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好きっていうかなんていうか
第179話
しおりを挟むピーンポーン
…チャイム?
誰だ?
こんな朝早くから。
「はい」
眩しい朝の陽に照らされて、一瞬視界がぐらついた。
まだ覚めきっていない目を擦る。
宅配便か何かかなと思った。
朝から誰かが訪ねてくることなんて、そうそう無いことだから。
「おっす」
玄関のドアを開けた先に、“彼女”がいた。
制服姿の、千冬が。
「…あ、ああ」
「なんであんたまだパジャマなん?」
…えっと
なんでと言われましても。
突然の訪問にビビる。
一瞬頭が真っ白になった。
夢でも見てんのかなと思い。
「…どしたん?」
「は??さっきライン送ったやろ?」
「ライン?」
「しっかりしぃや。いつものことやろ」
いつものこと??
早く学校に行くぞと、彼女は言う。
学校?
…ああ、なるほど
って、まだ7時だけど?
行くにしても早くない??
ってか、なんでウチに来た!?
…約束してたっけ?
「これから準備するとこやけど」
「今から?!朝練間に合わんで」
朝…練?
そうか、俺、神戸高の野球部なのか。
それなりに強い野球部なのは知ってる。
強いって言っても、甲子園とは無縁の高校だが。
「…何時から?」
「7時半からや!」
ああ、…はい。
それだったら確かにヤバいな。
「今出た」っていうメッセージは、どうやらそういう意味だったっぽい。
いつもだったらラインを送ることはないみたいだが、支度するのが遅かったみたいで。
「あんたも寝坊したん?」
寝坊、というか、そんなこと知らないというか。
学校に行くつもりはなかった。
色々頭の中で計画してたとこだ。
どこを探せばいいだろうとか、アイツがいそうな場所。
学校に行ったってどのクラスかもわからんし、どうやって行けばいいのかもまだよくわかってない。
場所は確かあそこだった気がする。
三ノ宮駅の近く。
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