182 / 394
好きっていうかなんていうか
第180話
しおりを挟む「今日は休む…」
「は?!なんでや!」
用事があるんだ。
昨日も言ったけど。
「ほんま大丈夫なん?」
「うん、まあ」
大丈夫かと言われれば大丈夫じゃない。
むしろこの状況で大丈夫なやつなんていないと思う。
今の、この状況だってそうだ。
「はよしてくれん?」
…早くしろ、とは?
俺の話聞いてた?
今日は休むんだって。
「失恋なんかで学校休んでええと思っとん?」
「失恋ちゃうって!」
「なんでもええからはよせえよ」
やっぱ人の話聞いてない。
千冬はズカズカ家の中に入ってくると、リビングでくつろぎ始めた。
夏樹は千冬を見るなり「おはー!」と挨拶を交わす。
千冬も同じく。
え、キミたち仲良いの??
そりゃまあ、昔は実の妹のように可愛がってくれてはいたが、…それにしてもフレンドリーすぎないか?
まるで、自分の家のように伸び伸びしては、「早くしろよ」と声をかけてくる。
なんだこの状況…
子供の頃はよく遊びに来てた。
俺もまた、千冬の家によく遊びに行ってた。
お互い気を使うことなんてなかった。
どっちも、“我が家”って感じがして。
さや姉はほんとの姉貴みたいだったし、千冬は千冬で、おかんのことが大好きだった。
千冬に母親はいない。
子供の頃に離婚して、家を出たんだ。
だから、そういうのも含めて、おかんとは親しかった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
真夏のサイレン
平木明日香
青春
戦地へ向かう1人の青年は、18歳の歳に空軍に入隊したばかりの若者だった。
彼には「夢」があった。
真夏のグラウンドに鳴いたサイレン。
飛行機雲の彼方に見た、青の群像。
空に飛び立った彼は、靄に沈む世界の岸辺で、1人の少女と出会う。
彼女は彼が出会うべき「運命の人」だった。
水平線の海の向こうに、「霧の世界」と呼ばれる場所がある。
未来と過去を結ぶその時空の揺らぎの彼方に、2人が見たものとは——?


切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。
ながしょー
青春
ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。
このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

彼女は多分、僕の書く小説にしか興味が無い
御厨カイト
青春
僕の隣の席の小池さんは有難い事に数少ない僕の書く小説のファンだ。逆を言えばそんな彼女は僕の書く小説にしか興味が無いのだろう。だけど僕は何だかその関係性が好きだ。これはそんな僕らの日常の1コマである。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる