題じゃない。
お前だから言えないんだ。
わかるよ?
気になってるのは。
でも無理。
第一にプライバシー。
俺には黙秘権がある。
真面目な話、俺の好きなやつなんてどうでもいいだろ?
お前からしたらさ。
「わかった!真波やろ?」
「まな…、え…?誰…?」
「真波は真波やろ」
わかんねーよ。
真波…?
同じ学校の子?
「あんたの隣の席の子や」
「へー」
「なんやその反応」
なんやと言われても、知らないものは知らない。
どんな子かって聞いたら、色々と教えてくれた。
隣の席の子で、わりと仲が良くて、超絶ピュアな女子。
“超絶”っていうあたり、相当なんだろう。
チア部らしいが、クラスでも人気の子らしい。
須磨高にはチア部なんてなかったから新鮮だった。
まあ、代わりに、「ダンスドリル部」ってのがあるが。
「いい感じなん?」
「はあ!?誰と誰が」
「俺と、その真波って子」
「知らんがな」
「隣の席なんやろ?」
「質問の意味がわからんのやが」
「そのままの意味やろ」
「いや、それがわからん」
こっちの世界の俺が、どんな生活を送ってるのかなんて想像もできない。
聞けば聞くほど、なにそれって感じ。
そりゃ学校が違うんだから、俺の知らない世界がたくさんあるっていうのも、なんとなくわかる。
だけどそれはあくまでイメージでしかない。
実際にどうなってるかなんてわからないし、“何が何だか”っていう…
神戸高がどんな学校なのかとか、その真波って子がどんな人なのか、病院にいるはずの千冬の口から、雑音を振り払うような音で聞こえてくる。
なにが起こってるのかなんて、考えるだけ無駄なのかもな。
千冬が目の前にいるってだけで、まだ、目を擦りたくなるし。
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